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ふくおか経済EX 2010

㈱三好不動産


今年7月で創業60年目に突入、差別化戦略次々に

(写真)昨年入社した中国人の社員と。(左から天神西通り店の単珊さん、大橋店の李玥さん、三好社長、吉塚店の葛叢さん)

「借り手」市場となった賃貸住宅業界。福岡においても全国大手業者の進出などで競争は激化している。地場大手賃貸管理・仲介、㈱三好不動産の三好修社長は、「人口流入が続いている福岡は他の都市に比べて環境的には恵まれているが、地場の業者は集客対策やサービス等による差別化で後れを取っている」と指摘する。
今年7月に創業60年目を迎える同社は、対策を次々に打ち出している。その1つが多店舗化。福岡市内を中心に賃貸住宅仲介店舗「スマイルプラザ」の出店を強化して現在12店舗を展開、既存店舗も駅前に移転するなど、来店促進策を施している。

ターゲット別の入居対策を深化

加えて、法人、学生、高齢者、あるいは流入が増えている中国人の留学生・就労者などターゲット別の入居対策にも数年前から力を入れており、さらに深堀りを進めている。
学生に対しては、福岡市周辺の大学や専門学校への入学生のうち何人が部屋を探しているかなどを分析して付近の物件を手配。また3年前には、九州大学の移転で学生や大学関係者の増加が見込まれるJR筑肥線「九大学研都市」駅前に店舗を出店した。
また同地区では、不足している賃貸物件の供給を促すため、周辺の土地オーナーを募って、10年前に移転した石川県の金沢大学周辺の視察を今年1月に実施した。新しい学園都市での賃貸物件供給や賃貸経営のあり方などを実際に見てもらい、オーナーの投資意欲を喚起する目的だ。
学生対策では、大学や専門学校だけでなく、毎年秋ごろには九州、山口、沖縄の高校約500校を訪問。進学を希望する高校生へのアプローチにも力を入れている。
福岡に住む中国人をターゲットにした入居促進も進めており、09年からは中国人を社員として採用。中国人留学生や就労者の所属する企業や学校への訪問を通じて、人的ネットワーク形成を進め、顧客としての取り込みを図っている。

転勤者専門の横浜支店開設

社宅など法人向けの賃貸対策も着々と進める。昨年10月には、初の域外出店となる転勤者専門の「横浜支店」を開設。首都圏の企業に対して、福岡への転勤者の住居仲介や社宅代行の営業活動を強化している。三好社長は「横浜の人口は福岡の約2.5倍。首都圏で、かつ市場規模的にも妥当なマーケット。九州で培った不動産スキルを活かすには最適なエリア」と見る。
企業関係の賃貸仲介では約4000件の取引があり、そのうち半数以上は社宅代行業者経由で、その多くが首都圏に拠点を持っているため、当業者への営業活動も支店の大きな役割だ。各業者から紹介を受けた入居者にはアンケート実施するなど差別化も図っている。
高齢者対策では、NPO法人「介護賃貸住宅NPOセンター」を01年に設立、同社の三好京子専務が理事長を務め、以来、入居で困っている独居老人と空室に困っているオーナーのニーズを結びつける活動を展開している。
高齢者の入居で想定される、健康上の問題、家賃の問題、家族との問題、また万が一の場合などの諸問題に関してNPOがサポート。オーナーの不安を取り除き、独居老人に安心して生活できる住まいを提供する取り組みだ。
各ターゲットへの営業強化と同時に、賃貸物件の付加価値向上にも取り組んでいる。
昨年末㈱ジェイコム福岡と業務提携し、同社サービスエリアの三好不動産が管理する賃貸物件では、高速インターネットサービスの利用を無料化。また、入居率の悪い物件に対しては、入居の入れ替え期間を中心に数カ月間をフリーレント(家賃無料)とするサービスも始めている。

医療・商業施設などの企画開発も本格化

同社が管理する物件の90%は賃貸住宅で、今後も最大の柱であることは変わらないが、現在、店舗やオフィスなど住居以外の分野の事業も拡大しつつある。その中で特に強化しようとしているのが医療施設の開発事業だ。
昨年11月に調剤薬局を展開する㈱タカラ薬局と医療施設の開業支援に関して業務提携し、1月から本格的に共同事業を開始した。
これまでにもタカラ薬局の子会社で医院開業コンサルの㈱タカラメディカルと共同でメディカルモールを開発した実績があり、今回の業務提携で、三好不動産の持つ福岡都市圏の物件情報とタカラメディカルが持つ周辺の医療機関や住民の年齢構成などの情報とを照らし合わせて精査した物件を、2月に立ち上げたホームページ「医療不動産.com」に掲載。開業を希望するドクターを募り、福岡都市圏で100カ所を目標に開発を進めていくという。物件情報や土地オーナーとのパイプを必要とするタカラメディカルと、土地オーナーに対して新しい運用法を提案したい三好不動産のニーズが合致して実現した提携だ。
また1月末、九大学研都市駅前に開業したコンビニエンスストアやカフェ、美容室、焼肉店、歯科医院が入居する複合商業施設の企画・リーシングも担当している。同社ソリューション事業部では「九大の移転で商圏人口が増加。集客は十分期待できる」と話しており、福岡市内の他のエリアでも物件開発の準備を進めている。

資産家向けに相続コンサル事業も

また、同社の顧客である不動産オーナーに対しては、通常の物件管理だけでなく、資産運用全般の提案もしているが、その一環として、相続対策のコンサルティングも事業化しつつある。07年3月に「相続サポートセンター」を設置、相続対策が必要な資産家などを集めて定期的にセミナーを開いており、コンサル依頼の実績も上がってきているという。
近々相続サポートセンターを株式会社化して本格的に事業化、相続問題にビジネスとして取り組むと同時に、資産継承を通じて次世代の顧客を確保していく考えだ。
また、三好社長は昨年6月から業界の全国組織「財団法人日本賃貸住宅管理協会」の会長を務めており、賃貸管理業務の運営・管理の適正化・高度化と従事者の資質強化などに力を注いでいる。
現在、業界としては、賃貸住宅に係わる問題解決および問題の未然防止に向けて、下記の取り組みをしている。
①賃貸住宅の賃借人の住居の安定確保を図るための法律(家賃債務保証業の登録制度、賃貸等弁済情報データベースの登録制度、家賃等の悪質な取立て行為の禁止)の施行
②賃貸管理会社の登録制度(任意)の実施
③「めやす賃料表示制度」の推進
「これらは業界全体が業務の質をレベルアップするチャンスで、顧客の信頼アップにつながる」と期待を込めている。

 

企業DATA
所在地 〒810-0054 福岡市中央区今川1-1-1
TEL 092-715-1000
FAX 092-722-1515
創業 1951年
資本金 1,500万円
事業内容 不動産の賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・土地の有効利用の企画提案
年商 29億3,900万円(09年9月)
代表者 三好 修
従業員 282人
出先 賃貸仲介店舗「スマイルプラザ」12店舗、法人営業部、テナント課、横浜支店(計15店舗)
関連会社 ㈱ミヨシアセットマネジメント、㈱サンコーライフサポート、㈱エム・サポート、㈱ベン、㈲ミヨシツーリスト、㈲サンコー管理
URL http://www.miyoshi.co.jp/

(ふくおか経済EX2010年)