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今、必要なもの
答えは人間力。

永江靜加 代表取締役会長
ながえ・しずか／全日空のキャビンアテンダントを経て1984年にインターナショナルエアアカデミーを設立。年間講演回数は約300回（総動員数約5万人）で、福岡女性起業家の先駆者として知られる。航空人材育成協会理事長、魅力学協会理事、国際女性商工会理事を兼務。2020年11月から福岡商工会議所副会頭

昨年11月、設立40周年を迎えた㈱インターナショナル エア アカデミー。〝世界で活躍する高度な人財育成〟を掲げ、これまで約6,500人の航空業界希望者を輩出。合格率200％の実績や企業向け「魅力学」講演・研修の拡充、昨年2月には日本初のシニアアテンダント事業をスタートするなど、注目が高まっている。

超難関の航空業界にあって、驚異のキャビンアテンダント（CA）合格率200％の実績を誇る「インターナショナル エア アカデミー（IAA）」。“赤い制服のエアライン名門校”として、世界に通じる一流の接遇･人間力を兼ね備えた人財を輩出してきた同社が2024年11月、「設立40周年」を迎えた。記念祝賀会では高島宗一郎福岡市長ほか、中村英一同副市長、荒瀬泰子同副市長、谷川浩道福岡商工会議所会頭など政財界を代表する方々が出席し、盛況に開催。「これまで約6,500人のCAを目指す若者たちが大空へ羽ばたいた。若者の夢を叶え続けて40年。今後も一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、世界と日本の架け橋になれる人財を育てていきたい」と永江会長は笑顔で抱負を語る。
時代が変わり、人が変わる。常に変化し続ける世の中で、何が人の心を動かすのか。「答えは、人間力」と永江会長は即答する。設立以来、「世界に通用する人財を育てる」ためのカリキュラムを独自に確立。その代表的なエピソードがJR九州つばめレディ誕生秘話にある。「これからは必ず女性が活躍する時代が来る！」。そう確信した永江会長が国鉄民営化に向けて、JR客室乗務員を提案。IAAから選抜した学生17人が猛特訓の結果、民営化と同時に「JRつばめレディ」が日本初のJR客室乗務員として採用された。この前例のない画期的な出来事が当時大きな話題となった。
さらに、英語や中国語、韓国語など語学堪能な日本初の「タクシーコンシェルジュ」を創出するなど、自由な発想で地域活性を支え続けている。

多彩な企業研修メニューに注目集まる

人物の内面・外面はもちろん、人間力を磨き上げる「魂の研修」で企業成長をサポートしているのも同社の大きな魅力の一つ。“世界に通用する人間力を育てる”教育ノウハウを背景に、銀行やホテル、病院、役所など様々な業界から研修の問い合わせが増加。「近年ではホスピタリティ向上や販売促進だけでなく、Z世代の育成方法や社員のモチベーションアップ、女性活躍推進などの講演が増えている」と説明する。
現在、企業講演・研修メニューは16分野にまで拡大し、研修実績は年間約700社。「アフターコロナを機に、今が変化のチャンスと捉えて人財教育に力を入れる企業は多い。特に、富裕層向けビジネスを展開する企業からの需要が高く、富裕層ライフスタイルを知り、満足させることの重要性が浸透している」と永江会長は世界のVIP対応を経験してきた視点で市況感を分析する。女性ならではの発想で企業に新たな風を起こすための「魅力学」を掲げ、接遇マナーやビジネスマナーは当然ながら、「心の研修」を強力に推進。「一度しかない人生を幸せな人生にするために必要な夢・勇気・希望・感動を全身全霊で伝えていく。それが、私たちの使命」と強調する。

シニアアテンダントの専門家育成に自信

また、昨年2月にはシニア顧客専門の接遇ができる人財「シニアアテンダント（SA）」の育成事業を日本で初めて実施。以降、各業界からの反響が大きく好調に推移している。「現在、国内は3人に1人が65歳以上のシニア時代となっている。今後、さらにシニア向けサポート需要は拡大すると思うが、このSA育成には介護という概念はない。私たちアクティブシニアがより豊かに、自分らしく自立して人生を楽しむ。そんな人格的にもスキル的にも魅力ある人がSAとして各業界で活躍する場を提供していく」と永江会長は意欲を見せる。
同11月には認定機関「シニアアテンダント協会」を設立。企業・個人向け講座を受講し、資格取得後は“地上ファーストクラスのおもてなし”を有するSAとして活動する。今年5月にはSAアプリを開設するなど、アクティブシニアの利用とSAの活躍拡大にも余念がない。「現在、導入企業では多くの資格取得者が業界最前線で活躍している。将来的には日本中をSAで溢れる社会にしたい。そのための“最良の学校”の理想形を追求していく」。航空専門校と社員研修・企業講演、シニアアテンダントの3本柱で企業成長をバックアップするIAA。永江会長の瞳がまた一段と輝きを増す。

（ふくおか経済EX2025年）