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ひびきLNG基地の戦略的活用の協定 西部ガスとJERA


週刊経済2025年5月7・14日発行号

LNGの相互融通や海外ビジネス推進

西部ガス㈱(福岡市博多区千代1丁目、加藤卓二社長)とエネルギー企業大手の㈱JERA(東京都中央区、奥田久栄社長)は4月22日、LNG(液化天然ガス)の安定的な確保をより強固にするとともに、グローバルビジネス推進を図るために、貯蔵施設「ひびきLNG基地」(北九州市若松区)の戦略的活用に関する提携を結んだ。

西部ガスは約500億円をかけてひびきLNG基地に3基目となる大型貯蔵タンクを増設するとともにガス製造やローリー出荷設備などを増強。今夏に着工、2029年上期の運転開始を予定している。今回の提携は両社のLNG安定確保の強化などを具体的化するために実現した。JERAは3号タンクの活用が可能となり、再生可能エネルギーの大量導入や季節間電力需要格差により増大する電力需給の変動などへの対応力の向上が期待できる。また、JERAがタンク使用料を負担することで、西部ガスは巨額投資の早期回収や両社のLNGの相互融通が可能となり、ひびきLNG基地の安定的な運用が可能になる。

さらに両社は、ひびきLNG基地の立地的優位性を生かし、東南アジアをはじめとするグローバルビジネスの推進により収益の拡大を目指す。加えて水素などの次世代燃料を含む長期的かつ広範囲なエネルギービジネスの推進も検討していく。「今回の合意を通じて、日本のエネルギー安定供給およびアジアをはじめとしたグローバルな脱炭素化とエネルギー問題の解決に貢献していきたい」としている

JERAは、東京電力と中部電力との包括的アライアンスに基づき、日本に国際競争力のあるエネルギー企業を創出することを目的に2015年に設立。資本金は1千億円。燃料上流・調達から発電、電力/ガスの卸販売などを一元化し、国内火力発電の半分を占める発電能力と世界最大級の燃料取扱量を誇るエネルギー企業。