FEATURE

ふくおか経済EX 2012

㈱一蘭


本社ビルを全面リニューアル、博多の新たなシンボルが誕生

ラーメン業界を代表する企業として全国的知名度を誇る㈱一蘭。初夏までに初出店の地域も含め4店をオープンし、年内には国内40店体制を視野に入れていく。

初夏までに初進出エリア含めて4店オープン

世界一とんこつラーメンを研究する会社—それが㈱一蘭だ。メニューを多様化せず「天然とんこつラーメン」のみに絞り、美味しさはもちろん安全・安心にこだわり、多くの支持を集めている。
2月には12階建て本社ビルの全面リニューアルを開始し、会議室や応接室の増設などで本社機能の充実に着手。社内外でよりスムースにやりとりができる環境を整備し、業務効率化を図る。同時に、本社ビル1階の「一蘭 中洲川端駅上店」を2階に移転し、「一蘭 本社総本店」として新たにオープン。1階には同社のお土産商品販売所を設置し、自由に出入りできる街のコミュニティフロアとして地域に開放する。リニューアル後は、同社店舗のイメージカラーである木目のブラウン基調の外観に、多くの提灯が並ぶ。正面2階にはロゴマークが配置され、博多エリアのシンボルとなるビルに生まれ変わる予定だ。
また、昨年7月の「京都四条河原町店」を皮切りに、12月の「広島本通駅前店」、今年3月の群馬県内・北関東エリア初出店となった「前橋インター店」と未出店エリアへの進出が続いている。初夏までにはすでに京都2号店「京都八幡国道1号線沿い店」、都内11店目の「新橋駅SL広場前店」、兵庫県内初出店となる宝塚市での新店オープンが決まっており、国内36店舗体制となる。同社にはこれまでも多くの出店要望が寄せられていたが、無理な出店による品質低下を防ぐために人材の成長に合わせて出店を進めてきた。そのため、以前と比較すると早い出店速度だが、「スピーディーな出店は人があってこそ。2年前から採用を強化するとともに、積極的な人材育成に取り組んできたことが結果となっている」と説明。加えて、組織体制の改編で効率良く社内の連携がとれる形になったことによる、情報の共有、意志決定のスピードアップも加速の要因となった。さらなる出店計画も進んでおり、「例えば広島進出の際の反響は絶大だった。出店を待っている方の思いに応えていくことも使命」と今年度中の40店舗体制も視野に入れている。

(写真)本社総本店1階にお土産販売所を設置する(左)と本社総本店カウンターのイメージパース(右)

お土産商品「一蘭謹製 汁なしとんこつ」で物販強化

新店舗とともに注目を集めているのが、同社のお土産商品「一蘭謹製 汁なしとんこつ」だ。物販事業強化の第一弾として昨年12月に発売されると瞬く間に完売。あまりの反響の大きさに一時販売する店舗を限定し対応するなど、好調な滑り出しを見せている。同商品はその名の通り汁はないが、しっかりした味付けでとんこつならではの深い旨みと香りを楽しめる逸品。茹でた麺に混ぜるだけという手軽さも人気の秘訣だろう。出店要望と同じく、ラーメンのお土産商品化に対しての声も多く届いていたが「店で提供するラーメンが最高の一杯であり、例えば麺茹でひとつをとっても、お湯の量や沸騰の度合いなど、基礎的なことからまったく別のものになってしまうためお土産商品化はできない。それでも当店の味を家庭で気軽に楽しんでもらえるよう研究を重ねて汁なしとんこつが完成した」との言葉通り、この商品は顧客への想いが形になったものだ。出店や商品化など、業界を代表する人気店ゆえにさまざまなニーズへの対応が求められる同社。しかし安易に妥協することはなく、最高の形で一蘭の味を届ける姿勢こそが、ナンバーワンと評される所以と言えるだろう。

物販事業強化の第一弾「一蘭謹製 汁なしとんこつ」

 

企業DATA
所在地 〒810-0801 福岡市博多区中洲5-3-2 一蘭本社ビル
TEL 092-282-1111
FAX 092-282-1311
URL http://www.ichiran.co.jp
創業 1960年(昭和35年)
設立 1993年(平成5年)5月
資本金 4000万円
事業内容 飲食店(ラーメン店「一蘭」)経営
年商 58億2500万円(2011年12月)
代表者 吉冨学(よしとみ・まなぶ)
従業員 正社員131名・パート1,600名
関連会社 有限会社一蘭(原田工場・横浜工場・松島製麺所)ICHIRAN U.S.A. INC.

採用情報
募集職種 総合職(店舗管理、PR広報・新規事業、新店舗開発、総務、海外事業など)
応募資格 各種大学、短大、専門学校、高校
問合せ先 本社フリーダイヤル 0120-606-292
担当 人事採用担当 平峰和浩(jinjika@ichiran.co.jp)

(ふくおか経済EX2012年)