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ふくおか経済EX 2019

アメニティ開発(株)(アメニティホテルin博多)


業界の常識を逸脱した集客で、“楽天アワード”3年連続受賞

「アメニティホテルin博多」が楽天トラベルアワードを3年連続で受賞した。「あったらいいねを形にする」利用客への気遣いで、エリアトップクラスの実績と高稼働を誇る。業界の地位向上にも思いを強くする秋吉社長。業界の常識を逸脱した集客手法で業界内でも注目の的となっている。

櫛田神社や博多座にほど近い「アメニティホテルin博多」。このほど、宿泊予約サイト大手の「楽天トラベル」が年間を通じて実績が顕著な宿泊施設を表彰する「楽天トラベルアワード2018」において、銅賞に選出された。
前回のアワードでは同ホテルは金賞に選ばれており、今回2年連続の金賞はならなかったものの、アワード受賞は3年連続(16年銅賞、17年金賞)。対象となる九州内約6,000軒のホテル・旅館の中でも数少ない快挙となった。
また、秋吉智博社長はアワードの表彰式も行われた業界のカンファレンス内のパネルディスカッションにおいて、業界を代表し、パネラーとして登壇するなど、業界内でも注目度は高い。
秋吉社長は「受賞はありがたい。同時に来年は金賞を奪回したい」と意気込む。

今年新春に開催された業界カンファレンスのパネルディスカッションで登壇する秋吉社長(右端・写真左)
全室で40型の壁掛けテレビや布団が新しくなった(右)

「あったらいいね」を形に、98%超えの高稼働

同ホテルは年間を通じた全館の稼働率も高く、月の稼働率は常に98%前後で推移している。この1、2年の間、福岡都心部でホテル開業が相次ぎ、客室供給が急激に増える中において、この数字は際立っている。
リピーター客も多く、同ホテルの特色でもある朝食無料サービス(福岡名物のめんたいこも食べ放題)や、土日祝でも1万円以上とならない低価格が「お客様に支持されているのでは」(秋吉社長)という。
そういった好調さの中でも、サービス改善には余念がない。
これまでにも全72室に加湿空気清浄機や携帯電話充電器、延長コードなどを整備してきたが、昨年末から今年年初にかけては、卓上の20型テレビを全室で40型の壁掛けタイプに切り替えた。これに伴い、BS放送も受信可能になり、多くの利用客から好評を得ているという。また、ベッドのかけ布団も同時期に刷新した。これらに共通するのは、利用客へのちょっとした、しかし、貴重な気遣い。「『あったらいいね、を形にする』がコンセプト」(秋吉社長)だ。
今年後半にはより大規模なリニューアルも検討する。

生産性向上と業界地位向上にも強い思い

一方で、秋吉社長は現場の生産性向上にも力を入れる。昨年から電話での予約受付を取りやめ、事前カード決済に限定したネット予約に集約した。これにより、日々のオペレーションが各段にスムーズになった。「予約の間口は狭まるが、それでも選んでもらえるホテルになればいい」(秋吉社長)。というのも、飲食店での不誠実なキャンセルなど、「昨今、サービス業の立場が弱くなっている」と危惧するからだ。利用客に理解してもらえる範囲で一定の制約があっても、それが現場の業務改善につながり、利用客にとってもチェックイン手続きの簡素化などメリットは大きい。そんな思いを込めて、ネット予約への集約が業界のスタンダードになるべく、訴えていく考えだ。ひいてはそれは業界の地位向上にもつながっていく。
1999年の開業以来、今年で20周年の同ホテル。生産性向上と「あったらいいねを形にする」気遣いで、業界のフロントランナーを目指す—。

秋吉 智博 社長
あきよし・ともひろ/福岡市南区出身。1981年8月23日生まれの37歳。ラ・サール高等学校から慶應義塾大学経済学部卒。大学卒業後、都内不動産会社でファンド運営などを担い、その後㈱九州リースサービス(福岡市)で不動産リーシングなどを経験。2014年4月にアメニティ開発㈱社長を引き継いだ。趣味はマラソン

【DATA】
所在地/〒812-0026 福岡市博多区上川端町14-25
T E L/092-282-0041
F A X/092-282-0044
開 業/1999年4月
事業内容/ ビジネスホテル「アメニティホテルin 博多」運営
従業員/25人(パートなど含む)
URL/https://www.amenityhotel.com/

(ふくおか経済EX2019年)