FEATURE

ふくおか経済EX 2021

独立行政法人国際協力機構九州センター(JICA九州)


途上国の課題解決と企業の海外挑戦を支援

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指し、17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことに向けた持続可能な開発目標(SDGs)。SDGsは発展途上国・先進国ともに取り組むもので、JICAは企業との多様な連携で、開発途上国の課題解決と企業の海外挑戦をサポートしている。

求められるチャレンジスピリット

JICAの根幹にある途上国の課題解決という活動において、2012年からスタートした「中小企業・SDGsビジネス支援事業」。これは途上国が抱える課題解決のためのビジネスモデルの検討・策定から事業化までをJICAがサポートするものだ。企業の海外進出支援においては、先進国も含めた海外展開の情報収集や分析を強みとするJETROや、専門家が伴走支援する中小機構、海外事業展開に融資する日本政策金融公庫など、さまざまな選択肢がある。その中で、JICAは開発途上国限定という枠組みはあるが、現地ネットワークや蓄積されたノウハウ活用による支援はもちろん、850万円から1億5,000万円までの資金提供を受けられるという特長を持つ。
政府系機関と聞くと、企業規模の大きさや技術レベルなどにおいて連携は難しいという先入観を抱かれることもあるが、実は「海外進出したい」、「途上国の課題解決に貢献したい」というチャレンジスピリットこそが最も大切な要素になる。途上国への進出ということで、環境や農業に関する応募が多い状況だが、「例えば福岡の名物でも、途上国の栄養促進プログラムを構築して活用するなどのロジックを組み立てることで可能性はゼロではない」と説明。想いとアイデア次第で海外進出への道は拓けてくるのだ。
これまで「中小企業・SDGsビジネス支援事業」では全国1,307件、福岡では36件が採択されている。事業名にもある通り、ボランティアではなくあくまでもビジネスであり、社会貢献と海外展開へ同時に挑戦し、企業成長につながる大きなチャンスと言えるだろう。

3タイプのサポートでSDGs実現へ

「中小企業・SDGsビジネス支援事業」は、さまざまな事業ステージに対応する支援メニューとして、「基礎調査」、「案件化調査」、「普及・実証・ビジネス化事業」の3段階に分けられている。第1段階の「基礎調査」は、現地で基礎的な情報を収集したい企業向けで、進出予定国の市場などのビジネスモデル検討に必要な基礎情報の収集を支援。中小企業を対象に旅費や現地活動費、外部人材活用費、管理費など上限850万円(遠隔地は980万円)支給される。
第2段階の「案件化調査」はビジネスモデルを策定したい企業向けで、 技術・製品・ノウハウなどのアイデアからビジネスモデルの策定を支援。こちらは中小・中堅企業、中小企業団体の一部組合を対象とした「中小企業支援型」において基礎調査の負担経費に本邦受入活動費を加え、上限3,000万円(機材輸送が必要な場合5,000万円)、大企業向けには「SDGs支援型」で上限850万円が支給される。
3段階目の「普及・実証・ビジネス化事業」はビジネス活動計画を実証したい企業向けで、機材の製造・購入・輸送費を含めて支援。案件化調査と同様に2タイプで、「中小企業支援型」は上限1億円(大規模・高度な製品等を実証する場合1.5億円)、「SDGs支援型」は上限5,000万円を支給。これからの時代に不可欠なSDGs実現への取り組みとともに、海外展開というステップアップに挑戦できる事業として、さらに多くの企業との連携が期待されている。

 

【DATA】
所在地/〒805-8505 北九州市八幡東区平野2-2-1
TEL/093-671-6311
FAX/093-671-0979
設  立/1989年3月
事業内容/研修員受入事業、草の根技術協力事業、民間企業海外展開支援事業、市民参加協力事業
常勤職員数/1,929人(全体)
URL/https://www.jica.go.jp/

採用情報
募集職種/総合職
応募資格/2019年4月~2022年3月の間に大学院、大学、短大を卒業・修了または見込み
採用実績/2021年度41人(予定)
採用予定/50人
問い合わせ先/JICAホームページを参照ください

(ふくおか経済EX2021年)