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ふくおか経済EX 2017

室町ケミカル(株)


創業から受け継がれてきたチャレンジ精神とともに100周年

明治時代に創業者である村山英之氏の父・有秦氏が目薬の製造・販売を始めたことを発祥に、1917年から家庭薬の「大洋商店」を創立。創業から受け継がれてきたチャレンジ精神とともに100周年の節目を迎え、次の100年への第一歩を踏み出した。

1917年の創立から多角的な事業で発展

100年の歴史を振り返ると、その道のりは平坦なものではない。戦火に巻き込まれるなど、時代ごとに訪れる数々の困難を乗り越え、常にチャレンジするという精神とともに一世紀という時を紡いできた。ここ大牟田の地に本社を構えたのは1996年11月で、福岡市から本社工場を移転し、98年10月に天洋社薬品工業から現在の室町ケミカル㈱に社名変更して新たなスタートを切った。  そして医薬品をはじめ、健康食品、イオン交換樹脂、水関連機器などの製造販売を手がけるメーカーとして成長し、現在は福岡市内、大阪および東京に拠点を持つほか、上海にも現地法人を設立して海外ビジネスも展開している。また、2014年には医薬品原薬メーカーの東進ケミカル㈱(埼玉県川口市)をM&A、子会社のムロマチテクノス(東京都)を経営統合して、新生室町ケミカル㈱として大きな節目を迎える準備を整えてきた。

写真上下は医薬品ゼリーと医薬品合成の新工場に導入する最新設備

医薬品ゼリー工場と医薬品合成工場を新設

さらなる事業拡大に向けた戦略として、本社工場のリニューアルと新設を進め、1月に医薬品ゼリー工場が完成したほか、7月には医薬品合成工場が完成予定となっている。医薬品ゼリー工場には調合専用設備として400リットル真空乳化装置を導入したことで、幅広い粘度物の真空乳化と均一な分散を実現。5〜25グラムの範囲で高速充填できるほか、アルミ包材、アルミ蒸着、レトルト包材に最適で高粘度品の高速充填も可能な高速充填機も導入している。

また、7月完成予定の医薬品合成工場においては、子会社の東進ケミカル㈱の医薬品合成技術や設備の知見を活用して事業拡大を進めていく方針を示す。ここでは3000リットル反応釜や精製釜、遠心分離機などの設備を揃え、幅広い種類の医薬原薬合成が可能となる。「医薬原薬の拡大、そして川下展開を図り、製剤分野に参入していく」として、新たな分野への進出を見据えている。

一方で、従来の健康食品製造で培ってきたスティックゼリー製剤のノウハウを生かし、医薬品ゼリー製剤の受託生産にも力を入れる。「製品企画・開発から製造まで一貫した体制を構築し、ゼリーの硬さや性状だけでなく、当社製品の特長である味付けにもこだわり、一般用や医療用医薬品メーカーへ提案していく」と展望を語る。

次の100年に向けて株式公開に挑戦

次の100年に向けた歩みを進めるにあたり、大きな目標となるのが「株式公開の実現」だ。一時は100周年に合わせた上場を目指していたが、その準備の中で債権処理や先行投資が重なり、一旦は白紙に戻した。しかし、改めて社員一人ひとりが何ができるのかを考え、全社一丸となって一つの目標に向かうことを決意したことから、ふたたび株式公開へのチャレンジを決定。より一層の団結力と問題を乗り越えていくチャレンジ精神を胸に、100年企業の新たな挑戦が幕を開けた。

村山哲朗 社長
むらやま・てつろう/福岡市出身、1953年4月18日生まれの63歳。福岡大学薬学部卒業後、薬局勤務を経て、83年天洋社薬品工業㈱(現・室町ケミカル㈱)入社。開発部長、専務を経て97年4月から代表取締役社長。趣味はスキー、読書、ゴルフ。好きな言葉は“チャレンジ”

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【DATA】
所在地 〒836-0895 大牟田市新勝立町1-38-5
TEL 0944-41-2131
FAX 0944-41-2133
創業 1917年1月
設立 1947年7月
資本金 6,000万円
事業内容 イオン交換樹脂処理、健康食品製造販売、工業用薬品・医薬品製造販売、給排水処理装置製造設計など
年商 44億5000万円(2016年5月期)
従業員 267人
関連会社 天洋社薬品㈱、室町(上海)商貿有限公司、東進ケミカル㈱
URL http://www.muro-chem.co.jp

【採用情報】
募集職種 (大学卒)総合職(高専卒)技術
応募資格 営業/大学卒、全学部全学科 技術/高専卒、機械・電気系
採用予定 15人
問合せ先 TEL.0944-41-2131
担  当 総務課 角

(ふくおか経済EX 2017より)