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ふくおか経済EX 2022

HYUGA PRIMARY CARE(株)


日本の医療を変革するプラットフォーマー

(写真)入居施設に出向き訪問服薬指導

福岡や関東で調剤薬局「きらり薬局」の展開を軸に服薬指導や在宅訪問サービスを提供する同社。在宅医療の社会インフラ化を目指し2021年12月、東京証券取引所の新興企業向け市場マザーズに上場した。あらゆる分野で協業しIT化を推し進め、新たな視点で在宅医療を普及させるプラットフォームを確立する。

上場であらゆる分野で連携強化

「24時間365日、自宅で安心して療養できる社会インフラを創る」と急速な高齢化を背景に、受け皿になる在宅医療体制の確立に奮起する黒木哲史社長。そのステップとして選択したのが上場だ。知名度を上げることによる上場メリットは大きく、組織をまとめる優秀な人材の確保に加え、医療や介護、業界の枠を超えた幅広い業界との提携により社会のインフラ化を目指す。
「在宅医療」をキーワードとする同社の中核を担うのが調剤薬局「きらり薬局」の展開になる。薬局を拠点に薬剤師が患者の自宅や入居施設に訪問し服薬指導や在宅訪問サービスを提供、半径3.5キロ以内のドミナント戦略により訪問効率を重視している。店舗数は2022年3月現在で36店舗。一般的に外来9割とされる調剤薬局業界において同社運営の薬局は在宅調剤比率が6割と在宅患者数も年々増加している。

在宅運営ノウハウ提供が急成長

厚生労働省は訪問診療の利用者が2025年までに100万人と推計し、受け皿を増やすため24時間体制で診療やケアする医療や介護事業者への報酬を手厚くし「入院から在宅」への抜本的な転換を進めている。こういった時代の波に乗り急成長しているのが中小薬局事業者向けに自社開発の在宅運営システムを提供する「きらりプライム事業」。在宅訪問薬局事業が売り上げの9割以上を占める一方でプライム事業は全体の5割を占める収益力を誇る。「国策にも合致し、生き残りをかけた中小薬局事業者のニーズが高まっている」と黒木社長。運営ノウハウや業務効率化システムは、サブスクリプション(定額料金)と継続的に収益を上げるリカーリングの併合型で提供し、コンサルといったナレッジビジネスにより高付加価値事業を生んでいる。

(写真)調剤薬局経営者向けセミナー

ITで地域包括システム体制確立

さらに自社にIT開発チームを置くことで、報告書作成から医療関係者への送信まで一元管理できる在宅報告書システム「ファムケア」、高齢者や要介護者の退院後の受け入れ施設を紹介するアプリ「タイサポ」をいち早く開発し運用している。
このほど、介護施設向けにみまもりICTロボット端末の開発に着手するなどICT事業を立ち上げ、テクノロジーの力で課題を解決し地域包括ケア体制を確立する。
ニッチ市場とされていた訪問型の在宅医療に目を向け、調剤に留まらず多職種との連携による多彩な事業を創る同社の原点は、薬剤師の資格をもち医療現場を見てきた黒木社長自身の経験によるもの。創業期、薬の配達先で患者との出来事が今の事業に生きている。黒木社長は「“ヒュウガ”という会社ができた以上は在宅医療が浸透し、世の中が変わっていなければならないと考えている。100万人の在宅患者のうち15%を我々がケアできれば、真のリーディングカンパニーといえるのではないか」と決意新たに、創業15年パブリックカンパニーとして船出する。

黒木哲史 社長
くろぎ・てつじ/宮崎市出身。1978年3月15日生まれの44歳。第一薬科大学卒業後、調剤薬局で勤務。大手製薬会社のMR勤務を経て2007年11月独立開業。開設当初から在宅、外来保険調剤薬局として在宅医療介護に携わる。趣味は映画鑑賞

 

【DATA】
所在地/〒816-0802 春日市春日原北町2丁目2番1号
TEL/092-558-2120
FAX/092-558-2121
設立/2007年11月
資本金/1億474万2500円
事業内容/在宅医療・介護全般におけるサービス提供(保険調剤薬局、居宅支援介護事業所の運営他)
年商/50億8600万円(21年3月期)
従業員/442人(パート社員含む)
URL/https://www.hyuga-primary.care/ja/index.html

(ふくおか経済EX2022年)