FEATURE

ふくおか経済EX 2015

ゼオライト㈱


45年の実績とノウハウが結集した高い技術力を強みに

(写真上)注目を集めるPENTAIR社製のUF膜「X-FLOW」を用いた排水再利用設備
(下)入念に点検作業を行うメンテスタッフ。24時間365日の万全な保守管理体制が高く評価されている

45期を迎えた九州トップの水処理プラントメーカー。RO膜を筆頭に革新的な技術を駆使して開発した浄化システムは、用水・排水に留まらず、近年は災害対策分野の活用でも注目を集める。人材育成を中心とした組織づくりにも注力し、永続企業に向けた基盤固めを着々と進めている。

断水対策、畜産など多分野で普及する水処理技術

工学博士である河村恭輔会長が築き上げた長年の実績と経験、そして水への情熱が、卓越した技術力を生み、九州トップの水処理プラントメーカーへと発展を遂げた。水の自給や再利用、水質改善といったさまざまなソリューションを展開する中、逆浸透(RO)膜を用いた創水システムは同社の代名詞であり、これまで病院やホテル、工場など1100カ所以上に納入。特に地下水を活用した井水浄水システムは、近年、水コスト削減だけでなく、災害時の断水対策としてのニーズも高まっている。
2014年には、地元JAなどが推進する宮崎県産のブランド豚「宮崎ブランドポーク」の生産施設内にも導入された。繁殖、飼育において徹底した管理体制が敷かれる中、安全・安心で美味しい水を供給する同社の創水システムは高く評価されており、今後は畜産だけでなく、農業分野での活用も大いに期待されている。
また新技術への取り組みとしては、海外で豊富な実績があるPENTAIR社製のUF膜エレメントを用いた中水ろ過システムを開発。このプラントは省スペースでの設置が可能なため、中・小規模の食品工場を中心に排水処理を目的とした需要が伸長。昨秋には同膜を用いた排水再利用設備が、欧州の専門誌に紹介されるなど、同社の技術力は世界も注目している。

排水処理と再利用について河村会長と同社のプラントが欧州の専門誌に紹介された

万全の管理体制でエリア拡大続けるメンテ事業

一方で、高い技術力を生かした保守部門の事業拡大も、安定した収益基盤を支える柱へと成長している。
水量や水質の状況を現場でリアルタイムに確認できる最新鋭の遠隔監視システムに、専門スタッフによる迅速な現場対応力、さらに24時間365日体制を敷く万全な保守管理業務が支持され、近年は設備更新時などに他社から同社に切り替えるケースが増加。そのエリアは首都圏や関西、中京圏を中心に全国に及ぶ。
「メンテで培った技術と知識を、顧客への新たなシステム提案や、新規ビジネスの営業ツールとして活用し、事業の幅を広げたい。そのために社員はもっとレベルアップしなければならない」。そう課題を掲げる河村会長は、80歳を迎えた今も技術者としての情熱を失うことなく、新たなステップに意欲を燃やす。

注力する後継人材の育成と経営改革

45期という節目を迎えた今期は、副社長に後継者候補の嶋村謙志専務を昇格させる新体制が始動。それに伴い事業承継や労務に関する勉強会や外部研修を積極的に行うなど、次世代の経営幹部層が身に着けるべきマネジメントの習得内容もより具体化している。またアメーバ経営の実践により、社員の競争意識や経営参加意識によるモチベーションアップを図りながら、事業の採算・効率性を重視した高利益体質へのシフトも着々と進めている。
「あらゆる面での仕組みづくりが少しずつ形になっている。とりわけ急務となっている後継人材の育成については、まずは幹部研修に力を入れ、副社長を補佐する人材を育成したい」と意気込む河村勝美社長。家業から企業への転換を図る中、組織力強化に向けたチャレンジはこれからも続く。

二人三脚で歩んできた河村勝美社長と河村恭輔会長

 

企業DATA
所在地 〒812-0893 福岡市博多区那珂5-1-11
TEL 092-441-0793
FAX 092-441-0796
創業 1969年11月
設立 1970年8月
資本金 9,000万円 事業内容 水処理プラントの企画・設計・製造とメンテナンス、ROミネラルウォーター「わかみず」の宅配
年商 28億1,000万円(2014年7月期)
従業員 109人
拠点 (支店)東京、名古屋、大阪(営業所)熊本、大分、長崎(工場)プラント組立工場、わかみず工場
関連会社 ㈱アクアゼオライト
URL http://www.zeolite.co.jp/

採用情報
募集職種 営業系、技術系、メンテナンス系
応募資格 平成28年3月 大学卒業予定(化学・電気・機械工学専攻で資格所有者は優遇)
詳しい採用情報はホームページをご覧ください

(ふくおか経済EX2015年)