FEATURE

ふくおか経済EX 2017

(株)タカラ薬局


薬剤師の「町内密着」と「専門性向上」で選ばれる薬局に

福岡都市圏に特化したドミナント戦略で70店超を展開するタカラ薬局。新店に加え、既存店でも複数機能を持つ“街の健康サポート薬局”への移行を図る。スタッフには「町内密着」「専門性向上」を促し、求められる薬剤師の育成に努める。

7月オープン予定の箱崎九大前店の完成パース

メディカルシティ3カ所新設、既存店“健康サポート薬局”へ

地域の医療を支える「タウンホスピタル構想」のもと、福岡都市圏を中心にエリアをしぼったドミナント出店戦略で調剤薬局を展開する㈱タカラ薬局。今年は3カ所で新店舗がオープン予定だ。4月に福岡市西区福重、7月には東区箱崎九大前、11月に中央区小笹で計画。いずれも同社が得意とする「メディカルシティ」(地域に不足する診療科目を補う複合型医療施設)での開設となる。

同時に、主要既存店のリニューアルも進めていき、春日原北店ではセルフメディケーション、在宅、教育、調剤センターなど複数の役割を持つ“健康サポート薬局”に準じた機能も備える考えだ。このほか那珂店や天神店でも改装を実施する予定で、春日原北店も含めて営業時間を延長し、12時間化を検討。“薬を受け取りやすくすること”で患者の利便性に応えていく。

同社において新店舗開発と既存店の見直しは言わば両輪の位置づけだ。岡村由紀子社長も「まずは選んでもらえる薬局にならないといけない。そのために何をするか。常に考える必要がある。進化をしていかないと」と力を込める。

4月オープンのメディカルシティ福重

専門チームで全社危機管理も追求

 また、昨年の熊本地震やJR博多駅前で発生した道路陥没事故を通して、全社での危機管理についても機能アップを図っていく考えだ。「組織立てて追求していく」とし、既に専門チームを発足。リスク管理規定の見直しを実施し、検証を始めている。

全社での危機管理機能のアップを決断させた昨年のJR博多駅前道路陥没事故。写真のすぐ左側に同社博多駅前店と事務所が入居するビルがある

地域から依頼増加中の「健康サポート出張講座」

2025年へ向けて地域包括ケアシステムの確立が叫ばれる中、岡村社長が掲げているのが薬剤師の「町内密着」。「当社の薬剤師が一人でも多く地域活動に参加し、そこで新たなニーズをつかんでほしい」と語る。岡村社長自身も数年前から率先してボランティアなど様々な形で地域(校区)のコミュニティに参画。高齢者などから生活に密着した相談が寄せられ、数々のヒントを発見してきた経緯がある。これらの取組みが現在では同社薬剤師が地域に出向く「健康サポート出張講座」に発展。各地区の社会福祉協議会をはじめとしたコミュニティから依頼が増加中だ。併せて薬剤師の意識も高まり、勉強会や多職種連携会議に積極参加する姿も多くなった。ひいてはこれらが在宅対応につながっていくことにも期待を寄せる。

一方、「町内密着」の対極として、自社の薬剤師の専門性向上にも注力していく。業界が激変する中、「今後、薬剤師は二極化する。専門性が高くないと生き残れない」と指摘。同社では認定薬剤師の資格取得を基本とし、専門薬剤師取得を奨励。各薬剤師の間で取得への動きが加速するなど効果も表れてきた。

自社の薬剤師に対して「これからも地域での活躍の場、そしてスキルアップのための研修会等、環境、フィールドは最大限準備していく」と岡村社長。よりレベルの高い薬剤師を多く育成すべく、サポート強化に余念がない。

地域コミュニティの催しに出向いて健康相談に応じる同社薬剤師たち

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【DATA】
所在地 〒812-0011 福岡市博多区博多駅前3-25-21 博多駅前ビジネスセンター3F
TEL 092-436-2900
FAX 092-436-2901
創立 1980年5月
資本金 7,200万円(グループ合計)
代表者 岡村由紀子
事業内容 薬局、薬店の経営
年商 109億円(グループ業績)
従業員 325人
関連会社 ㈱タカラメディカル ㈱幸陽堂薬品
URL http://www.takarapharmacy.co.jp

【採用情報】
募集職種 薬剤師
応募資格 薬剤師免許取得者、薬科大学卒業予定者
問合せ先 TEL.092-436-2900
担  当 末次・岡村

(ふくおか経済EX 2017より)