FEATURE

ふくおか経済EX 2010

西日本プラント工業㈱


新エネルギーの普及に尽力する総合プラント業

奄美市に自社開発の風力発電

電力供給には不可欠の火力・原子力・地熱発電所の建設や保全を手掛ける、九州電力グループ会社の西日本プラント工業。創業以来、半世紀にわたり電気の安全供給を支え続けている。昨年12月、風力発電事業としては初の自社開発となる「奄美大島風力発電所」が完成し、地球環境保全や経済成長の一翼を担う自然エネルギーの普及に尽力している。
同市名瀬のゴルフ場内には、高さ107メートル、羽の直径82メートルの国内最大級の風車1基が誕生。定格出力は1990キロワットで、1400世帯分に相当する年間約550万キロワット時を発電する。また、自然の風力で風車を回し発電させるため、環境問題が懸念されるCO2排出量は年間約1800トンの削減が見込まれ、地球汚染物質の排出がないクリーンな発電システムとしても注目されている。今後の未来を示唆するようにそびえ立つ風車は「奄美大島の新たなシンボルとして名所になりうる」(同社)と、自然エネルギー活用のモデルとして市民へ啓発している。
新政権は、温室効果ガス大幅削減を打ち出しており、自然エネルギーの一つとして風力発電も注目されるだけに「地元の理解が得られれば、これからも事業展開を考えていきたい」と、風力発電事業に意欲を見せる。
さらに、今年11月の竣工に向け、九州電力が進める大牟田市のメガソーラー(大規模太陽光発電システム)では、建設工事に携わるなど、自然エネルギーやリサイクルエネルギーを主体とした環境事業にも着手。近年、取りざたされる地球温暖化などの環境問題や石油を中心としたエネルギー資源の枯渇という問題に対処するべく、多くの人々に新エネルギーに対する知識の周知を図り、存在感を大いに示している。

3月4日に開かれたベトナム研修生歓迎会

ベトナム企業「NPS]と技術協定、現地研修生の受け入れ開始

同社の技術力は国内のみならず、海外でも高い評価を得ている。昨年10月、ベトナム電力公社(EVN)傘下の火力発電所保守会社「NPS」と技術交流協定を交わし、今年3月から現地研修生の受け入れを開始した。締結期間は2年(合意により延期可)で、半年ごとに3〜4人の研修生を受け入れる方針。大型発電設備の保守に関係する技術や安全・品質管理などを指導して、ベトナムの将来的な事業発展に寄与していく。「ベトナムは、電力需要が急増し発電所の増強が進んでいるが、いずれは電気の質を求める時代がくる」と、全国に誇る高い技術を発信して国際的社会貢献を果たすとともに、将来の海外事業展開も視野に入れ動き出している。

プラズワイヤー工法が好調

2008年、同社が100%出資して立ち上げた防錆加工の関連会社㈱プラズワイヤーも順調に推移している。高い防錆力と自己修復機能を有し、新しい金属コーティング技術(溶射)として注目されるプラズワイヤー工法。「水質汚染の要因ともなる亜鉛や有機化合物の使用を大幅に低減し、環境にも優しく、紫外線や酸性雨にも強い」と、特に塩害に対して高い威力を発揮している。同工法の認知は高まりつつあり、今日では、海岸部の発電所設備、橋脚加工、都市高速などグレードの高い公共設備の分野に参入して、受注拡大している。「日本全国でも広くニーズがあるため、積極的にプラズワイヤー工法を認知してもらいたい」と、今後は、公共施設ほか、多くの鋼構造設備を保有する工場やオフィスビル、工業製品など幅広いエリアへ拡大していく。

先輩社員に指導を受けながら溶接訓練する

積極採用で一級エンジニア育成に注力

前述のメガソーラーおよび長崎県鷲尾岳の風力発電所建設や、将来予定される大型発電所建設準備に向けた社内体制の整備を急ぐ。
全社員の9割をハイレベルな技術集団で占める同社では、エンジニアの確保、一級エンジニアの育成を重要課題と位置づけ積極採用している。今年度は、電気技術者、機械技術者、専門技術者など100人強の新卒者を採用。11年度も80人規模の新卒採用を予定している。求める人材像については「コミュニケーション能力、行動力を備える人材」。人材育成においては、技術の進展や成長に合わせた教育を実施するほか、資格取得に向けたサポート体制を整え、個人の能力を高めていく。
企業の力となる優秀な人材を育て、将来にわたり電力供給になくてはならない重要な役割を果たし続ける。

石井 拓 社長
大分県日田市出身、1942年2月15日生まれの68歳、上智大学経済学部卒、65年、九州電力入社、97年大分支店長、00年経営企画室長、03年常務、05年6月西日本プラント工業㈱社長に就任、趣味は日舞、小唄、読書、ゴルフ、音楽鑑賞

 

企業DATA
所在地 〒810-8540 福岡市中央区高砂1-10-1
TEL 092-533-1702
FAX 092-533-1750
創業 1954年5月
設立 1954年5月
資本金 1億5000万円
事業内容 火力・原子力発電所の建設・各種プラント設置・メンテナンス
年商 593億円(21年3月期見込み)
代表者 石井 拓
従業員 2090人
出先 (支店)東京 関西 (営業所)長崎 沖縄 (事業所)小倉 新大分 玄海原子力 川内原子力 他19
関連会社 (出資)九州電力<85%> 九電工<15%>
URL http://www.npc21.jp

採用情報
募集職種 技術職(機械・電気)
採用実績 09年度約100人、10年度約100人
問合せ先 11年度約80人
問合せ先 TEL.092-533-1705
担当 人事グループ

(ふくおか経済EX2010年)