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九州産業大学


榊 泰輔

九州産業大学 学長

さかき・たいすけ/福岡市出身、1960年11月5日生まれの59歳。九州大学理学部卒業後、現㈱安川電機に入社。95年5月、東京大学大学院で博士(工学)の学位を取得し、2003年9月に九州産業大学工学部機械工学科教授。18年4月から学長に就任。専門はロボット工学。趣味は韓国語学習

“ポストコロナ”仕様の教育研究と国際化に期待

今年、「創立60周年」を迎えた九州産業大学。その記念事業として西日本最大級となる複合スポーツ施設「大楠アリーナ2020」と「屋内プール」を竣工したが、新型コロナウイルスの影響で内覧会を7月に延期。アリーナでの学位授与式や入学式も中止を余儀なくされたものの、「一生に一度の学位授与式を中止するには忍びない」と教職員が急遽企画。卒業生約2400人に向けた「バーチャル卒業式」を製作・動画配信し、全国的な話題となったことは記憶に新しい。
今年1月には「危機管理対策本部」を発足し、リスク管理の徹底と感染拡大状況に応じた活動指針を策定。6段階の判断基準を設け、リスクレベルに応じて授業や教育・研究活動、構内への入構、課外活動、施設利用などを制限する項目を詳細に定めた。教育・研究分野では遠隔授業本格導入のための環境整備や教育効果の維持・向上に注力し、経済支援・環境整備分野では5月に総額5億円の緊急支援策を決定。遠隔授業整備支援として全学生一律3万円の支給や教科書・教材費購入などの実費補助、家計急変学生に対する経済支援、各種証明書の送料負担、さらには屋外ベンチ増設など大規模な支援を実施することで学生の健康と安全を優先した教育施策を強化している。
「リモートと対面のハイブリッド教育を行ってきたが、今年はそのベストミックスを探究するのが大きなテーマ。学生と教員からのアンケート調査を通じて検証し、今後も最善策を講じていく。また、学生の心のケアも重要視しており、現在、学生交流活発化のための課外活動への参加を呼び掛けるキャンペーンも実施している」と榊学長は説明する。
さらに、国際化に向けた「グローバル人材の育成」も同大学の大きな柱の一つ。今年9月には国連ハビタット福岡本部と包括的連携協定を締結。今年度後学期からグローバル人材育成を目的とした全学部学生対象の特別教育プログラム「グローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)」(2年課程)を開設した。締結後は国連ハビタット職員をGLP講師に招き、受講学生の国際的教養と知識の修得、国際社会で協働するための実践力を育成している。「定員は20人で講義内容はすべて英語。想定以上に学生の意欲が高く、今後どのように変化するのか非常に楽しみだ。国際色豊かな人材をより多くの地場企業や国際機関に送り出したい」と笑顔を見せる榊学長。「ポストコロナ」を見据えたあらゆるアイデアを集約し、新たな可能性と価値観を見出す九産大の動きに目が離せない。

(写真上)創立60周年記念事業で建設した「大楠アリーナ2020(写真上)」と「屋内プール(写真下)」
(左下)国連ハビタット福岡本部との包括的連携協定締結
(右中)バーチャル卒業式での一コマ
(右下)グローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)授業風景

DATA
所在地/〒813-8503 福岡市東区松香台2-3-1
TEL/092-673-5050
開学/1960年4月
学部/国際文化学部、人間科学部、経済学部、商学部、地域共創学部、理工学部、生命科学部、建築都市工学部、芸術学部、造形短期大学部
大学院/国際文化研究科、経済・ビジネス研究科、情報科学研究科、工学研究科、芸術研究科
学生数/1万691人(学部:1万280人、大学院:120人、造形短期大学部:291人)(2020年5月現在)
教員数/385人(2020年5月現在)

https://www.kyusan-u.ac.jp/

 

(ふくおか経済2020年11月号FACE)