INTERVIEW

    「音楽の灯」再熱へ、ミュージックアクション福岡始動/ 深町健二郎 総合プロデューサー


     

    2014年から毎年9月、福岡市内を中心に開催されてきた音楽の祭典「福岡ミュージックマンス」。糸島市芥屋で開かれるサンセットライブや、中洲ジャズ九州ゴスペルフェスティバル福岡アジアンピックスミュージックシティ天神といった多彩なライブイベントが週末に開かれ、昨年は26万人が来場。「音楽都市・福岡」を全国、そしてアジアに発信することを目指し、1カ月間音楽を通じた交流でまち全体の賑わいへ繋げてきた。

    しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で例年通りの開催は中止に。コロナによってアーティストやライブハウス関係者など、地元の音楽業界が苦境に立たされている。それでも、「福岡の音楽の灯は消させない」という関係者の思いのもと、新プロジェクト「ミュージックアクション福岡」が始動することに。総合プロデューサーを務める音楽プロデューサー・深町健二郎さんにその想いを聞いた。(編集部・金縄洋右)

     

    音楽プロデューサーとして福岡を中心に活躍する深町健二郎 (ふかまち・けんじろう)さん。「ミュージックマンス福岡」の総合プロデューサーを務めるほか、地元TV、ラジオ番組などにも多数出演している。日本経済大学経営学部経営学科芸能マネジメントコースの教授も務める

     

    「音楽の灯」再熱へ、新プロジェクトで毎日が”音楽の祭典”

     

     —これまでの「福岡ミュージックマンス」を振り返って。

    深町 福岡ミュージックマンスは、一般的な音楽イベントに多いジャンルの縦割りをしないため、老若男女、多様な国籍の人が入り混じりやすい福岡らしさに溢れていると思います。

    2年前、オーストラリアで開かれた「音楽都市」が集まる国際会議では、東京でも大阪でもなく福岡が、日本初の参加都市として招待されました。我々の取り組みをプレゼンすると、「1カ月間毎週末同じ都市で音楽フェスをやっている都市は聞いたことが無い!」と称賛されるなど、海外からも注目されるイベントに成長しているのではないでしょうか。

    —今年は音楽支援プロジェクト「ミュージックアクション福岡」を始動することになりました。

    深町 特設ウェブサイトで9月1日〜30日まで毎日、福岡市内のさまざまなライブハウスから日替わりでアーティストがライブ配信し、サンセットライブや九州ゴスペルフェスなどこれまで開いてきたフェスについても、週末にweb配信を実施します。そうすることで、アーティストの活動場の確保、ライブハウスを活用できる機会創出などの役割を果たしていきます。

    また、新型コロナの影響で苦境の立場にあるエンタメ事業者の稼働にも繋げたい考えで、福岡の音楽産業の支援を目的にライブハウス、アーティストに向けた投げ銭システムや、クラウドファンディング、一部コンテンツを有料配信するなどオンラインならではの支援策を導入することで、循環型のイベント支援プロジェクトとして成功させたいです。

     

     

    “福岡のビートは止まらない“   チャリティソングプロジェクト始動

     

     —このほか、地元音楽産業支援の一環としてオフィシャルチャリティソングプロジェクトが始動しましたね。

    深町 9月1日にオフィシャルチャリティソング「Beat goes on(ビートゴーズオン)」を発表しました。

    音楽プロデュースには柴咲コウさんや中川翔子さんなど多くのアーティストのプロデュースを手掛けてきた松隈ケンタさん(福岡県出身)を迎え、「めんたいロック」の草分け的存在の一人・鮎川誠さんらによる演奏も加わり楽曲を仕上げています。

    さらに、福岡県内で活躍するタレントやアーティスト、地元アイドルグループ、そして、在京アーティスト、芸能人など総勢60組100人以上の著名人がレコーディングやミュージックビデオに出演するなど、活躍するジャンルの垣根を超え、”福岡愛”の熱い想いを曲に込めました。

     

    【出演者】
    鮎川誠 / シーナ / LUCY / 浦田賢一(サンハウス) / 鶴久政治 / 百々和宏(MO’SOME TONEBENDER) / 田渕ひさ子(NUMBER GIRL) / 松隈ケンタ / Buzz72+ / tatsuo / カンニング竹山 / 石原良純 / 田口浩正 / 振付稼業air:man / コンバット満 / ケン坊田中 / 高田課長 / 黒瀬純(パンクブーブー) / マサル / 九州新喜劇 / 博多おっしょいズ / ゴリけん / パラシュート部隊 / 波田陽区 / 町田隼人/ HKT48 / LinQ / ばってん少女隊 / チャントモンキー(BiS) / 高島宗一郎(福岡市長) / 田畑⻯介(RKBアナウンサー) / 宮本啓丞(KBCアナウンサー) / ⻑岡大雅(KBCアナウンサー) / 橋本真衣(TNCアナウンサー) / 結城亮二(TVQアナウンサー) / 若林麻衣子(FBSアナウンサー) / 斉藤ふみ / 中上真亜子 / 内村麻美 / 吉本一椛 / 大島向葵 / fumika / バンバンバザール / Leetspeak monsters / 池上ケイ / ヒロ(イーシス) / FREAK / YASS(ビーグルクルー) / 坂田隆一郎(10神ACTOR) / 九星隊 / ヤバイ仮面 / オーガマン / 空狐3000 / 猫jealousy / Theコットンクラブ / ⻁太朗 / 岡部諒輔 / 米岡誠一 / 栗田善太郎 / 深町健二郎 (敬称略・順不同)

     

    深町さんと、オフィシャルチャリティソングの制作に携わった松隈ケンタさん(右)

     

    そして、この楽曲をミュージックアクション福岡の“アンセム(応援歌)”として、在福の民法各社とも連携、楽曲を各番組などでオンエアしてもらうことで版権収入を得ることができるようにします。

    さらに、一般の向けの有料配信ダウンロードもできるようにし、集めた収益をすべて地元音楽業界への支援、今後リアルイベントが開ける時期になったときの運営基金にするなど継続した支援に充てる考えです。

    企業のスポンサーに依存する形ではない、我々からお金を生み出せる仕組みを構築し、多くの人に聴いてもらい共感してもらうことで、今後の活動にコミット、支援したいという流れが増えてほしいですね。新たに構築したエコシステムで地元音楽業界のピンチを乗り越え、「音楽の力」で福岡のまちを盛り上げていきたいです。

     

    「ミュージックアクション福岡」は9月1日から30日までオンライン配信で毎日開催

     

     

    オンライン発信で福岡拠点のメジャーアーティスト誕生へ 

    ヒト、モノ、コト、が集まる仕掛けで都市の可能性アピール

     

    —福岡ミュージックマンスが今年はライブ配信で開かれるように、コロナ感染拡大で配信型サービスが急速に広まっています。これらによる影響は。

    深町 エンタメの国内主流拠点である東京を活動拠点にしなければ自身を広くアピールできないということがなくなりつつあるように感じます。

    コロナ拡大で地方から全国に発信する流れはより加速し、良質なコンテンツであればどこを拠点にしていても支持され、地名度を一気に広げられるチャンスではないでしょうか。

    ですので、今年の福岡ミュージックマンスがライブ配信に代わったことは決してネガティブなことではありません。音楽業界の東京一極集中が崩れていくのではという声はより確かなものになっていると思います。

    —特に、福岡は井上陽水さん、最近では家入レオさんなど、これまで長きにわたり多くの国内音楽業界を代表するアーティストを世に輩出し続けました。しかし、残念ながら東京に進出しなければメジャーになれないという理由で流出するケースがほとんどです。

     深町 これからも上京しメジャーになる夢を追い求める人は多いと思います。しかし、近年は福岡を拠点に活動するバンドグループ・yonawo(ヨナヲ)やAttractions(アトラクションズ)らが国内大手レーベルとメジャー契約するといった事例や、関東の有力ライブハウスがレーベルと共に福岡に進出するなどの動きもあります。

    音楽都市を目指す上でアーティストが福岡で活躍できる環境を整備してきたことから、その素地が成長している自信があります。

    そして、今回のミュージックアクション福岡を通じ、福岡のまちと音楽の可能性を発信することで、全国展開、あるいはアジアをマーケットにするバンドが福岡から誕生する期待感が増していけたらと思います。

    —コロナ禍で「音楽都市・福岡」に磨きをかけるため、今後どのような取り組みを。

    深町 コロナ収束後、例えば大手レーベルが福岡に拠点を作るだとか、あるいは東京から著名なミュージシャンが移住してくるだとか。音楽を通じて多様なヒト、モノ、コトが集まる仕掛けをし、福岡のまちが音楽業界においていかに可能性で溢れているか。国内外の人に感じてもらえるようにしなければなりません。そのための将来に向けたタネ蒔きに注力していきます。