FEATURE

ふくおか経済EX 2020

(株)オーレック


市場創出、農業界の未来を切り拓く

(写真)「OREC green lab福岡」(福岡市中央区赤坂1丁目)

「草と共に生きる」をブランドコンセプトに掲げ、農業分野で新たなマーケットを創出するオーレック。国内の農業総生産額が減少傾向にある中、付加価値のある機械開発、農と接点をもつ都市型拠点の開設、農を核とした新分野への挑戦など需要を掘り起こし、成長戦略を描く。

福岡市内にブランド発信拠点

「農と食」を発信する都市型ブランド発信拠点として2019年10月、福岡市中央区赤坂に「OREC green lab」を開設した。外観に「OREC」の大きな看板を掲げ、同社の最新農機がディスプレイされた店内は、お米ラテなど素材からこだわったオリジナルドリンクを提供するオーガニックカフェ。2階は「農・食・ものづくり」をテーマにした約250冊の書籍が集まるライブラリースペースとし空間を取り巻く大きな本棚や、中央に位置する大テーブルなど暖かみのある木材をふんだんに使用。3階は30人が集えるセミナーやワークショップなどの開催が可能なスペースを用意した。一見、農機メーカーのショールームにも思えるような場所だが、訪れる人々は会社員や主婦層など。都市の中で農に触れる機会をつくり、農を身近に感じてもらおうと初の試みとして市内中心部に拠点を構えた。
オーレックグリーンラボ自体は長野、青森に次ぐ3カ所目になるが、これまで農業地帯で展開し、農業従事者の交流拠点としての役割を担ってきた同社にとって、普段農業と接点がない人々の利用を視野に入れたビジネスは大きな挑戦になる。「一般の消費者が当社の農機具に触れる機会は少ない。だからこそブランドを構築することが不可欠」と、全面リブランドにも取り組み新市場を創出する今村健二社長。福岡のオープンから4カ月、リピーターは徐々に増え、地元農家のマルシェや料理教室を展開、また、スタートアップ支援の場としての活用も計画。全社的に取り組むオーレック祭りやフォト・川柳コンテストなど地域貢献にも繋がるイベントを開催していく。

次世代農機を市場に

ブランディング強化として2016年、「草と共に生きる」のコンセプトをつくりあげ、それを表現するロゴデザインに一新した。そのコンセプトモデルとなった同社主力製品の乗用型草刈機「ラビットモアー」は、いよいよこの春から量産となる。機械であるタフさをもちながら、丸みを帯び、どことなく愛嬌あるデザインに。オーレックのブランドカラーとしてクリーンなイメージをもつ「ハーモニックグリーン」を採用し、泥臭いといった農業のイメージを刷新し、デザイン性とともに乗り心地、快適性を追求した。14年の歳月をかけて生み出した業界初の水田除草機とともに次世代農機を世に送り出している。

(写真左)ラボ2階、書籍が集まるライブラリースペース
(右)新モデルの乗用草刈機「ラビットモアーRM984」

SDGsとリンクした取り組み継続

市場を創出するため農業を主軸に、食や健康、環境、ITという、農に関連する新たなステージで挑み続ける同社。このほど畜産農家の環境、経営改善を促す畜産消臭システム「Dr.MIST」を開発。畜舎に散布される原液は、鉱物から特殊な方法で抽出した成分でアンモニアを分解抑制し消臭する。畜産農家の“臭い”というものを根本的に変えられる初のツールとし、このほど専用サイトを開設し、本格販売に着手した。ITでは、家庭菜園特化型SNS「菜園ナビ」のコンテンツを充実。グリーンラボ福岡の物販コーナーでも取り扱っている農作物を使った食品や石鹸の開発を進めており、ECサイト構築を視野にラインナップを増やしていく。
これらオーレックの挑戦はまさに、今、世界的に関心が高まるSDGs(持続可能な開発目標)ともリンクし、農業界に持続可能な未来を切り拓く。

今村 健二 社長
いまむら・たけじ/久留米市出身、1952年7月5日生まれの67歳。明治大学工学部機械科卒。座右の銘は「百見は一感に如かず」

 

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(ふくおか経済EX2020年)