FEATURE

ふくおか経済EX 2011

九州電力㈱


福岡市天神地区で電気自動車充電インフラの実証試験を実施

(写真)充電を行う電気自動車

九州電力㈱(福岡市中央区渡辺通2丁目、眞部利應社長)は、グループ会社のニシム電子工業㈱(略称:ニシム電子、福岡市博多区美野島1丁目、水上開社長)と共同で、ニシム電子が開発した「広域設置型EV充電スタンド」を活用した充電インフラ管理サービスの実証試験を福岡市天神地区で2010年11月8日から2011年3月末まで実施した。

グループ挙げたEV普及の取組み

九州電力は2009年8月から業務用車両として電気自動車(EV)の本格導入を開始している。また、グループ会社の㈱キューキ(福岡市南区清水4丁目、小山一民社長)が同年9月からEV用急速充電器の販売を開始するなど、運輸面でのCO排出抑制や九州内におけるEVの普及促進に九州電力グループを挙げて取り組んでいる。
こうした中、2010年7月に福岡市が公表した「福岡市次世代自動車普及促進ビジョン」の中間とりまとめにおいて、EVの利用拡大のためには充電ネットワークの充実を図る必要があり、特に普通充電設備(※)については、不特定多数の人が利用できる天神地区等の商業施設での充実の必要性が提言されている。
(※)電気容量3kW程度(100V/200V)の電源コンセント。EVの充電量が空の状態から満充電に要する時間が約7時間(200V)から約14時間(100V)程度必要。

駐車場に設置した統一サイン

安全を考慮した充電スタンドの設置

実証試験の目的は、不特定多数の人が利用する商業施設の駐車場に普通充電設備を設置し、実際に充電サービスを利用してもらうことにより、サービス内容および充電インフラ整備に関するニーズ・課題を調査・評価するというもの。
充電設備の機能面の検証では、不特定多数の人の利用を考慮し、漏電対策・感電対策を施す等安全性に配慮した「スタンド型200V電源コンセント」(以下:充電スタンド)を設置。この充電スタンドは、九州電力総合研究所が開発し、特許を取得している小型充電用装置(製品名:EVコンセント)および通信モジュールを内蔵しており、ニシム電子のサービスセンターと通信、接続を行うことで、利用者認証(特定)や利用状況配信(充電時間、電力使用量など)および充電器状態監視(使用状態、異常等)などのサービスの提供が可能。実証試験期間中は電気代および充電サービス利用料とも無料で実施した。

天神地区5カ所の駐車場で実証試験

実証試験は天神地区5カ所の駐車場に検証用充電スタンド(200V電源コンセント2口)を各1基設置して実施した。充電スタンド設置場所の選定にあたっては、天神地区の企業・団体などで構成される「まちづくり協議会(We Love 天神協議会)」の会員企業に実証試験への参加を呼びかけ、賛同が得られた事業者が管理する駐車場に設置。天神地区での一体的な取組みのPRとEV利用者の視認性向上を目的に、駐車場内に統一した案内表示も設置した。
また、充電サービス利用の動向調査については、実証試験期間中に充電サービス利用者および駐車場管理者に簡単なアンケートを実施した。

充電スタンド(左)と200Vコンセント部分

EV利用サービスのビジネスモデル確立目指す

九州電力では、九州最大の商業地域である天神地区で実施することで、EV利用者の利便性向上が期待できるとともにEVを広くPRできることから、EV普及の後押しになることを見込んでいる。
同社とニシム電子の両社は、本試験を通して得られた情報を分析・評価の上、本格サービス提供に向けて更なるサービス内容の見直しを図るとともに、将来の課金・収納サービスへの対応も視野に入れ、充電インフラ管理サービス普及に向けたビジネスモデル確立を目指す。

 

企業DATA(2011年3月31日現在)

所在地 〒810-8720 福岡市中央区渡辺通2-1-82
TEL 092-761-3031
創業 1951年5月
設立 1951年5月
資本金 2,373億円
事業内容 電気事業
年商 1兆4,449億円(2010年3月期連結)
代表者 眞部利應
従業員 12,553人
出先 (支社)東京 (支店)北九州、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島
関連会社 ㈱九電工、西日本プラント工業㈱、九州通信ネットワーク㈱ 他
URL http://www.kyuden.co.jp/

(ふくおか経済EX2011年)