INTERVIEW

天神再開発「建設期」の賑わい維持へ/We Love天神協議会に聞く             


 

天神ビッグバンに伴い、天神コアを始め、ビブレ、昨年閉館した福岡ビルや、来年閉館するイムズといった、天神エリア屈指の高い集客力、認知度を誇る商業施設が相次いで閉館することになる。

特に渡辺通り沿い天神の東側は仮囲いが増えることになり、今後天神全体の集客にマイナス影響あるいは、イメージや賑わいが低下するのでは?と言った不安視をする事業者の声も少なくようだ。

これから進む「建設期」でいかにして持続的な賑わいづくりをするか。今年2月、天神の商業者や企業、地域団体などで構成するWe Love天神協議会は、福岡市とともに「天神ビッグバン賑わい創出プロジェクトチーム」を発足した。過去最大の転換期を迎える天神の発展をいかにして持続させるか、その役割が期待される。

これからの天神の賑わい維持へ。We Love天神協議会の川﨑翔真事務局次長に話を聞いた。

(本誌・ふくおか経済5月号(Vol381)特集:天神賑わい維持へより 取材日:4月2日)

 

インタビューに応じてくれたWe Love天神協議会の川﨑翔真事務局次長

 

 

We Love天神協議会の川﨑翔真事務局次長は「プロジェクトチームの取り組みを通じて天神ビッグバン最終年度までの4年間を、2025年以降の未来へ繋がるステップアップ期間にしなければならない」と説く。

このプロジェクトチームには、We Love天神協議会(会長法人:新天町商店街共同組合)のほか、天神地区の商業施設で構成する都心界(会長法人:㈱岩田屋三越)や西日本鉄道㈱、福岡地所㈱、三菱地所㈱、福岡地下街開発㈱、新天町商店街商業共同組合、福岡市の官民8社・団体で構成(2020年4月時点)され、今後事業内容や賛同する商業施設などがあれば臨機応変に対応していくという。

 

 

2020年5月5日時点の福岡ビル。すでに建物の大半が仮囲いに覆われ、徐々に解体作業が着手される

 

 

同協議では4月1日、天神エリアのファッションやグルメ、イベント情報を発信するWebメディア「天神サイト」(運営:ラブエフエム国際放送(株))内に「天神ビッグバン特設サイト」を本格稼働した。

同サイトでは、天神コアやビブレ閉館によって他の天神エリア内商業施設に移転した店舗の情報や、エリア内に新たに出店された情報、そのほかイベントや、天神ビッグバンの将来像、進ちょく状況などを一括発信する。【天神ビッグバン特設サイト: https://tenjinsite.jp/bigbang/

「さまざまなところで天神エリアの情報が流れるが、より分かりやすくするため一括化する必要があった。また、天神コアやビブレは閉館するものの、パルコやソラリアステージなどはあるので、各商業施設の情報を発信しアピールできれば」と語る。

 

 

渡辺通沿い、天神の東側は天神コア閉館でシャッターが目立つ

 

キッチンカー配置で賑わい創出、ランチ難民救済へ

 

川﨑次長によると、今後建設が盛んに行われるいわゆる天神コア、ビブレのある東側と、ライオン広場や、きらめき通りのある西側との両面で回遊性の向上を目指す考えだという。

例えば、1つのイベント会場だけで人の往来が完結するのでなく、サテライト会場を設けるなどアレンジを加えることで東西両方に人流を生まれるようにしたい考えだ。

また、公開空地や公園、広場などの公共空間にキッチンカーを平日昼間帯に設置することで、日常的に賑わいを生み出す案もある。

 

周辺では福岡市中央区大名2丁目の創業支援施設「FukuokaGrowth Next」にキッチンカーが並んでいる。

 

「今後複数の再開発が同時に進むことで、工事関係者は増えるのに対しエリア内の飲食店、食堂が減少するなど、平日のランチ難民が増える可能性が高い。そこで、キッチンカーと椅子、テーブルをオープンスペースに設置し、日常の対策プラスアルファで、ランチの確保もつなげられたら、より人が集まる空間づくりにつながる」と川﨑次長は構想案を語る。

実際に東京・大丸有エリア(大手町、丸の内、有楽町)ではまちづくり統括団体がこのような賑わいづくりをしているとし「イメージなどは参考にしている」と明かす。

 

丸の内エリアの街中に並ぶキッチンカー。天神の街なかでも近い将来見られる光景になるか。(提供:大丸有エリアマネジメント協会)

現在、実施に向けた具体的施策の検討を進めているが、新型コロナウイルス感染拡大による影響などを考慮し、実施時期については未定だという。

それでも「事態収束後、スタートダッシュができるようしっかり準備をしておきたい。このチームには天神を盛り上げたいと熱い思いを持った人たちが集まっている。We Love天神協議会としても民間、行政のパイプ役として次世代の天神づくりをともに進めたい」と見据えている。

【金縄洋右】