FEATURE

ふくおか経済EX 2016

正晃ホールディングス㈱


HD制が本格スタート
エリア戦略強化で年商1000億円へ

「医療・科学の総合商社」として地域医療、学術研究の発展に大きく貢献する日本最大の総合試薬ディーラー・正晃㈱。この4月からは持株会社(HD)制を本格スタートし、エリア戦略のさらなる強化で新たな目標達成を目指す。

HD制への移行で責任明確化とエリア密着へ

この4月から持株会社(HD)制が本格スタートした。正晃ホールディングス㈱の傘下には、中核である総合試薬ディーラーの正晃㈱(福岡市)、ライフサイエンスの専門総合商社・㈱バイオテック・ラボ(東京都)、試薬卸の㈱フロンティア・サイエンス(北海道石狩市)、医療分野でIT関連事業を展開している正晃テック㈱(福岡市)、海外から理化学機械の輸入や化学物質の実験を受託する㈱スクラム(東京都)の5社が連なる。
HD化の大きなきっかけになったのは、昨年10月の北海道エリアで営業展開するフロンティア・サイエンスの子会社化だ。印正哉社長は「2009年のバイオテック・ラボに続くM&Aによる子会社化だが、福岡に本社を置く正晃を親会社とし、北海道や東京の子会社を統括するとなると、エリアの状況が良く見えないまま、コントロールせざるを得なくなる。そこで正晃HDがグループ全体を統括するHD制を導入することで各社の責任を明確化し、エリアに密着した経営体制が構築できる」と狙いを語る。
実際、正晃以外の各社の代表は印社長ではなく、専任のトップがそれぞれに指揮を執る。また、これまで正晃の首都圏での営業拠点だった正晃東京支店の機能をバイオテック・ラボに移管。これにより九州・山口エリアが正晃、首都圏・関西エリアがバイオテック・ラボ、そして北海道がフロンティア・サイエンスと、各エリアの展開を担う役割が明確化した。
HD化に伴い、数字的にはグループ年商が700億円近くに上る。今後は拠点ネットワークの充実、エリア戦略の強化などを図り、将来的にはグループ1000億円の達成を目指す。

社是「誠・正・精」を胸に新たなフィールドに羽ばたく

1950年の創業以来、65年を経た今日では九州・山口の全県と首都圏、関西に営業ネットワークを配し、「医療・科学の総合商社」として地域医療、学術研究の発展に大きく貢献する正晃。主力の基礎研究用試薬、臨床検査薬、化学工業薬品、理化学機器、医療用機器に加え、医療および研究分野向けに専門特化したソフトウェア分野では独自の製品開発を進め、日本最大の総合試薬ディーラーとして国内のみならず海外でも高い評価と注目を集めている。そして今回、HD移行という新たな一歩を踏み出した。ただ、組織は変わっても「ヒューマンカンパニー」の理念は変わらない。創業時から脈々と受け継がれる「誠・正・精」の社是のもと、顧客とのコミュニケーションと信頼を大切にする姿勢は堅持する。医療用試薬、研究および工業用薬品など取扱品目が多岐にわたり、加えて医療用機器は日々刻々と進化を続ける。そして、この変化に対応し、専門的な知識を備えたプロフェッショナルが、新たな正晃グループを支える。
先代である印正司氏が創業した時の気持ちを表したという「誠・正・精」は、「誠意」「正義」「精力」を意味する。印社長は「私の座右の銘でもあり、当社で働く社員一人ひとりが漢字3文字に込められた意味を胸に刻んで仕事をしている。HD制という新体制が本格スタートした今、もう一度社是を見つめ直し、社員と一緒に新しいフィールドに羽ばたいていきたい」と力強く語った。

印 正哉 社長
いん・まさや/福岡市出身、1954(昭和29)年2月23日生まれの61歳。福岡大学商学部卒。趣味は車、カメラ、旅行

 

企業DATA
正晃HD㈱
所在地 〒813-0062 福岡市東区松島3-34-33
TEL 092-621-8199㈹
FAX 092-611-4415
設立 2015年10月
資本金 1,000万円

正晃㈱
創業 1950年9月
設立 1955年3月
資本金 5,000万円
事業内容 基礎研究試薬、体外診断用医薬品、化学工業薬品、理化学機器、医療用機器等の販売、コンピュータおよび関連ソフトウェアの開発・販売
年商 544億円(2015年3月期)
従業員 約500人
URL http://www.seikonet.co.jp

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(ふくおか経済EX2016年)