FEATURE

ふくおか経済EX 2014

㈲久松


EC参入から10年、博多駅前にオフィス開設

通販サイトでおせちを販売する事業に参入して10年、博多久松は昨年末に大台となる10万セット販売を達成した。快進撃を続ける同社では、3月に博多駅前にEC事業部のオフィスを開設。事業拡大に向けた新たな一歩をスタートさせた。

“攻め”の姿勢、経営に組み入れる

新オフィスは博多駅から徒歩2分の場所にある博多プレステージビル別館。工場機能は糟屋郡の本社に残っているが、今後はこの新しい事務所が同社のEC(イーコマース)事業「博多うまいもの便 博多久松」の最前線となっていく。
10年前通販ビジネスへの参入を決意した松田健吾常務は「これまでスタッフは受発注業務など機械的な作業にかかり切りだったが、今後は“考える”仕事を増やしていく。『どうすれば顧客満足度を高められるのか』『どうやって販売単価を上げていくか』などクリエイティブな仕事を任せ、“攻め”の姿勢を経営に組み入れていきたい」とオフィス開設の先にある新たな企業像を説明する。

楽天市場 「ショップ・オブ・ザ・イヤー」初受賞

同社は1982年、健吾常務の父・五郎氏が博多区千代で始めた仕出し屋が原型。8坪の自宅兼調理場で調理した料理を料亭やホテル、結婚式場に提供する中で成長してきた。しかし、2000年頃を境に婚礼スタイルが変化。売り上げは落ち込み、活路として見出したのが、現在では10万セットを販売するおせちの通販ビジネスだった。
「参入初年度の販売個数は90個、翌年は2500個。それ以降は、2万個ペースで販売を伸ばしていったが、その裏では失敗、また失敗の繰り返しだった。その都度、品質やお客様対応、発送体制を社員総出で改善していった」と当時を振り返る健吾常務。その10年間で築いた土壌は、今年1月に大きな大輪を咲かせた。国内最大のECサイトでもあり、同社の主力市場でもある「楽天市場」の4万店以上の中から年間優秀店舗を表彰する「ショップ・オブ・ザ・イヤー2013」で、博多久松はグルメジャンル賞を初受賞。同賞に選ばれたことで、名実共に国内トップクラスの通販企業の仲間入りを果たした。

新設したカスタマーセンター

新設のカスタマーセンターで商品提案

成長する企業にとって最大の課題は「次のステージをどこに定めるか」だと多くの経営者は口を揃える。
同社でも新たなステージに登る挑戦がすでに始まっている。そのカギを握るのが、博多オフィスに新設したカスタマーセンターだ。
「これまでECサイト内での広告やメール、オススメ機能などメディアミックスの販促が中心で、商品の問い合わせを受けた際に生まれる“商機”を見逃していたと思う。新設したカスタマーセンターでは、お客さんとの会話の中で他の商品を提案する手法をとっていきたい」と語る健吾常務。例を挙げると、スーパーの精肉コーナーに陳列される鍋の素の販売方法が近いかもしれない。商品の押し売りではなく、顧客満足を高めながらも販売単価を上げていく手法。それが同社の導き出した“攻め”の経営戦略だ。
また、カスタマーセンターの強化と並行して、主力のおせち以外にも顧客に提案していく商品群の開発に注力する同社。「お中元、お歳暮といったパーソナルギフト商材など挑戦しがいのある市場はたくさん存在する」と目を輝かせる健吾常務。「物販や飲食店など、食を通じて幸せを提供する総合食品メーカーに成長していきたい」と飛躍を誓う。

松田 健吾 常務
まつだ・けんご/福岡市出身。1979年10月18日生まれの34歳。福岡工業大学付属高校卒。久美子社長の次男。18歳の頃から家業の仕出し屋「久松」で働き、24歳でおせちのネット販売に参入。以降、販売戦略、製造計画、経営戦略を立てる同社の屋台骨。趣味は飲食店巡り

 

企業DATA
所在地 〒811-2304 糟屋郡粕屋町大字仲原2839-7
TEL 092-260-1313
FAX 092-621-9002
(博多オフィス)〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-17-1 博多プレステージ別館 4F
URL http://www.rakuten.ne.jp/gold/hisamatsu/
創業 1982年(昭和57年)9月
設立 1986年(昭和57年)8月
資本金 300万円
事業内容 婚礼食材、お惣菜食材の製造・販売、おせち料理メニュー製造販売・提案
年商 12億円
代表者 松田久美子
従業員 11人

採用情報
募集職種 総合職、品質管理、製造
応募資格 全学部全学科(四年制大学、短大、専門学校卒業見込み)
採用予定 若干名
問合せ先 TEL.092-402-2377
担当 松田健吾

(ふくおか経済EX2014年)