FEATURE

ふくおか経済EX 2010

㈱ふくや


〜博多「味の明太子」物語 2010春〜
新たな味、新ブランドが次々と

(写真)ふくや工場(福岡市東区社領2丁目)

様々な「こだわりの味」を提案

博多を代表する味として全国区の人気を誇る「辛子明太子」。その創業メーカーである㈱ふくやは、伝統の「味の明太子」を大きな柱に、新しい明太子の研究・開発を進め、食卓を彩る様々な「こだわりの味」を提案し続ける。
合成着色料や発色剤を使用せず天然色素成分のみを使った「明日(アシタ)のチカラ」。粒明太子に天然色素成分のアスタキサンチンを配合することで合成着色料や発色剤を一切使わずに色付けしたのが特徴で、業界では初の試み。これまでは、それらを使用しないと明太子の色が黒ずんだり、退色していたが、アスタキサンチンによって色の問題をクリアした。
タラコを調味オイルに漬け込んだ「Olio(オーリオ)明太子」。コンソメをベースに洋風に仕上げたタラコを、ガーリックオイル、ローリエ(月桂樹の葉)、タマネギ、タカノツメと一緒に漬け込み、洋風の香りと味わいが特徴。カッペリーニやマリネ、パスタなどで食べられる。洋風の味わいとプチプチの食感が絶妙だ。
「塩分が気になるけど……」という顧客の声に応え、何度も試行錯誤を重ねて、ついに出来上がった「味の明太子 減塩」。こだわったのは「味の明太子」ならではの辛さと旨味。定番の無着色中辛と比べておいしさはそのままに、塩分35%カット(当社比)を実現した。ふくやでは「わずかな塩分でもおいしく味わえる理想的な明太子を、ぜひお試しください」としている。

(写真)明日(アシタ)のチカラと、Olio(オーリオ)明太子(右)

新ブランド「然ト膳」で健康食品を発売

そして、今年1月からさらに新たな動きが……。新ブランド「然ト膳(ぜんとぜん)」による健康食品の販売が通信販売でスタートした。創業以来60余年の中での健康に関する要望に応えたもので、コンセプトは「おいしさを楽しむ日々のお手伝い」。同社は「明日のチカラ」の商品開発の際、色素としてのアスタキサンチンを知り、その健康成分に着目し商品化した。今回発売したのはアスタキサンチンのサプリメント2種類。川原正孝社長は「広く皆さまの健康にお役に立てたら」と語る。
アスタキサンチンは、緑黄色野菜に多く含まれるβカロチンの仲間で、サケ、イクラ、エビ、カニなどの海産物にも含まれる赤い色をした天然色素。生理的作用としては、病気や老化の原因となる活性酸素を消す作用(抗酸化作用)を非常に強く持ち、その効果はビタミンEの約1000倍といわれている。

新ブランド「然ト膳」

食品関連企業とのコラボ商品も本格化

このほかに食品関連企業とのコラボレーションも本格化する。徳島市を中心に、こだわりの石釜で焼き上げたパンを販売する「パパベル」では、ふくやの明太子を使った明太フランスが好評だという。
パスタで有名なピエトロとのコラボレーションは、ふくやのスパイシー明太子「ハバネロ」を使った「ハバネロ明太子の激辛冷製スパゲティ」。暑い夏を乗り切る激辛メニューとして昨夏の「ピエトロ2009 Summer冷製パスタフェア」でも人気を集めた。
外食大手のロイヤルとの共同開発による「博多めんたいも」は明太子のはじまりどころ・ふくやとROYALの人気商品スイートポテトとのコラボレーション。ふくやでは「ふくや、ロイヤルともに福岡で創業した『博多もん』。スイートポテトの甘さと明太子の辛さが出合った博多ならではのお菓子」と自信を見せる。
博多を代表するラーメン、たらこ、もつ鍋、高菜、ふくや特選唐辛子の5種類の味のせんべいがセットになった「博多かわりみ千兵衛」。食べる人の好みに応じて組み合わせ、色々な味が楽しめるのが面白い。現在特許を出願中で、“はさんで、かさねて、たべる”新しい食べ方を提案する。

「味の明太子」は創業者・川原俊夫氏の試行錯誤の末誕生した(創業当時のふくや店内)

販売方法はこだわりの「製造直売」のみ

様々な味が揃うふくやの「明太子」には、その販売方法にもこだわりがある。直営店(福岡県内39店舗・東京2店舗)とインターネットおよび通信販売のみの直販方式。卸売をせず「製造直売」にこだわるのは、顧客の手元に届くまでの「品質」に責任を持つため。そして、この「品質」を支えるのが「ふくやの明太子工場」だ。主力商品である「味の明太子」「家庭用明太子」を製造する。工場では無料で製造工程の見学ができる。さらにオプション(有料)の体験コースでは、スタッフが行っている選抜テストの一部を体験できる「味覚テスト」や自分の好みの辛さの明太子が作れる「手作り体験」などがある。
1948(昭和23)年10月、戦災で焼け野原になった博多の街に少しずつ復興の兆しが見えはじめていた博多・中洲市場の一角に誕生した小さな食料品店「ふくや」。店主の名は川原俊夫。妻・千鶴子とともに創業した15坪の店は、60余年の歴史を経た今日、明太子創業メーカーとして、しっかりとした歩みを続ける。

川原 正孝 社長
福岡市出身、1950年3月18日生まれの60歳、福岡高校〜甲南大学経営学部卒。73年福岡相互銀行(現西日本シティ銀行)入社、79年株式会社ふくや入社、86年常務、94年代表取締役副社長、97年社長に就任。趣味は博多祇園山笠、ゴルフ

 

企業DATA
所在地 〒810-8629 福岡市博多区中洲2-6-10
TEL 092-291-3575
FAX 092-291-2460
創業 1948年10月
設立 1980年8月
資本金 3,000万円
事業内容 辛子明太子の製造・販売、食品の卸売・小売
年商 181億5,119万円(2009年3月期)
代表者 川原正孝
従業員 232人(2010年3月)
店舗数 41店
関連会社 ㈱めんたい、㈱かわとし、㈱仟、㈱福仟寿、㈱メルヴェーユ、㈱スリーエフコーポレーション、㈱メディアシステム、㈱福岡サンパレスホテル&ホール、㈱バイオレッツ、㈱緑匠舎
URL http://www.fukuya.com

採用情報
募集職種 一般職
応募資格 短大・大学卒の新卒
採用実績 09年度13人、10年度4人
採用予定 11年度未定
問合せ先 TEL.092-291-3577
担当 支援部網の目コミュニケーション室人事担当

(ふくおか経済EX2010年)