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九州に〝100年に一度〟のチャンス 九州経済連合会
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週刊経済2024年12月25日発行号
倉富会長インタビュー抜粋
九州経済連合会(福岡市中央区渡辺通2丁目)の倉富純男会長は、本誌1月号「新年抱負トップインタビュー」に応じ、2024年振り返りや九州経済の発展を目指す広域連携の強化について話した。主なやり取りは次の通り。
―2024年を振り返って。
倉富 元気に躍動した年だった。 コロナの反動もあるが、人が行き交い始めたというのが一番大きな要因。 特にインバウンドは、データ上では九州全体で年間500万人のペースで訪れており、1日あたり1万3千人以上が来ている計算になる。全国で換算すれば4千万人のペースで、日本政府が〝観光立国の実現〟を目指して掲げた「2030年までに年間6千万人」という目標が夢物語ではなくなってきている。
―昨年10月に2回目の開催となった「ツール・ド・九州」は。
倉富 天候に恵まれた中で大会を開くことができた。聞くところによると、参加した選手も「アジアでもっともウェルカムでホットな大会」と評価しているようで嬉しく思っている。来年は、長崎県と宮崎県が加わった九州5県での開催がすでに決定している。自転車競技は欧米で人気があるため、九州7県に規模を広げ、理想では沖縄と山口も一緒になってさらにハイレベルな大会が実現したい。
―24年を象徴する出来事として半導体関連の活発な動きがある。
倉富 台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町に建設した第1工場は年内の稼働を発表している。そして2027年末の稼働を目指す第2工場の建設工事も始まろうとしており、大規模な投資を機に九州に対する外資系企業の関心が高まっている。国際金融機能の誘致を目指す産学官組織「TEAM FUKUOKA」が中心となった取り組みでは、これまで33社の金融関連企業を誘致した。「金融・資産運用特区」に指定されている福岡県・福岡市には続々と拠点が集まってきており、外資系金融機関の受け皿としての役割を求められている。
また、TSMCが本社を置き〝台湾のシリコンバレー〟と呼ばれる「新竹サイエンスパーク」をモデルの1つとした「サイエンスパーク」構築も実現に向けて活動している。拠点を九州の複数地域に設け、電気信号と光信号の回路を融合し情報処理の遅延性を減らす技術革新「光電融合」を利用した広域の情報通信が技術的に実現可能かどうかも含めて研究をして準備を進めている。狙いは九州全体でサプライチェーンを強靭化し、その中に入り込んでビジネスを広げていくこと。
―TSMCの進出、福岡市中心部の大規模再開発は「100年に一度の好機」だと言われている。
倉富 高島宗一郎福岡市長や、服部誠太郎知事などの力強いリーダーに恵まれたこともこの好機を逃さず捉えることができた要因だろう。
―新年に向けての抱負は。
倉富 25年はリーダーたちが起こした波をさらに大きな波にしていく年になるだろう。困難な場面に直面したとしても「今やらずにいつ頑張るんだ」という前向きな気持ちで企業の成長を後押しし、九州を元気にしていく。