FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱アペックスフーズ


新ブランド店の展開と物販事業を新たな柱に

(写真)3月18日にイオンモール大牟田にオープンした新ブランドの「らーめん息吹」

ラーメン店「龍の家」を多店舗展開する㈱アペックスフーズ。現在の展開エリアは、本拠である久留米を基盤に、福岡・熊本両都市圏、そして首都圏にまで及ぶとともに、これまではキャナルシティ博多の「ラーメンスタジアム」や「べんがら横丁(静岡県浜松市)」といったフードテーマパークへの期間限定出店、さらにインスタントカップ麺の全国販売など、数々のアイデアと実行力で新境地を切り開き、全国に龍の家ブランドを轟かせてきた。

大牟田に新ブランド「息吹」1号店

その同社が満を持して今春から新ブランドを立ち上げている。その名も「らーめん 息吹」。3月18日にはその旗艦店が同日グランドオープンした「イオンモール大牟田」(大牟田市岬町)のフードコート内に誕生している。同ブランドは路面店タイプの「龍の家」に対し、主にデパートや量販店のフードコートなどのインショップ向け店舗として展開。メニューは基本的にファミリー層を意識したものとし、老若男女が食べやすい様、あっさり味の「ラーメン(600円)」と「肉増しラーメン(800円)」、さらに新メニューとして、ヘルシーな「野菜ラーメン(750円)」を加えたのが大きな特徴だ。
「『龍の家』は、味はもちろん、店の雰囲気や接客を通じてお客様にお届けする“感動”があってこそ、初めて一杯のラーメンとしての価値がでる。しかし『息吹』は、フードコートという限られた条件で営業する以上、どちらかと言えばオペレーション重視で数をさばく運営形式となるため、両者のコンセプトは大きく異なる。ゆえにあえてブランド名を変え特色を明確化することで、それぞれのブランドイメージを守っていく必要があった」。梶原龍太社長は新ブランド立ち上げの理由をこう語る。同社ではこの「息吹」を収益性の高いローコストオペレーション型の新業態として位置付け、今後3年間でショッピングモールやデパート、駅ビル、高速道路のSA・PAにあるフードコートを中心に、全国10カ所で出店を計画。「今後あらゆる施設の新規出店時にオファーがもらえるよう、まずは1号店を成功させ今後の展開に弾みを付けたい」と強い意気込みをみせる。まさに屋号のごとく、勢いを感じさせる新ブランドの展開に大いに注目していきたい。

2010年12月にオープンした福岡都市圏では初の路面店「龍の家 春日下白水店」

年内には龍の家熊本5号店

その一方で龍の家は、2010年12月に福岡都市圏としては初の路面店となる「春日下白水店」を出店し好調な滑り出しを見せているほか、早ければ年内には熊本市内に熊本5号店を出店するなど着々と店舗網を拡大。5月下旬〜6月上旬には、海外進出する日系スーパー「MITSUWAマーケットプレイス」が米国2店舗(コスタメサ店、ニュージャージー店)で実施するイベント“春のうまいものFAIR”で、龍の家が日本を代表するラーメン店として3年連続で出店するなど、その活躍の場は海をも超えている。

販売好調なお土産ラーメン。写真はこく・純セット(各2食入り)

営業部門発足し物販事業を強化

主力のラーメン店の展開に続く新たな収益基盤として最近力を入れているのが、お土産ラーメンを主とする物販事業だ。これまでも運営する店舗での販売は実施してきたが、2010年秋には自社ウェブサイト上で、お土産ラーメンのオンラインショップを開設し、本格的な対外販売をスタート。「こく味」、「純味」の2種類の定番メニューに、最近ではトッピング商品の「自家製辛みそ」と「特製焙煎ゴマ」もラインナップに追加。龍の家の味が家庭でも楽しめるとあって全国から注文が相次ぐ。さらに3月には本社に営業部門を発足させ、これら通販部門の強化と同時にSC、空港、観光売店など各流通施設への販路開拓も進行中で、お土産ラーメンのさらなる拡販に努めている。
2010年12月には、今後の展開に向けた資金調達を目的に、福岡銀行を受託先とする私募債1億円を発行するなど、財務内容の健全化、および成長性など対外的信用度の高さも裏付けた同社。今後も“夢と感動を与える”企業として、ファンを失望させることなく着実に新市場を創造していく。

梶原 龍太 社長
かじわら・りゅうた/久留米市出身、1972年2月6日生まれの39歳、九州産業大学商学部商学科卒業。大手ディスカウントストアに勤務後、1998年にアペックスフーズに入社、2006年4月から社長を務める。趣味はビデオ鑑賞、ドライブ

 

企業DATA
所在地 〒830-0045 久留米市小頭4-136-1
TEL 0942-38-5800
FAX 0942-32-0153
創業 1999年5月
設立 1998年12月
資本金 1000万円
事業内容 ラーメン店の経営、土産用ラーメンの販売
年商 10億円
従業員 21人(パート含めると290人)
出先 [店舗]龍の家(上津店、久留米インター店、春日下白水店、ワシントン通り店、ワンダーシティー店、益城インター店、光の森店、小滝橋通り店)、らーめん息吹 [麺打場]久留米市
関連会社 栄龍(中国・上海)
URL http://www.tatsunoya.net/

(ふくおか経済EX2011年)