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(株)福岡リアルティ


上場15年、Jリート初の統合報告書で投資家に広くアピール

国内初の地域特化型リートの福岡リート投資法人が今年、上場15年を迎える。地域特化だからこその強みを生かした外部成長(物件取得)で資産規模は2,000億円目前だ。1月にはJリート全体でも初となる「統合報告書」を発行。不動産投資における福岡の魅力ならびに福岡リートの取り組みを国内外の投資家に広くアピールする。

60を超えるJリート(不動産投資信託)銘柄の中で、投資対象エリアを福岡・九州に限定する国内で初めての“地域特化型リート”の福岡リート投資法人が今年、上場から15年を迎える。
上場時、735億円だった保有物件の資産規模合計は今や2,000億円に届こうとしている。その中で上場以来変わらないのは地域に特化し、「Act Local,Think Global(地の利を活かした運用ならびにグローバルな発想)」の理念だ。
「地域特化であり続けるため」(松雪恵津男社長)、近年では保有物件のアセットタイプも多様化している。昨年春、設立以来初めて投資方針の見直しを実行。物件タイプ別の投資比率で、オフィスビルとその他(物流施設・ホテル・住居等)の投資比率の上限を上げた。

地域特化の強み生かした外部成長

また、地域に特化しているからこその外部成長(物件取得)も動き出している。
福岡リートは6月30日、宮若市の物流施設を17億円で取得予定だ。同市の工業団地「宮田団地」内の施設で、九州自動車道若宮ICからほど近く、周辺にはトヨタ関連企業も多いことから共同配送等にあたっても利便性が高い。施設は現在稼働中だが、売り主が福岡リートに売却後、福岡リート側で次の入居テナント用に4億円をかけて改装工事をし、物件名を「ロジシティ若宮」として11月から賃貸する。松雪社長は「売主と以前からコミュニケーションを取り、次期テナントの選定にもあたっていた。単なる物件取得にとどまらない、地元に特化しているからこそできる柔軟な対応であり、我々としても今後の物件取得手法の幅が広がった」と自信を見せる。
今回の物流施設取得で福岡リートの保有物件は全30物件。資産規模は1,976億円となる。物件取得による外部成長は重要な成長要因で、福岡リートでは今後もオフィスビルや物流施設などを優先的に検討していく。そして、中期的には資産規模2,500億円を目指す。

Jリート初の統合報告書

福岡リート及び福岡リートの資産運用会社・㈱福岡リアルティは、中長期的な投資主利益の最大化を実現させるため、収益性に加えてESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮も追い求めている。これにあわせ、2018年にサステナビリティ方針を策定。サステナビリティ推進委員会を設置した。加えて、欧州発祥のサステナビリティ配慮を測るベンチマーク「GRESB」に松雪社長のトップダウン方針で参加し、18年、19年と「Green Star」並びに「4スター」を獲得している。
一方、社員からのボトムアップで実現したのが「統合報告書」の発行だ。統合報告書は財務情報と非財務情報を関連付け、企業の持続的な成長への取り組みなどをステークホルダーに紹介するもの。主に上場している大企業で発行例が多いが、Jリートでは今回の福岡リートの統合報告書が初めて。都市としての福岡の特徴や福岡リートのビジネスモデルまで分かりやすく記載した。福岡リートでは今回の統合報告書を投資家との対話のツールのひとつとし、福岡の強み、福岡リートの強みを世界の投資家たちに伝えていく。

松雪 恵津男 社長
まつゆき・えつお/佐賀県鳥栖市出身。1955年8月5日生まれの64歳。東京大学法学部卒。80年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。2009年7月福岡地所入社。執行役員経理部長兼総務部・財務部担当などを務め、11年6月から福岡リアルティ常務、12年6月から社長。14年5月から福岡リート投資法人執行役員を兼務。大のサガン鳥栖ファン

(ふくおか経済EX2020年)