FEATURE

ふくおか経済EX 2020

T・D・I事業協同組合(トータルスタッフグループ)


外国人技能実習生制度を活用し、国際色豊かな人材を提案

政府が1993年に創設した「外国人技能実習生制度」に基づき、九州でも外国人実習生の受入企業が増加。産業界が抱える人出不足を解消するための就労支援ツールとして注目されている。T・D・I事業協同組合は「特定技能」登録支援機関として、外国人実習生と地場企業の橋渡し役を果たすことで地域活性に寄与していく。

地域発展の橋渡し役に大きな使命感と責任感

外国人技能実習制度を通じて企業に安定かつ確かな人材を提供し、広く国際社会に貢献できることを目指す外国人就労支援監理団体「T・D・I事業協同組合」。時代の要請に即した企画と行動力を兼ね備えた人材教育を追求し続け、九州管内に一大ネットワークを確立している「トータルスタッフグループ」の一翼として、関連10社とともにノウハウを駆使し、あらゆる業種の即戦力をコーディネートしている。
2015年7月に開設した「T・D・I事業協同組合」は現在、東南アジア諸国の送り出し機関と協定を締結。現地で3カ月から6カ月間、入国前講習として専門家や日本語教師による日本語教育や日本文化、習慣指導などを受けた後、同組合が在留資格認定証交付やビザ発給、日本入国後の講習など手続きを支援。さらに、外国人技能実習生が日本社会に馴染むための教育や職能に合わせた研修を実施し、九州圏内の各企業で実習を行っている。

外国人技能実習生の活用で社内活性化に寄与

同制度は政府が開発途上国の人材育成に協力し、外国人実習生を一定期間企業が受け入れ、産業上必要な技術や知識を習得してもらう目的で1993年に創設。外国人技能実習生を活用することで、慢性的に人材不足に陥っている企業の労働力改善および社内活性化に大きな期待を寄せていることが背景になっている。西崎代表理事は「外国人技能実習生は高い意識と意欲を持ち、日本の職場における勤労態度は真剣そのもの。その過程で習得したスキルを母国に持ち帰り、地域の発展に貢献する。その橋渡し役を果たせることに大きな使命感と責任感を感じており、当組合の取り組みが少しでも国際貢献につながれば、今後の大きな自信にもなる」と意欲を見せる。
特に、受入先企業が懸念するのは実習生を受け入れた後のサポート体制の充実。同組合では派遣後も継続的に実習生全員と職員がこまめに連絡を取り合う体制を整えており、実習生の不安解消やトラブルの未然防止にも注力している。

「特定技能」登録支援機関として就労支援を拡充

さらに、同組合は昨年4月、法務省による「出入国管理及び難民認定法第19条の25第2項」(出入国在留管理庁)規定に基づき、在留資格「特定技能」登録支援機関の認可を取得している。
技能実習制度に基づく対象職種は81職種145作業。そのうち、一定の技能水準・日本語能力水準を満たした「特定技能」の対象となる産業分野は介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野となる。
在留資格期間は通常3年間。その間、技能実習1号からスタートし、技能検定試験を経て技能実習2号取得を目指す。現在、最長5年間の在留が可能となっているが、「特定技能」の在留資格により、追加で5年間の合計10年間での就労が可能になる。また、高度な熟練者の「特定技能2号」を取得した後、定期的に更新を行うことで日本に永住することも可能になるなど、政府が打ち出す今後の手続きや資格取得の在り方に注目が集まっている。
今後予定している「東京オリンピック・パラリンピック」開催を控えた需要の盛り上がりやインバウンド需要など景況感が上昇基調にある側面で、特に中小企業の労働力不足が深刻化しており、経営者は今後の営業活動推進や生産性向上のための投資手法、組織基盤の再構築、業務・コスト効率化などさまざまな業務改善の選択肢に迫られている。「T・D・I事業の意義と社会的役割の大きさを改めて認識し、トータルスタッフグループ独自の〝グローバルな雇用形態〟を象徴した就労・人材派遣サービスを提供し続けていく」。同組合の新たな挑戦が始まる。

西崎 晃 代表理事
にしざき・こう/福岡市出身、1967年7月18日生まれの52歳。トータルスタッフグループ代表取締役会長兼社長。趣味はゴルフ、マリンスポーツ

 

(ふくおか経済EX2020年)