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ふくおか経済EX 2020

(株)シダー


施設、デイサービス共に好調 M&Aも視野に積極展開

(写真中央)「あおぞらの里西原デイサービスセンター」(熊本市東区西原2丁目、19年5月開設)

施設、デイサービス共に好調で、初の売上高150億円の突破を見込む。子会社㈱パインの展開が拡大し、今後は介護付有料老人ホームの棲み分けとブランドの明確化を図っていく。昨年から外国人技能実習生の受け入れを進めており、人材確保や雇用環境などの整備にも力を注ぐ。

初の売上高150億円突破へ

介護付有料老人ホーム、デイサービス、訪問看護を併せた複合サービスを展開。設立当初からリハビリテーションに重点を置き、数多くの理学療法士・作業療法士を採用してきた。専門教育を受け、各資格を持ったスタッフによる本格的なリハビリを受けることができるのも、同社ならではの強みだ。
デイサービスは、ゆとりある空間を生かした大規模型施設(80人規模240㎡以上)を中心に展開。トレーニングルームをはじめ、カラオケやシアター、マッサージルームなど各個人に合った活動を楽しめるのが特徴だ。認知症対応デイサービスも設置し、既存施設を要支援・要介護・認知症フロアに分け、それぞれに合ったサービスを提供するなど、工夫を凝らしている。訪問看護、居宅介護支援などの在宅サービスにおいてもスタッフのきめ細やかなフォローがあり、利用者からの信頼が厚い。
介護付有料老人ホームは、施設見学や体験など気軽に入居できるシステムと24時間365日の万全なサポート体制が強みだ。1階フロアでは、スタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリを行い、居室では自宅に居るのと同様に、支援が必要な入居者は介護サービスを提供。家庭菜園など近隣の保育園や地域住民との交流ができるスペースもあり、好評を博している。「施設サービスは現在入居率が約98%で、昨年開設した施設も利用者獲得は順調。デイサービスも登録利用者が堅調に推移している」と自信を見せる座小田孝安社長。今期(2020年3月期)は初の売上高150億円突破を見込む。

あおぞらの里西原デイサービスセンターの開所式

介護付有料老人ホームの棲み分けとブランド明確化図る

成長の背景には、既存施設の営業増強がある。今期はデイサービス4施設にケアプランセンターを増設し、連携強化を図った。新規施設も昨年5月、熊本市東区に「あおぞらの里西原デイサービスセンター」をオープン。来年3月には札幌市東区、5月は埼玉県所沢市に、子会社の㈱パインが介護付有料老人ホームを開所予定だ。今後は介護付有料老人ホームにおいて、パインが運営する「○○の郷」を1都3県または政令指定都市での展開とし、高級路線の施設を目指す考え。シダーの「ラ・ナシカ」との棲み分けとブランドの明確化を図っていく。「特定施設の公募があれば、引き続き積極的に応募していく。M&Aも視野に入れ、事業拡大を推進したい」と攻めの姿勢だ。
来年に控える介護保険制度改正では、特定施設入居者生活介護の指定を受ける介護付きホーム(定員29人以下)の整備促進や施設の大規模修繕の際に合わせたロボット・センサー、ICTの導入が補助対象に追加されることが検討されている。座小田社長は「当社でも取り組む余地がある。実施を見据えた準備も進めていきたい」と意欲を見せる。

技能実習生の受け入れ拡大

昨年、インドネシアから技能実習生の受け入れがスタートした。今年6月に同国からさらに6人、夏以降には中国大連市から5人の受け入れを予定している。新たな在留資格「特定技能」において、フィリピンからの受け入れも模索中という。働き方改革についても、業務内容見直しや残業時間平準化をさらに推進し、労働環境改善に取り組んでいる。そのほか、特定処遇改善加算の取得で賃金改善を図るなど、介護職員の確保と定着に全力を注ぐ。採用面では高卒に注力し、学校訪問を強化。「資格取得に向けて若いうちから取り組めるメリットもあり、定着率も高い」とし、今後もさらに伸ばしながら組織の活性化につなげていく。

座小田 孝安 社長
ざこだ・たかやす/北九州市若松区出身。1963年1月25日生まれの57歳。国立療養所福岡東病院附属リハビリテーション学院卒。16年6月社長就任。趣味はスポーツ観戦

 

(ふくおか経済EX2020年)