FEATURE

TheFace 2018

九州産業大学


榊 泰輔

九州産業大学 学長

さかき・たいすけ/福岡市出身、1960年11月5日生まれの57歳。九州大学理学部卒業後、現㈱安川電機に入社。95年5月、東京大学大学院工学博士号を取得し、2003年9月に九州産業大学工学部機械工学科教授。今年4月から学長に就任。専門はロボット工学。趣味は韓国語学習

開学60周年に向け、新たな挑戦と価値観を創造

建学の理想「産学一如」を原点に、「実践力と熱意、豊かな人間性」を備えた人材を輩出し続ける九州産業大学。9学部21学科、大学院5研究科の総合大学に発展し、約12万人の多彩な人材を送り出してきた。教養や外国語など社会人としての土台を培う教育を徹底する「KSU基盤教育」も導入5年目を迎え、単位取得率向上に大きな成果を挙げているほか、企業や行政、地域と連携する「KSUプロジェクト型教育」ではロボット開発や地域振興プロモーションなど約130種のプロジェクトを推進。学生の実践力育成の大きな原動力となっている。
16年の芸術学部5学科再編に始まった教育改革「第1ステージ」では理工系3学部7学科、今春の文系5学部9学科を再編し、新体制が確立。17年度就職決定率は98%と6年連続増加したほか、一部上場企業への就職者数も11年度から58%増の406人を記録。また、高校生による大学・学部選択のミスマッチを未然防止するため、大学生の通常授業を一緒に受講する「ウィークデー・キャンパス・ヴィジット(WCV)」も年々増加。17年度は国内最大規模となる2千人が参加したほか、入学志願者も12年ぶりに1万人を突破。教育改革の成果が着実に上がっている。
今年度からは「育成型入試制度」を九州で初めて導入。大学進学希望の高校生を対象に、新たな「AO(アドミッション・オフィス)入試」として、出願前から入学直後までの一貫した育成プログラムを実施するなど、「高大接続」の拡充で差別化を図っている。
研究分野も順調に推移している。「ヒューマンロボティクス研究センター」ではせき損患者の機能回復支援を中核に研究が進み、在宅用の訓練支援ロボットの商品化に向け動いている。「医療診断技術開発センター」では世界初となるカラー電子顕微鏡「蛍光電子顕微鏡」を開発。現在の倍率1万倍から高倍率の研究ほか、安価で高品質の蛍光試薬開発も最終調整を迎えており、2年後の商品化を目指している。
同大学の強みは、学部横断型の教育プログラムによって文・理・芸の3学部が融合し、学生の感性やヒラメキ、対話力や創造力を磨く土壌があること。さらに「教育評価委員会」を設置し、各学部で教育改革が進んでいるか、社会が求める人材を輩出できているかなどを毎年検証して改善に努め、学生・教職員ともに「教育の質」を高め合っている。2年後の開学60周年に向け、「伝統に捉われることなく柔軟な思考を持ち、現状を見直して新たな挑戦や価値観を追求する。改革を継続し、カタチにしていく」と榊学長は意気込む。

(写真左上)緑豊かなキャンパス
(左下)九州産業大学美術館所蔵品展『九州の芸術家たち-絵画・彫刻・工芸・写真-』
(右下)「緑の魔術師」石原和幸氏監修の庭園
(右上-上)ヒューマンロボティクス研究センターで開発の介護支援ロボット
(右上-左下)商品化間近の歩行訓練ロボット
(右上-右下)安定性の高い蛍光色素
(右上-下)高倍率カラー電子顕微鏡

DATA
所在地/〒813-8503 福岡市東区松香台2-3-1
TEL/092-673-5050
開学/1960年4月
学部/国際文化学部、人間科学部、経済学部、商学部、地域共創学部、理工学部、生命科学部、建築都市工学部、芸術学部
大学院(博士前期課程)/経済・ビジネス研究科、工学研究科、芸術研究科、国際文化研究科、情報科学研究科
大学院(博士後期課程)/経済・ビジネス研究科、工学研究科、芸術研究科、国際文化研究科、情報科学研究科
学生数/1万580人(学部:1万447人、大学院:133人)(2018年5月現在)
教員数/387人(2018年5月現在)

https://www.kyusan-u.ac.jp

(ふくおか経済2018年11月号FACE)