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ふくおか経済EX 2020

(株)リンクイット


EC事業好調で東京に新拠点 実店舗との相乗効果高める

婦人服ブランド「ブージュルード」を軸に企画製造、小売り、卸販売を手掛ける㈱リンクイット。実店舗は大型ショッピングモールのテナントに出店し、北海道から沖縄まで直営34店舗、FC34店舗を展開。日常使いのカジュアルなものから上品で落ち着いたものまでトータルコーディネートできる豊富な品ぞろえが支持を集めている。

東京にEC事業の新拠点公式アプリもリリース

ここ数年でEC事業が全体売り上げの約20%を占めるまでに伸長。同事業の好調に伴い、3月に東京都千代田区神田小川町に新拠点を開設した。すでに東京都渋谷区に東京支店を置く同社だが、事務所兼撮影スタジオとして機能させていく。ロフト付きで上の窓から自然光がしっかり入ってくるため、商品の撮影に好都合だ。森社長は「今後EC業界に特化した人材を迎え入れながら、来年までにEC売り上げを全体の30%までに引き上げたい」と意欲を見せる。
昨年12月には「ブージュルード公式アプリ」をリリース。WEBストアと実店舗で共通のポイントが貯まるシステムを整備したことで相乗効果を高めていく。また、年間の購入金額に応じて会員ステージもランクアップしており顧客満足度のさらなる向上が期待できそうだ。

原点回帰で利益体質を重視

今年7月で設立20周年を迎える同社は過去の拡大路線から一転し、2年ほど前から財務体質の改善を進めている。5年前は売上高100億円規模や上場を目指していたが、2年前から人件費を除く販売管理費5%、粗利2%の改善を掲げ、不採算店舗の閉店や仕入れ先の開拓、改善を続けてきた。売上高は当時の3分の2になったものの、財務状況は圧倒的に改善されたという。
森社長は前職で北九州の貿易会社に勤め、アパレル部門を担当していた。そこで培った仕入れ先の開拓ノウハウや海外との太いパイプ、情報網は同社の大きな財産となっている。海外は中国を中心に、最近ではインドやバングラディッシュにも仕入れ先を広げる。「今後も現状に満足することなく、仕入れや調達の改善を図っていきたい」と力を込める。

一人一人の自己実現を支援女性が働きやすい職場環境

従業員の9割が女性の同社では産休、育休制度を整え、取得を推奨しており、全社員約250人のうち、現在約20人が産休・育休中という。育児休暇後もキャリアプランに関して相談できる復帰前面談はもちろん、通常の有給とは別に子どもの急病などに合わせて取得できる年5日の「子ども休暇」なども設けている。また、最近の新型コロナウイルスなどにより学校が休校になった際に、子どもと一緒に出社できる環境も同社ならでは。来店客は子連れも多いため、同じ目線で接客し商品を企画することができる子育て経験者の存在は同社にとっても重要といえる。
部署異動に関しては社内募集と人事アンケートを毎年実施しており、20代でデザイナーやバイヤーになるケースもある。森社長は「社歴に関係なく手を挙げた社員の意思を尊重し、社員がそれぞれのキャリアプランを描くことで皆が長く働ける職場環境になることが理想。また、トップダウンではなくボトムアップを大切に、常に現場から出てくるさまざまな声やアイデアに耳を傾けながら今後も皆で良いものを生み出していきたい」と語る。年に一度開催される社員表彰式「リンクイットアワード」や顧客の声を商品開発に生かす「モニター会」など社内イベントも活発で、社員の働くモチベーションにつながっている。

森 健太郎 社長
もり・けんたろう/八女市出身。1973年5月24日生まれの46歳。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」や横山光輝の「三国志」に影響され、将来は海外を渡り歩く人になりたいと思いを抱き、弘学館高校-長崎大学を卒業後、北九州の貿易会社に入社。そこでアパレル部門を担当したことをきっかけに、2000年7月に創業メンバー7人でアパレル卸の㈱ジェイエーシートレーディング(現・リンクイット)を立ち上げた。趣味は海釣り

 

採用情報
募集職種/販売職・営業職
応募資格/2021年3月大学卒業予定者、高卒・既卒も可
採用実績/2020年度18人
採用予定/20人程度
問合わせ先/TEL.092-432-8133
担当/小山(こやま)

(ふくおか経済EX2020年)