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ふくおか経済EX 2020

(株)筑水キャニコム


「カウントダウン300」が始動

5カ年の新中期経営計画「カウントダウン300」をスタートしたキャニコム。5年後の売上高100億円を目指し、国内外で事業を拡大している。現在は生産能力を1.5倍に引き上げる新工場建設の準備を進め、災害復旧用機械への進出も計画。「100カ国取引」を目指し、「Made by UKIHA」の精神が、世界中に羽ばたこうとしている。

新工場建設で売上高100億円目指す

1月からスタートした新中期経営計画「カウントダウン300」は「売上高100億円」「100カ国取引」「100年企業」の3つの「100」がキーワードになっている。
世界各国に顧客を持つ同社の売上高は現在63億円。3代目となる包行良光社長が就任して以来、6年間増収増益を続けているが、今後5年間は成長スピードをさらに加速させ、毎年10億円規模で売り上げを伸ばしていく。準備を進めている新工場「演歌の杜うきは」はその原動力となり、同社が従来主力にしてきた草刈機、小型運搬車のほか、積載能力5トン前後の中・大型機を中心に製造。現状の生産能力を1.5倍に引き上げる計画だ。
「ここ数年、各国からの発注に工場での生産が追いつかない状況が続いている。新工場を稼働させることで需要に応えられる生産環境を整え、新たな顧客を開拓していきたい」と包行社長は売上高100億円までの道筋を説明する。

「Made by UKIHA」海外展開を加速

北米やヨーロッパ、アジアをはじめとする46カ国に進出している同社にとって「100カ国取引」は大きな目標となる。46カ国のうち先進国との取引が多く、今後は中南米やアフリカの中で、人口が伸びている国や平均年齢が若い国などを中心にマーケティングを実施し、順次進出していく。
包行社長は「発展途上国の経済成長に伴い、世界的な食糧不足の深刻化が課題となっているが、そうした中で安定生産、高品質が高く評価されている日本型農業が世界中の農業関係者の注目を集めている」と説明した上で、「過去進出した国々で各国のお客様の要望を常に製品開発に取り入れ、新たな顧客を増やしてきた。これからの10年間、世界中の農業や林業は大きく変わる。その変化を楽しみつつ、新たな市場を生み出し、『Made by UKIHA』を世界の隅々まで広げていきたい」と意気込みを語る。

災害復旧分野で製品開発に注力

家業の鍛冶屋から国内外に展開するメーカーに成長し、5年後に創立70周年を迎える同社。時代の変革に合わせ、これまで200種類以上の製品を開発してきた。
直近では、造林作業に特化した「山もっとジョージ」(日刊工業新聞社主催“ネーミング大賞”ビジネス部門第1位)を開発。100年企業に向けて、今後も顧客や社会に必要とされる会社であり続けるために、従来の枠にとらわれない新たな分野への進出が不可欠だ。
昨今は各地で台風や土砂災害によって甚大な被害がもたらされ、国内外で災害復旧用の機械・ロボットの需要が高まっている。
同社では過去、発電機付き作業車「伝導よしみ」が災害現場で活躍した事例があり、「先達が残した知恵を生かし、災害復旧の分野でもキャニコムのブランドを広げていきたい」と語り、氾濫など、水害を抑制するための河川管理作業を省力化する機械「川中みゆき」の製品化など新製品開発に力を注いでいく。
「カウントダウン300」という新たな目標のもと、100年企業に向けて同社は歩みだしている。

包行 良光 社長
うきは市出身。1980年2月18日生まれの40歳。帝京大学法学部卒。2012年BBT大学院卒業 MBA取得。2003年同社入社。06年に営業本部マーケティング副本部長に就任した後、単身渡米。一人で駐在し、CANYCOMUSAの社長としてアメリカの市場を開拓した。09年取締役、10年常務を経て、2015年から現職。趣味はラグビーで、学生時代はラグビー部に、渡米後も現地の社会人ラグビーに所属した

 

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(ふくおか経済EX2020年)