FEATURE

ふくおか経済EX 2013

㈱アキラ水産


仲卸に加工・小売も、
95年続く顧客第一主義のアキラグループ

柳橋連合市場の前身で市民に愛された「明市場」「明百貨店」が発展したアキラ水産。仲卸に転換後は、いち早く量販店に対応し、近年は加工業にも参入した。創業以来一貫しているのは、顧客第一主義と薄利多売。今後もそのDNAは引き継がれていく。

上:来店客がごった返す「明市場」。中央には魚が売れた後の空き箱が積み重なる。中央左に立っているのが創業者で安部社長の祖父・栄次郎氏
下:「明市場」が発展した「明百貨店」。呉服から履物、食品まで様々なものを取り扱った

柳橋連合市場の前身に「明市場」

今から95年前、“博多の台所”として知られる「柳橋連合市場」の場所に「柳橋廉売市場」が生まれ、その後にひときわ市民から支持された市場があった。㈱アキラ水産のルーツ「明市場」だ。
興したのは安部泰宏現アキラ水産社長の祖父・栄次郎氏と伯父の明氏、父の篤助氏の3人。店は連日、多くの客でごった返し、その喧騒の中で「○○銭!○○銭!」「この風呂敷は誰の!?」という声が響いた。スコップで魚をすくい、客が持ってきた風呂敷に移す。客は代金と交換でその風呂敷を受け取るという仕組みだ。見る見る魚は売れていき、魚を入れていた箱だけが積み重なる。これが実は「箱儲け」として同社の伝統になっている。「箱の分だけの儲け」、今でいう「薄利多売」である。「明市場」はその後、呉服から食料品まで多品種を扱う「明百貨店」へと発展。戦争を機に閉店するまで、市民に愛され続ける。

先頃リニューアルした人気商品の
「アキラの鯛茶」(未販売)
鮮度が売りの同社の干物

同じくオリジナル明太子の
「あきらめんたい」

量販店対応から加工業にも参入

アキラ水産が現在の仲卸業になったのは1960年。戦後の混乱を経て父・篤助氏が天神周辺で営んでいた大鮮魚店を業態変更した。そこから安部社長が舵取りをし、変革が始まる。
「スーパーの時代がやってくる」と察知し、いち早く品揃えを量販店向けに対応。売上げを伸ばしていった。2000年代に入ってからは、07年に専用工場をつくって加工業にも本格参入。量販店向けに魚をおろし、洗浄、パッキングまで施している。この頃からオリジナル商品の開発にも着手。明太子の「あきらめんたい」、鯛茶漬けの「アキラの鯛茶」といった人気商品が生まれた。一方、06年に鮮魚仲卸として全国で初めてISO9001の認証を取得。安全・安心の追求を徹底させている。
同社はその後も仲卸にとどまらず業容を拡大してきた。現在は仲卸の㈱コウトク水産、㈱安部水産、塩干物販売の㈱一心、小売・加工販売の㈱ハクヨーと、合計5社でアキラグループを構成している。昨年には加工専用工場を改装し、鮮度・品質向上を強化。また先頃、「アキラの鯛茶」をリニューアル。新しくごまだれ味と唐辛子風味の2つを加えた。

魚食普及にも尽力

本業以外では若い世代の魚離れを食い止めるべく、魚の良さ、おいしさを広く知ってもらおうと、魚食普及に力を入れている。その一環として毎月第2土曜日に開催している長浜魚市場の開放イベント「市民感謝デー」は08年のスタート以来、すっかり市民に定着し、毎回1万人が訪れる盛況ぶりだ。
本業での数々の変革に魚食普及。それを突き動かしているのは魚を必要とする顧客・市民への思いだ。この顧客第一と薄利の「箱儲け」。5年後に創業100年となる同社に、そのDNAが今も息づいている。

魚食普及の一環で毎月第2土曜日に開催している「市民感謝デー」。長浜魚市場を市民に開放し、毎回約1万人が訪れる。写真は市民感謝デーの日にお客で賑わうアキラ水産の売場

安部 泰宏(あべ・やすひろ)社長
福岡市出身。1939年3月29日生まれの74歳。福岡大学付属大濠高校卒。趣味はゴルフ。全国水産物卸組合連合会副会長。九州地区水産物卸組合連合会会長。福岡市鮮魚仲卸協同組合理事長。福岡魚食普及推進協議会会長。福岡商工会議所議員。地場経済界に広く交流があり、04年7月から福岡城西ロータリークラブ会長。05年4月に藍綬褒章、11年6月に旭日雙光章を受章した

〈企業DATA〉
所在地 〒810-0072 福岡市中央区長浜3-11-3-711
TEL  092-711-6601
FAX 092-715-3293
URL http://www.akirasuisan.co.jp
創業 1918年(大正7年)
設立 1947年4月
資本金 2000万円
事業内容 (福岡市中央卸売市場)鮮魚仲卸全般
年商 85億円(グループ)
代表者 安部泰宏
従業員 約90人(グループ)
関連会社 ㈱コウトク水産、㈱一心、㈱安部水産、㈱ハクヨー

(ふくおか経済EX2013年)