FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱ユーリンクス


ニュービジネスを始動。「月1万円のカーリース」

(写真)同社のイメージキャラクター江頭2:50さん

車のことなら「アラジン」、買取・販売・車検・修理板金の「アラジンステーション」を九州・山口に30店舗展開する㈱ユーリンクスは、2月から格安のカーリースサービス「アラジンスタジアム」を試験的にスタートした。
通常のリース料金は1カ月当たり3万〜7万円程度だが、アラジンスタジアムでは1カ月で1万円から2万5000円の料金帯(別途任意保険加入が必要)で、契約期間は相談に応じる。日常車を使う個人客や法人客を想定している。
カーリースと同じ扱いで、車検代や毎年の自動車税、タイヤなど消耗品やメンテナンス代も含まれているため、瞬間的な出費が発生せず、コスト負担がフラットになる。加えて、所有する場合は新車なら通常100万円以上、中古車でも数十万円の購入費用がかかるが、そのイニシャルコストも不要なため、「トータルで考えるとマイカーよりも確実に割安になる」(浦田成彦社長)という。

「社会貢献」の意味合いも

「社会貢献が企業経営の基本理念」とする浦田社長は、このビジネスに取り組み出した経緯を「オートローン審査も厳格化され、新車を取得しにくい状況。保険料も含めて月々1万5000円程度で車が持てるというサービスは、カーユーザーに対する貢献の意味もある」と語る。
また、今年中は試験運用期間と位置づけており、現在の貸出台数は各店舗の固定客を中心に約50台。「当面は収支トントンで結構。『より安く車を使っていただきたい』という思いが根本にあり、儲かる時には儲けさせていただくが、儲からなくても需要があれば供給していく」との持論だ。
ただ一方では、「スタート前は個人客が中心になると思っていたが、意外に法人関係の利用が多く、中には現在2台のところを『さらに5台追加してほしい』という要望もある」と、個人客よりもコスト計算がシビアな法人客からの反応に手ごたえを感じている。
来年初頭から本格的に展開していく予定で、初年度の目標は500台。「できれば5〜6年で1〜2万台の規模に持っていきたい」として、当初は福岡県内、認知が高まっていけば他県にも拡大していく考えだ。また将来的には「買取・販売をしのぐ当社の基幹事業に育つ可能性もある。また生活スタイルの面で、車の使い方の新しいスタンダードになるかもしれない」と期待をふくらませる。

福岡市西区小戸の本社店舗

来年からCM戦略も刷新

来年からはテレビCMも連動させていく。現在同社はタレントの江頭2:50さんをイメージキャラクターに、インパクトの強いCMを流しているが、これまではビジュアルで訴えるイメージ広告で、内容的には「車買取のアラジン」や「車のことならアラジン」といったシンプルなものだった。
「他社よりも高く買えます」、「他社よりも品揃えが豊富です」などの比較広告や「何万台の実績」など具体的な内容は出してこなかったが、来年1月からは、アラジンスタジアムのPRで「1日1万円ではなく1カ月1万円で車に乗れます、というような、ちょっと露骨なCMを考えている」という。
また、年間数千台の実績を持つ車検に関しても「車検をいくらで、修理をいくらでやります」といった具体的な内容のCMに変更を検討している。

出張査定の拠点設置も

買取・販売など“本業”では、リーマンショックの影響を受けた一昨年を“底”に、収益面では昨年、今年と回復。「今期はこれまで2けた増で推移している」という。足元では東日本大震災の影響を鑑みているが、「原発の問題を除けば、3カ月から半年後あたりから需要は回復してくるのではないか」とみている。
店舗展開では、昨年、今年とFC店が1店舗ずつ開店しているが、次は出張査定部隊の拠点設置を検討している。「アラジンの認知が進み、各店舗に電話やネットで売買の要望が入ってくるが、これまでは各店舗にゾーニングする形で、結果として案件を取りもらすケースもあった」ことへの対応策で、拠点にコールセンター機能を持たせ、連絡があれば待機している営業マンが査定・商談に向かう。
このため、今年4月1日には新卒29人を一挙に採用した。事業拡大に向けて増強する対象は、出店、宣伝広告費、人員採用などの選択肢があるが、浦田社長は「一番コストがかかるのは『人』だが、今はここが一番の力の入れどころ。今期は“ジャンプする前にひざを曲げて力を溜めている状態”」と捉えている。

震災への“継続的”支援を開始

5年前から同社は、車の買取、販売、板金修理、車検それぞれ1件ごとに100円を積み立てて、社会福祉施設「福岡子供の家」など7カ所に寄付と人的支援を続けているが、東日本大震災に対しても義援金の供出を決めた。
3月から100円募金を「1000円募金」とし、増額分を義援金に充てる考えで、毎月額40〜50万円程度の義援金をおくる予定だ。災害支援であるため、他の寄付や支援と違い永続的なものではないが、浦田社長は「私は性格的に一過性のキャンペーンは好まないので、年内でやめるつもりはない。金額は大それたものではないが、復興にめどが付くまでは継続する」と考えている。
さらに「儲かっているからできるとか、儲かっていないからできないというのではなく、『社会貢献を継続することが企業の存在意義』が私の理念。企業は社会貢献ができなければ存在する価値がないと思っている。いま、多数の企業が義援金などの支援活動をされているのは素晴らしいこと。ただそれが“当たり前のこと”にならなくてはいけない。とても悲しい事態だが、企業の存在価値を見つめ直す機会でもあると思う」と力を込めた。

浦田 成彦 社長
うらた・なるひこ/1970年2月25日生まれの41歳。大川市出身。伝修館高校、神奈川大学外国語学部スペイン語学科卒業。趣味は飲み歩き

 

企業DATA
所在地 〒8190001 福岡市西区小戸3-54-39
TEL 092-895-4899
FAX 092-895-4890
創業・設立 2000年12月
資本金 6,500万円
事業内容 車買取、販売、車検・板金・修理、カーリース
年商 26億4100万円(2010年11月期)
代表者 浦田成彦
従業員 105人
URL http://www.aladdin-fc.jp/

採用情報
募集職種 営業職、事務職、総合職、技術職
応募資格 普通自動車免許(AT限定可)
採用実績 29人(2011年4月入社)
採用予定 30人(2012年度)
問合せ先 TEL.092-895-4899
担当 多田、吉安

(ふくおか経済EX2011年)