INTERVIEW

ブルゾンちえみ相棒とNFLに最も近い男、みらいふ福岡SUNS入団


 

「地球上に男は何人いると思っているの?35億!」でブレークした芸人・ブルゾンちえみ。その後ろに立つ凛々しいスーツ姿の男性「with B」の一人、元お笑い芸人「ブリリアン」のコージことタレントのコージ・トクダ(32歳)さんが、日本社会人アメリカンフットボール・Xリーグのみらいふ福岡SUNS(福岡市博多区、吉野至社長)に入団することが発表された。

3月31日には福岡市内で入団会見が開かれ、コージ・トクダ選手とともに加入する「世界最高峰・NFLに最も近い男」とも呼ばれる栗原嵩選手(32歳)も会見に臨んだ。両者とも「九州から国内アメフト界を盛り上げ、福岡SUNSがアマチュアスポーツの希望になれるようなチームにしたい」と力強く思いを語った。

(※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、関係者全員マスク着用、室内換気など対策された状態で実施した)

 

「35億の男」、コージ・トクダ選手(右)と「NFLに最も近い男」・栗原嵩選手

 

「35億の男」タレント、アメフトの二刀流に挑戦

 

コージ・トクダさんは法政大学在学中、アメリカンフットボール部でキャプテンを務め、学生日本一の経験を持つ実力者。大学卒業後は、エンターテイナーの道へ進み、お笑いコンビ「ブリリアン」を結成。タレントのブルゾンちえみさんとの「35億!」ネタは、2017年の流行語大賞候補にノミネートされるなど話題となった。

これまで10年間競技から退いていたが、2020年を「新たな挑戦の年」と位置づけ、2月23日に自身のツイッターでアメフト復帰を宣言。それに伴い「ブリリアン」は解散するなど、自ら退路を絶った。今後はタレント業とXリーグ選手の“二刀流”で福岡からアメフト界を盛り上げる。

 

「芸人時代チャチャタウン小倉での営業でウケた思い出がある」と笑顔のコージ・トクダ選手

 

コージ・トクダさんは会見の冒頭「10年間のブランクはあるが、その分ためてきた思いがある。ここ福岡の地で爆発させ、活躍したい」と目を輝かせた。

みらいふ福岡SUNSでの背番号は、「35」ではなく、「9」。これは、法政大時代の「44」とブレークした「35」を引いた数字にするなど心機一転を図った。

「今まで“脱ぐ仕事”だったこともあり、体は常に作ってきた。今後は“動ける体”を作らなくてはならない。タレント活動との両立は割合を50:50ではなく、100:100で。つまり、“コージ200%”でいきます」と宣言している。

入団の決め手について訪ねると「福岡へ練習参加した移動の車中で、吉野代表が『僕らがアメフト界からいなくなっても、各都道府県にアメフトチームがあるといいな』と聞き、この人はこんなにも未来のことまで考えているのだなと。熱いなと。そして、ここまで先のことを考えている人というのは、簡単にはブレないと感じた」と経緯を語った。

 

「福岡SUNSなら国内アメフト界を盛り上げられる」

 

ともに入団する栗原選手とコージ・トクダさんは法政大時代のチームメイト。大学時副キャプテンだった栗原選手は、これまで2つの国内強豪チームでプレーしてきたほか、NFLにも挑戦するなど実力者として知られている。Xリーグ史上初めてFA(フリーエージェント)宣言し、加入したみらいふ福岡SUNSでは、選手としてだけでなく、GMも兼任することになった。

 

Xリーグ史上初のFA宣言で加入した栗原選手。世界最高峰・NFLに最も近い選手としても知られる

 

FA宣言後、多数の国内強豪チームから引き合いがあったと語る栗原選手。Xリーグを筆頭に国内のアメフトは関東、関西が中心の競技ということ現状もあり、福岡SUNSからのオファーには「当初は関西、関東で探すことを想定していた。九州・福岡でアメフトをすることは全く考えてなかった」と振り返る。しかし、「1番最初にオファーをくれたのが福岡SUNS。これまでチームの存在は知っていたし、今までのXリーグチームには無い取り組みの数々を注目していた。吉野代表の話を聞き練習に参加する中、他のチームにはない魅力に気づき、ここならアメフト界を盛り上げられると感じ入団を決めた」と笑顔を見せた。

 

マイナースポーツの希望となる証明を

 

 

吉野代表は「国内でアメフトはまだまだマイナースポーツ。かつ、スター選手が不在」と課題を指摘。それでも、これまで、過去にマイナースポーツだった卓球であれば、福原愛選手、ラグビーだと五郎丸歩選手といったスター選手の誕生によってメジャースポーツになった実例がある。これを引き合いに「実力はもちろんのこと、2人は発信力のあるスター選手。福岡だけでなく、全国へアメフトの認知度向上につながると期待している」と新規ファン拡大へ大きな期待を寄せている。

 

「実力はもちろん、新加入2選手の発信力でアメフト界を盛り上げたい」と吉野代表

 

栗原選手も「日本のアメフト界を盛り上げる上で、あまり盛んでは無い九州・福岡から盛り上げることに成功したら面白いと感じている。その目標が実現すれば、福岡SUNSが、日本であまり日の目を見ないマイナースポーツの“希望”になると証明できるのでは」と熱い思いを口にする。

また、「国内アメフト界にスター選手が必要なのは間違いない。しかし、スターは現れるのではなく、造るものだと思っている」と持論を展開。「協会、チーム含め一丸となって発掘したい」と、GMとしての風格も見せた。

 

Xリーグで一番集客力があるチームに

栗原選手は「大きな会場でたくさんの観客が集まる中で試合がしたい。近い目標として、みらいふ福岡SUNSの試合がXリーグで1番観客が多いとなるようにしたい。そして、関東、関西で開かれる強豪チーム同士の試合よりも、福岡で開かれる試合の方がたくさん入っている。そう言われるようにしたい。また(福岡ソフトバンクホークスなど)ほかの地元スポーツチームとも交流し、福岡全体を盛り上げられたら」と展望を語る。

コージ・トクダ選手も「東京ドームの超満員の観衆の中でプレーするイメージはある。福岡でもアメフトの魅力が伝わり、理解してもらえれば満員にできる」と自信をのぞかせる。「福岡のファンにもう1度見にきたいと思える試合を、プレーを常にしたいし、試合以外でも観客目線で盛り上げたい」。ピッチ内外で福岡を沸かせる覚悟だ。

Xリーグは秋にシーズンが開幕。スタジアムで活躍する2人の姿に注目が集まりそうだ。

 

左からみらいふ福岡SUNS・齋藤理事、吉野代表、栗原選手、コージ・トクダ選手、みらいふの古下専務

 

コージ・トクダ/大阪府出身。1987年12月20日生まれの32歳。法政大学卒。元お笑いコンビ「ブリリアン」の一人で、ブルゾンちえみとのユニットが話題となった。ワタナベエンターテイメントに所属しながらタレント活動をしている。Instagramのフォローワーは約35万人。(20年4月時点)

 

栗原嵩/東京都出身。1987年11月7日生まれの32歳。法政大学卒。Xリーグの強豪であるパナソニックインパルスやIBMビッグブルーでプレー。「NFLに最も近い男」との呼び声高い選手。国内リーグで初めてFA宣言し、2020年からみらいふ福岡SUNSにGM兼任で所属する。

 

【金縄洋右】