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ふくおか経済EX 2017

正晃(株)(正晃ホールディングス(株))


HD制へ本格移行 グループ1000億円へ新たな一歩

「医療・科学の総合商社」として地域医療、学術研究の発展に大きく貢献する日本最大の総合試薬ディーラー・正晃を中核とする正晃ホールディングス㈱。昨年4月、持株会社制へ本格移行し、より地域に密着したエリア戦略と人材確保・強化で「グループ1000億円」という大きな目標に挑戦する。

HD制でエリアの役割と責任を明確化

昨年4月、本格的な持株会社(HD)制へと移行した。正晃ホールディングス㈱の傘下には、中核である総合試薬ディーラーの正晃㈱(福岡市)、ライフサイエンスの専門総合商社・㈱バイオテック・ラボ(東京都)、試薬卸の㈱フロンティア・サイエンス(北海道石狩市)、医療分野でIT関連事業を展開している正晃テック㈱(福岡市)、海外から理化学機械の輸入や化学物質の実験を受託する㈱スクラム(東京都)の5社が連なる。そしてHD制に伴い、正晃の首都圏での営業拠点だった正晃東京支店の機能をバイオテック・ラボに移管。これにより九州・山口エリアが正晃、首都圏・関西エリアがバイオテック・ラボ、そして北海道がフロンティア・サイエンスと、各エリアをカバーする役割と責任が明確化。

印正哉社長は「HD化から1年経ち、徐々に形になってきた。地域密着、エリア拡大など、HD制が目指す方向性に各社がなじんできた」と手ごたえを感じる。

スピーディな対応が可能に

実際、全国展開を見据えたHD制のメリットがいくつか出てきた。例えばフロンティア・サイエンスは北海道大学医学部前での新営業所開設。バイオテック・ラボは業務拡大に伴う大阪営業所移転。正晃では佐賀営業所の建て替えと九州大学伊都キャンパス近くでの新営業所開設計画……。「従来の組織では、それぞれの案件を正晃でコントロールしてきたが、グループ各社に権限を委譲することでスピーディーな対応が可能になった」。

さらに今後は、HDエリアの中でも比較的新しい北海道や関東、関西地域での営業力強化はもちろん、M&Aによる未開拓エリアへの進出も重要な戦略と位置付けている。また、海外展開においても中国、台湾、さらにベトナムへの人員配置を進め、アジア地域の拠点作りに力を入れる。

目標達成のカギは人材確保・育成

1950年の創業以来、67年を経た今日では、グループとして九州・山口の全県と首都圏、関西、北海道に営業ネットワークを配し、「医療・科学の総合商社」として地域医療、学術研究の発展に大きく貢献する。主力の基礎研究用試薬、化学工業薬品、理化学機器、医療用機器に加え、医療および研究分野向けに専門特化したソフトウェア分野では独自の製品開発を進め、日本最大の総合試薬ディーラーとして国内のみならず海外でも高い評価と注目を集めている。

数字的にはグループ年商が約700億円。近年は首都圏エリアでの動きが活発化しており、この成長次第では、将来的な目標であるグループ1000億円も現実味を帯びてくる。

一方で、大きな将来ビジョンを達成するには優秀な人材の確保・育成が必要となる。ただ、医療・科学の総合ディーラーという業種柄、膨大な取扱アイテムや医療・学術研究など専門的な知識を備えたプロフェッショナルの育成は一朝一夕に難しいのが現状だ。印社長は「社内外を問わず『人』に対してどれだけの投資をしていくか……。これが最も重要な戦略であり課題だと考えている。グループ1000億円が、ただの夢で終わらないために、全社員が一丸となって挑戦していく」と力強く語る。創業時から脈々と受け継がれる「誠・正・精」の社是のもと、ヒューマンカンパニー・正晃ホールディングスの新たな歩みが始まった。

印正哉 社長
いん・まさや/福岡市出身、1954(昭和29)年2月23日生まれの63歳。福岡大学商学部卒。趣味は車、カメラ、旅行

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「医療・科学の総合商社」として地域医療、学術研究の発展に大きく貢献する日本最大の総合試薬ディーラー

【DATA】
所 在地 〒813-0062 福岡市東区松島3-34-33
TEL 092-621-8199㈹
FAX 092-611-4415
創業 1950年9月
設立 1955年3月
資本金 5,000万円
事業内容 基礎研究試薬、体外診断用医薬品、化学工業薬品、理化学機器、医療用機器等の販売、コンピュータおよび関連ソフトウェアの開発・販売
年商 550億円(2016年3月期)
従業員 約403人
URL www.seikonet.co.jp

【採用情報】
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(ふくおか経済EX 2017より)