FEATURE

ふくおか経済EX 2009

㈱三好不動産


超・不動産宣言『守るべきもの』と『変わるべきもの』

約70人の社員が参加した会社プロモーションムービーの撮影風景(大濠公園にて)

不動産管理を最大の強みとした中期計画
〜守るべきもの〜

昨年10月、賃貸住宅管理地場大手の㈱三好不動産が「経営計画発表会」を開催。全社員を前に、三好修社長が3年後の60期までの中期計画を示した。
「三好不動産の事業基盤は管理物件にあり」の方針の下、不動産管理を最大の強みとし、管理物件の入居率を95%まで引き上げ、成約率60%を目指す。同時に、高い入居率の実現によるオーナーとの信頼関係をもって、管理戸数で現状の1.2倍となる3万戸を達成し、九州トップシェアを維持する考えだ。
これらを目標にする上で、三好社長は4つのターゲット戦略を挙げる。まずは①学生。毎年2万人が流入し、うち半分が定着すると言われている福岡の学生市場開拓を目指し、九州内約500校の高校に直接訪問を始めるなど、大きなプロジェクトをスタートした。次に、もう一つの大きな福岡流入市場である②転勤者に対しては、東京を中心とした約5000社の人事部を専門の部署が訪問、資料配布などを行い、福岡の生活シーンの紹介なども行っている。③高齢者対策として、福岡市とも協力して入居支援の新しい枠組みを作り事業化した。④学生同様に福岡への流入が増えてきた中国人を、将来の大きな入居者予備軍として想定。経済的に余裕が無くても入居可能なシステムを実験的に稼働させている。

金融サービス業への転換
〜変わるべきもの〜

不動産管理を、今後も変わらない主軸としながらも、同時に新たなビジョンも発表した。三好社長が以前から提唱している「超・不動産宣言」がそうだ。
なぜ、今「超・不動産」なのか。
日本経済は、今や各分野で業態変動が進む。銀行が保険や証券を取り扱っているのも一例だ。三好不動産自身も創業以来、賃貸管理から不動産仲介、土地建物の売買仲介へと業界内で先駆けて業容の幅を広げてきた。最近では賃貸住宅だけでなく、駐車場やテナントビルのプロパティ・マネジメント業でも実績をあげている。ところが、オーナーが所有する資産はなにも不動産だけではない。現金、有価証券、保険など多岐にわたる。不動産管理で培ったノウハウをもとに、それらオーナーの資産全体の有効活用をも提案できる体制を整え、新たな事業として確立させるのが狙いだ。
「具体的には、金融サービス業への転換を図る。賃貸管理物件を皮切りに、保険、証券、現金といった様々な資産へのコンサル業務を展開する。福岡の住宅事情を支えるオーナー様の総資産を増やし、守り、次の世代へスムースに継承できる様にサポートを続けていく」(三好社長)。
その一環として、既に、相続対策事業に力を入れている。一昨年夏に、相続に関する相談窓口「福岡相続サポートセンター」を開設。今年1月までに累計220件の相談に対応した。同じく1月からは、月に1回、定期セミナーも開催している。「プロのアドバイスが聞けて良かった」、「光が見えてきた。また相談に乗って欲しい」といった声があがるなど、顧客からの反応も上々という。

「CI戦略」で全社がひとつに
〜そして超・不動産の胎動〜

「経営計画発表会」の8カ月前。社内では、全社を巻き込む新たな潮流が生まれようとしていた。「CI戦略」の確立だ。
これまで、なかなか実現しなかったCI確立へ、ちょうど気運が高まっていたところだった。昨年2月、総務部と経営企画部が共同で「事務局」を設置、話し合いが始まった。
目標として、経営理念・経営方針・事業方針の見直し、各部署の事業計画をCIに沿って作成すること、ロゴの刷新などが定められた。中でも、事務局が譲らなかったのが、「三好不動産流のCIにすること」と「全社的な運動にすること」だった。そこで、社内全体から募った有志で「CI戦略委員会」をつくることに…。公募の結果、正社員の約1割にあたる23人が集まり、事務局メンバーとあわせて32人の委員会が発足した。
委員会には、入社1、2年目の社員も参加し、積極的に意見を出し合った。週に1回、2時間以上の議論が続けられたほか、全社にCIの考え方を伝えるために、各部門で勉強会が開かれた。そんな社内の動きに、役員も心を動かされ、積極的にCIに取り組むようになった。「全社的運動」という事務局の願いは見事に達成された。
全社一丸となったCIへの取り組みの結果、中期の目標も経営戦略のピラミッドとして視覚的に訴えることに成功。同時に、三好社長の「超・不動産宣言」も改めて全社員に浸透させることが出来た。

「 CHANGE for CHALLENGE 」

そして、迎えた「経営計画発表会」。今回のCI確立の集大成として、新ロゴと「CI戦略委員会」のメンバー自らが考えた新スローガン「CHANGE for CHALLENGE」が披露された。
これには、以下のメッセージが込められている。
「不動産管理という守るべき強みを持ち続けながら、超・不動産へ挑戦するため、三好不動産そして、社員ともども新たな気持ちに切り替えまい進していこう!!」。

三好 修 社長
同社の歩んだ歴史と超・不動産の未来を綴った社史(今春発行)を手にほほえむ同社長
福岡市出身、1955年2月1日生まれの54歳。西南学院大学卒。趣味はマラソン、朝風呂、旅行

企業DATA
【所在地】〒810-0054福岡市中央区今川1-1-1
【TEL】092-715-1000
【FAX】092-722-1515
【E-Mail】info@miyoshi.co.jp
【設立】1951年7月
【資本金】1500万円
【事業内容】不動産の賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・土地の有効利用の企画提案
【年商】29億2800万円(08年9月)
【代表者】三好修
【従業員】283人(08年10月)
【出先】賃貸仲介店舗「スマイルプラザ」12店舗+法人専門店舗1店舗
【関連企業】㈱サンコーライフサポート、㈲サンコー管理、㈱ベン、㈱ウエルス、㈱エム・サポート、㈱ミヨシアセットマネジメント
【URL】http://www.miyoshi.co.jp/

(ふくおか経済EX2009年)