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ふくおか経済EX 2021

(株)チヨダ


創業60年で積み重ねた基盤生かし事業領域を拡大

(写真左下)本社スタッフ。中央左が山口剛弘常務と右が山口進社長
(右下)南警察署そばにある本社

九州トップの企業ユニフォームディーラーは今年で創業60周年を迎える。積み重ねた顧客基盤は安定経営の礎となり、また事業拡大の足掛かりも作ってきた。近年はユニフォームにとどまらずオフィス全般のサポート業務へとサービス領域を拡大。培った事業基盤と営業力でこれからも成長戦略を駆け上がる。

顧客数と取引業種の幅広さが安定経営の礎に

落ち込みはあったが、運輸、建設、自動車ディラーなど好調な業種の下支えによって、コロナの影響は最小限にとどめることができている」と上半期を振り返る山口社長。顧客件数約1万件、実に幅広い業種との取引実績が、様々なリスクを分散させ、安定した経営を維持している。
今年で創業60周年迎える業界屈指の企業ユニフォーム総合商社は、年商2~5億円の中小零細企業が多い業界にあって圧倒的な規模を誇る。加えてこれまで培ったノウハウとネットワークを生かした豊富な取扱商品数と多彩な納入サービス、それに刺繍や補正などの加工業務からクリーニング、期間保管機能までの全てを自社で完結するワンストップサービスを最大の強みにシェアを拡大。他の追随を許さないビジネスモデルで高い支持を集めてきた。

(写真)春日市にあったチヨダファクトリーは本社に移設。現在はクローゼットに用途を変え、需要が高まっているユニフォームの管理体制を強化した

好調な管理業務の機能を強化

現在需要を伸ばしているのがユニフォームの管理業務だ。近年はレンタルが納入の主流となる中、受注状況や納品履歴などがシステム化された一元管理体制は、フレキシブルで迅速な納入、さらに顧客側の管理の煩雑さを解消できるとあって、大口を中心とした受注が好調だ。またユニフォームを悪用した転売や二次利用を防ぐセキュリティ対策への効果も高いことから、最近は管理業務のみを依頼するケースも増加。3月には加工業務を担当する㈱チヨダファクトリーを本社ビル3階に移設し、そこに新たにクローゼットスペースを確保。北九州市、嘉麻市、本社別館にある既存の物流拠点と合わせ、管理業務の機能強化を図っている。

蓄積した基盤生かし業務領域はオフィス全般に

ユニフォーム事業で積み重ねた圧倒的な数の顧客ネットワークを活用し、今後強化しているくのがオフィス全般のサポート業務だ。グループで不動産部門を担当する㈱チヨダネットワークは、経営効率化やコスト削減など、様々な観点から既存オフィスを再検証し、必要な事務機器等の手配も含め、社員が仕事しやすい最適なオフィス環境づくりをトータルでコーディネート。またオフィスやテナントはもちろん、会社が福利厚生として利用できる賃貸マンションや一軒家の紹介といった不動産仲介業も手掛けるなど、付加価値の高いサービスを提供している。その事業基盤に、本業で培った様々な業種とのアライアンスも駆使しながら、福利厚生や保険、コスト削減なども幅広くサポートしていく。いわば「企業の総務の窓口機能」を担っていくようなものだ。
近年はデザイン性に加え、抗菌・ウィルス対策、さらに空調服やアシストスーツなど、働く環境に応じた高機能なユニフォームが続々と登場している。「この商品力を生かすも殺すも個々の営業力がカギを握る。それは単に営業スキルを高めることでない。相手の懐に入りこむことで信頼関係を築き、顧客の要望以上の結果で満足してもらうことだ」と山口社長。これからも営業力の強化を優先課題にユニフォームからオフィス全般へと事業領域を拡大することで新たな企業価値を創造する。

【DATA】
所在地/〒815-0032福岡市南区塩原2-7-5
TEL/092-562-1221
FAX/092-562-2511
創  業/1961年8月
設  立/1972年10月
資本金/1,000万円
事業内容/企業ユニフォームの卸売、小売、レンタル
年  商/19億5,000円(20年7月期)
従業員/47人
出  先/(支店)北九州、久留米、飯塚、(工房)本社別館、春日
関連会社/㈱チヨダファクトリー、㈱チヨダネットワーク
URL/http://www.chiyoda-jp.com/

(ふくおか経済EX2021年)