INTERVIEW

    総合エンタメ企業への転換期/福岡ソフトバンクホークス・吉村徹事業運営本部長


    福岡ソフトバンクホークス(株)(福岡市中央区地行浜2丁目、後藤芳光社長)は7月21日、福岡PayPayドーム敷地内に7階建ての複合エンターテインメント施設「BOSS E・ZO FUKUOKA(ボスイーゾフクオカ)」を開業した。

    PayPayドームに隣接する同施設は、最新技術を活用したデジタルコンテンツ集団・チームラボ(株)(東京都、猪子寿之社長)の常設デジタルミュージアム「チームラボフォレスト – SBI証券」を核に、3種類の絶景アトラクションが楽しめる「絶景3兄弟」、バーチャルコンテンツが体験できる「V-World AREA(ブイワールド エリア)」といった体験型のアトラクションが入る。

    そして、「よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場」、「王貞治ベースボールミュージアムSupported by リポビタンD」がオープン。さらに、食を通じたエンターテインメントを表現した「TheFOODHALL」には、国内、九州初出店や、新業態店舗が並ぶ。また、今年秋には「西日本シティ銀行 HKT48劇場」や、貸し出しも可能な展示場メーンのイベントスペースがオープンする。

    事業運営本部の吉村徹本部長は「来場者の反応を見てもクオリティの高いエンタメコンテンツが集約されている自信があり、幅広い年齢層の方々が楽しめる場所になった」と笑顔を見せる。

     

    福岡PayPayドーム敷地内にオープンした複合エンターテインメント施設「BOSS E・ZO FUKUOKA(ボスイーゾフクオカ)」

     

    本来「BOSS E・ZO FUKUOKA」は5月中旬以降に開業する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で約2カ月遅れてオープンすることに。吉村本部長は「開業日をなかなか決めにくい中、このご時世で本当にオープンしていいのか葛藤もあった」と振り返る。

    現在は感染対策としてキャパシティを各フロア定員の半数以下にして営業。館内全てに殺菌のため光触媒の抗菌コーティング塗装を実施。入り口での検温のほか、アトラクションや公演のチケットを購入した来館者には一部個人情報の登録を承諾してもらうことで、館内で感染者が出た場合、該当する来館者に連絡するなど徹底した対策を敷いている。

     

    体験型アトラクションの「V-World AREA(ブイワールド エリア)」WRの「フォトンバイク」に試乗する福岡ソフトバンクホークスの牧原大成選手(提供:福岡ソフトバンクホークス)

    通常毎試合4万人を集客でき、昨年レギュラーシーズンのみで年間265万人以上を動員したホークス戦や、ドームで開かれる大型コンサートなどによって年間稼働率が90%台を誇る福岡PayPayドームの隣にオープン。さらに、商業施設「マークイズ福岡ももち」や、ハイクラスホテル「ヒルトン福岡シーホーク」のすぐそばの好立地での開業ということもあり「BOSS E・ZO FUKUOKA」の当初計画は、初年度年間200万人の集客、売り上げ30億円を目標としていた。

    しかし、コロナ禍や開業延期もあり、初年度の達成は難しい状況に。それでも「日々変わる情勢に楽観視はできないが、こういう時だからこそエンタメ施設らしく、明るい話題を発信し、来館者に楽しんでもらいたい。まずは福岡県内のお客さんを中心に来てもらえるよう、安心安全を保ちながら運営する」と前を向く。

     

     

    オンライン取材に応じる福岡ソフトバンクホークス事業運営本部の吉村徹本部長

     

     

    野球チーム運営会社から総合エンタメ企業への転換

    コロナ収束後のインバウンド客誘致にも自信

     

    福岡ソフトバンクホークスは2012年にシンガポール政府投資公社からドーム球場(当時・福岡Yahoo!JAPANドーム)の運営権を860億円で取得したのを機に、球場内の改修を続け、試合を「観る」要素だけでなく「楽しむ」要素を生み出す新たなアイデアを取り入れ、野球を通じた「エンタメ性」の向上に力を入れ始めた。

    近年はインバウンド客の誘致にも力を入れ、昨年は年間約5000人の外国人観光客を動員するなど、海外からの観光客を呼び込める「コンテンツ」として進化を遂げている。また、昨年は球団主催イベントでホークス福岡移転30周年記念事業の一環としてドームで音楽フェス「FUKUOKA MUSIC FES」を開催するなど、エンタメ性の追求は野球だけに止まらない考えだ。

     

    そんなホークスがなぜ、エンタメ施設を運営することになったのか。

     

    吉村本部長は「ドームを基軸にした経営が進む中、野球やコンサートなどでドームのスケジュールはすぐに埋まってしまうなど成熟期を迎えていた」と説明する。その中で、「これからは野球の会社から“総合エンターテインメントの会社”を目指す上で、新しい切り口でやらなければならないという考えに至った」と話す。

     

    体験型アトラクションも兼ね備えた「王貞治ベースボールミュージアムSupported by リポビタンD」(提供:福岡ソフトバンクホークス)

     

    「我々が地元エンタメ界の発展を目指し中心となってけん引し、エンタメを通じ百道エリアを中心とした周辺地域の活性化に寄与したい思いがあった。そうした中、近隣のマークイズさんや福岡タワーさんなどの集客拠点を点と線で繋がれる拠点があれば。という意見にまとまった」(吉村本部長)

     

    また「ドームとE・ZOそれぞれの来場をきっかけに両施設を行き来する相乗効果を期待している。今回誘致したエンタメコンテンツは、野球観戦客やコンサート来場客、そしてインバウンド客が流れてくることも想定。観戦に訪れる野球ファンが継続して楽しめるスポットや、お笑いとアイドルの専用劇場、さらに核なるチームラボフォレストは海外での知名度も高いことから、コロナ収束後はより高い集客、さらには、力を入れているインバウンド誘客も期待できる」と胸を張る。

     

    プロ野球チーム運営企業から総合エンターテインメント企業へ。ホークスのさらなる躍進が期待される。

     

    「BOSS E・ZO FUKUOKA(ボスイーゾフクオカ)」

     

    (編集部・金縄洋右、ふくおか経済9月号特集「再開へ動き出した福岡のエンタメ市場」より抜粋)