FEATURE

ふくおか経済EX 2016

㈱全教研


独自開発の教育コンテンツがグループ、
そしてアジアへと拡大

プログラミング教室を熱心に見学するマレーシア元首相のマハティール氏(中央)。日本の優れた学びのシステムを自国で普及させようと、全教研と現地のIT企業との橋渡し役を担った

学研グループとしての総合力を強みに教育サービスの充実に注力。特に独自に開発したプログラミング教室が好評で、今春からはマレーシアのIT企業をパートナーに現地での講座がスタートするなど、アジア戦略にも注目が集まる。

マレーシア元首相の仲介により現地でプログラミング教室を展開

自社開発したプログラミング教育をマレーシアのIT企業と組んで本格的に展開する。
全教研では、現場で子どもたちを教える先生たちの視点を生かし、「物理・化学・生物・地学・プログラミング」の5つの分野を総合的に学習する科学実験講座「サイエンスFIVE」を開発し2015年4月にスタート。人気講座として順調に受講者数を増やしている中、この講座に着目したマレーシアのマハティール元首相が日本の優れた学びのシステムをうまく自国のSTEM(Science Technology Engineering Math )教育に取り入れられないかと、現地でIT、工学、建設などを展開するDream EDGE(ドリーム・エッジ)社を紹介したことで実現した。
本格展開に先立ち、昨年11、12月にクアラルンプール近郊で行われたワークショップは、現地の子供たちや学校関係者らが集まり大盛況。プログラミング教育に対する関心の高さを目の当たりにした中垣社長は、初の海外展開に大きな手応えを感じたという。
今後は人気の高い講座を独立させた「プログラミング道場」(2016年4月開講)をベースに、Dream EDGE社が現地の子どもたちにプログラミング教育を展開。学校教育での普及促進のほか、現地のパートナー企業の開拓も積極的に進めていく予定だ。

2015年12月のオープニングイベントには現地のマレーシアの子供や学校関係者など約500人が集まった

既存講座のブラッシュアップで受講者の裾野拡大

一方の既存講座においても今春から様々な動きが見られる。
まず13年間展開してきた高校生対象のLIVE授業型予備校「Z-UP」(ゼットアップ)が、これまでのノウハウに独自色を強めた講座へと進化。内部の受講生の囲い込みとともに外部生の取り込みにも力を入れている。またタブレット授業「FLENS」では、関連会社のインフィニットマインドが開発した読解力育成プログラム「読む蔵(よむぞう)」を組み込んだオリジナルアプリがスタートするなど、本格化する教育のICT化に備えたコンテンツも充実させた。
さらに近年重要性が高まっているキャリア教育プログラムも、対象学年の拡大に加え、MI(マルティブルインテリジェンス=多重知性)理論に基づき8つの知性分類から潜在能力を知る知性チェックZ-MIを新たに導入するなどブラッシュアップ。今後はこれまでの実績とノウハウを生かし、ワークショップの開催や教材供給など、学校教育向けの新たなコンテンツとして発展させることも視野にさらなる普及拡大を目指す。

グローバル展開を成長戦略の柱に

これまで才能開発型講座を中心にニーズに合った多彩な教育コンテンツを開発してきた同社。その導入実績は今や自社や学研グループを超え、海外にまで広がっている。
特に海外展開の契機となったプログラミング教育は、すでにインドネシア、台湾、ベトナムからの引き合いもあり、アジア戦略は今後の成長戦略の大きな柱として期待されている。少子化の影響で厳しい経営環境が予想される学習塾業界。これからもコンテンツとグループの強みを生かした総合力で競争力のさらなる強化を図る。

      中垣 一明 社長

 

企業DATA
所在地 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-15-9
TEL 092-718-0080
FAX 092-718-1555
創業 1962年7月
設立 1977年3月
資本金 1億円
事業内容 学習塾の経営年
年商 44億8,300万円(2015年9月期)
従業員 280人
出先 (学習塾)福岡・佐賀・大分・長崎・山口県内で約70教室
関連会社 ㈱インフィニットマインド
URL http://welcome.zenkyoken.com/

(ふくおか経済EX2016年)