FEATURE

ふくおか経済EX 2015

マリンハイドロテック㈱


海外から新規受注増、さらなるネットワーク拡大へ

前期(14年12月)決算で、前年に続きさらに業績を伸ばした同社。海外、特に台湾からの新規受注が業績をけん引しており、海外でのネットワークを拡大、新たな提案の柱となる商品開発にも注力していく。

最盛期迎える台湾新船ラッシュ

1962年の創業以来、一貫して海運・船舶用関連事業に携わってきた同社。船舶用油圧機器の設計・製造のほか、魚網を巻き上げる漁船用ウィンチの国内市場で高いシェアを誇り、台湾・韓国・中国など海外でのまき網船(海巻き船)占有率市場も、着実にシェアを拡大している。
近年の業績伸長の背景には、台湾の新船建造が挙げられる。同社が手がける海巻き船は、全長90m、ヘリポートなども完備された大型の漁船で、マグロやカツオ漁など遠洋漁業で使用される船だ。現在旧船から新船へのスクラップアンドビルドが増え、従来を上回るペースで受注している。
「旧船から新船への切り替えが活発で、現在がその最盛期と言っても過言ではない。チャンスを逃さず、受注拡大を図るとともに、ピークが過ぎた時に備え、各国でのメンテナンス体制を整えていく」と、井手敏文社長は語る。

台湾・高雄にメンテナンス工場建設

福岡市に本社を置く同社では、工場やメンテナスなどを行うサービスセンター、営業所などを国内7カ所に設置し、昨年4月には千葉県銚子市に国内最大級のメンテナンス工場を新設した。これまで大きい油圧機械や装置はすべて、下関の工場で整備していたが、銚子工場の稼働により、下関までの運送時間が完全に簡略化されることになった。
国内での設備体制を整える一方、新船の営業をメーンに展開してきた海外でも、昨年12月に高雄メンテナンス工場を建設、稼働させた。これまで現地の鉄工所に依頼していたメンテナンス事業を、同社のプロによる作業に切り替え、既存ユーザーや新船受注で新たな顧客となったユーザーに対して、一貫したフォロー体制を敷いていく。
「国内の体制がすべて整った現在、高雄のメンテナンス工場が本格稼働することで、台湾のお客さまがどれだけ当社に目を向けてくれるかが、ポイントになってくる。反響が大きければ、中国や韓国、東南アジアでもメンテナンス体制を整えていく」と、井手社長は今後の海外展開にも意欲的な姿勢を見せる。

製造の拠点・下関製造工場(左)。約8600㎡の敷地内では日々、製品の製造・修理(右)が行われている

枠にとらわれない新商品開発へ

漁船の碇や網を巻き上げる油圧装置だが、井手社長によると「漁船という枠組みにとらわれず、海底資源の発掘など、さまざまな分野にも応用できる可能性を秘めている」そうだ。そして、「国内という枠にとらわれず、漁船という枠組にもとらわれない、そんな発想を、私も含め、社員総出で生み出していきたい」と語る井手社長。
その試みは組織体制にも現れ、同社では今年に入って本社内に「企画開発室」を新設。基幹拠点である下関工場が担当していた商品開発を、同工場の機械設計と本社の油圧システム設計を合体したチームに委ね、各部門の情報を共有化することで、新たな営業・提案の呼び水となる商品開発に取り組んでいく。
新たな方針を社内外に打ち出した同社。設計からアフターフォローまで一貫して提供する、“トータルサプライヤー”としての強みを伸ばすことで、さらなる飛躍を遂げることだろう。

井手 敏文 社長
いで・としふみ/長崎県西彼杵郡長与町出身、1955年8月9日生まれの59歳、同志社大学商学部卒。長崎海星高校時代は3年連続甲子園出場中レギュラーにて2年連続出場。1979年、内田油圧舶用機械㈱(現マリンハイドロテック㈱)入社、2007年に代表取締役社長就任。座右の銘は率先垂範

 

企業DATA
所在地 〒810-0075 福岡市中央区港3-50-1
TEL 092-711-1110
FAX 092-711-5197
創業 1962年7月
設立 1971年12月
資本金 6,000万円
事業内容 船舶用油圧システムの設計・油圧装置の製造
従業員 150人
出先 [工場]下関[支店]福岡 東日本(静岡)、関西[サービスセンター]長崎、石巻、銚子
URL http://www.mhtc.co.jp

採用情報
募集職種 営業・設計・技術職
応募資格 高校、大学卒
採用実績 2013年6人、2014年18人
採用予定 若干名(新卒)、中途採用は通年
問合せ先 TEL.092-711-1091
担当 総務部長 坂之上

(ふくおか経済EX2015年)