FEATURE

ふくおか経済EX 2020

独立行政法人国際協力機構九州センター(JICA九州)


企業との多様な連携で、開発途上国の課題解決に貢献

開発途上国から来日する研修員へ日本の経験・技術を学ぶ機会や、地域交流の場を提供。グローバル人材の育成支援、自治体やNGO、大学、企業などと連携した国際協力事業を推進するJICA九州。九州の拠点として、企業も地域も途上国も元気にする多様な支援でSDGsに貢献している。

世界を救う日本の技術とノウハウ

JICA事業は大きく日本国内を現場としたものと途上国を現場とした2種類に分けられる。「研修員受入事業」は、日本国内を国際協力の現場としたもので、1954年から開始しており、近年は毎年度およそ900人を受け入れている。
環境管理や保健医療、地域開発など、途上国の課題解決や発展につながる7分野から構成されており、例えば環境管理では水俣病など九州で発生した公害経験を学ぶことで途上国での公害予防に貢献。途上国の保健医療改善に役立つノウハウを持つ医療機関や大学と連携した保健医療、地域おこしの成功事例である大分県の「一村一品運動」を生かした地域開発、ものづくりの街である北九州の技術を伝える産業開発のほか、青年研修や交流理解で日本への理解を深める活動も実施している。
次に「草の根技術協力事業」では、主にNGO、大学、地方自治体、公益法人団体とともに、3~5年の期間で途上国の生活改善・生計向上などの生活インフラ整備を共同実施。漏水や盗水で50%以上の高い無収水率が課題となっていたフィジー共和国では、福岡市水道局が持つ技術による対策工事で無収水量削減に成功するなど、技術指導や日本への研修員受け入れで多くの実績を残している。

「皆様のご相談をお待ちしております!」(後列左から)野路利男担当、藤井敬太郎担当(前列左から)上島篤志班長、平知子課長、勝田幸秀担当

豊富な支援ツールと人材育成で企業の海外展開支援

JICAの事業は途上国の課題解決という社会貢献を根幹としているが、その中で企業の海外展開を支援協力できるスキームも数多くある。現在、東南アジアや中央アジアの9カ国10カ所に「顔の見える援助」として「日本人材開発センター」を展開し、現地でのビジネス人材育成や企業ネットワークを形成しており、日本から企業が進出する際にアドバイザー業務でサポートしている。
2012年からの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」では、企業とのパートナーシップ強化や海外展開支援に取り組み、これまでに九州で77件を採択。企業規模や事業段階に応じて、資金やノウハウ提供などの豊富な支援ツールを揃えており、企業の途上国でのビジネスチャンス拡大と実現による社会貢献と地域活性化、地方創生につなげている。また、知名度の高い青年海外協力隊などのボランティア派遣に関しても、企業のニーズに合わせて途上国へ社員をボランティア派遣する「JICA海外協力隊(民間連携)」を18年から新たにスタート。企業に在籍した状態で国際協力活動に貢献することでCSR活動や、派遣社員のコミュニケーションやマネジメント能力などの人間力の向上にもつながり、企業発展の基盤となる人材を育成できることで注目を集める。
国際的な活躍を目指す人材4万人以上が登録し、グローバル人材を求める組織や団体とマッチングするサイト「パートナー」、アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)など、国内と途上国の両面から国際協力活動とともに海外ビジネスの水先案内人となる人材育成に取り組むJICA九州。日本を代表する開発協力機構として、「信頼で世界をつなぐ」を合言葉に開発途上国との懸け橋となり、国際協力を通じた地域の発展を実現していく。

 

企業DATA
所在地/〒805-8505 北九州市八幡東区平野2-2-1
TEL/093-671-8204
FAX/093-671-0979
設  立/1989年3月
事業内容/研修員受入事業、草の根技術協力事業、民間企業海外展開支援事業、市民参加協力事業
常勤職員数/1,929人(全体)
URL/https://www.jica.go.jp/

 

採用情報
募集職種/総合職
応募資格/
2018年4月~2021年3月の間に大学院、大学、短大を卒業・修了または見込み
採用実績/2020年度38人
採用予定/50人程度
問い合わせ先/JICAホームページを参照ください

(ふくおか経済EX2020年)