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2病院体制でさらに
『受診して良かった』と思われる病院へ

福岡都市圏で精神科専門病院を運営する医療法人済世会 河野病院グループは今年1月末、創業の地・篠栗町の河野病院を閉院し、河野名島病院と河野粕屋病院の２病院体制を始動した。２病院で機能を分担するとともに、河野名島病院の機能を拡充し、さらに『受診して良かった』と思われる病院を目指す。

福岡の精神科医療に携わり約80年

医療法人済世会 河野病院グループは1946（昭和21）年、糟屋郡篠栗町に診療所（後の河野病院）を開設したのが始まり。51年に法人を設立すると、57年に河野名島病院（福岡市東区）、82年に河野粕屋病院（糟屋郡宇美町）を開設。以来、「世を救い、どんな患者も断らず受け入れる」という河野正初代理事長が掲げた理念を受け継ぐとともに、2005年に就任した河野正美現理事長のもと、心を病んだ患者の社会復帰を支援できる施設づくり『にじいろプロジェクト』を推進し、約80年にわたり福岡都市圏の精神科医療を担ってきた。

都市型外来の「河野名島病院」と
療養型の「河野粕屋病院」で機能分担

河野病院は施設の老朽化や法改正に伴う高額の補修費・改修費が今後必要なことから、将来の人口減少社会を鑑み閉院したが、今後は都市型外来の河野名島病院と療養型の河野粕屋病院が機能を分担・拡充し、これまで以上に『受診して良かった』と思われる病院を目指している。
特に法人本部を移した河野名島病院は昨年12月に許可を受け、療養病床から一般病床へと再転換し、積極的な医療を展開していく。「今後の精神科病院には、認知症患者さん、特に内科や施設では対応が困難な患者さんの積極的受け入れが必要」（河野理事長）とし、誤嚥性肺炎の防止など高齢の認知症患者への口腔ケアに対応すべく、河野病院にあった歯科部門を、今夏をめどに新設する。また、同病院隣接地などの土地・建物を購入し、今後関連施設として利用するほか、手狭なスタッフステーションや保護室の改修・増床、老朽化しているデイケアの整備なども検討。本部移転を機に更新した通信設備と併せて、より「安全、安心な病院」「働きやすい職場環境」づくりを進めている。
2012年に完成した新病棟にストレスケア室や認知症対応施設を備える河野粕屋病院にも最新のCTスキャンを導入した。約3万4,000㎡の広大な敷地と、博多湾からみずほPayPayドーム福岡までを一望できる自然環境の良さに加え、さらに機能向上を図る。

（写真）河野名島病院入り口にある「にじいろベーカリー」は患者の社会復帰をサポート。イートインスペースでは入れたてのコーヒーと手作りのパンを楽しむことができ、地域の人たちの憩いの場となっている

気軽に相談できるフリーダイヤル開設

経営の効率化とともに、広報を担当する河野雛子常務理事のもと、より一層の病院の周知や患者とその家族が安心して気軽に相談できる体制づくりに力を入れている。昨年4月に電話をフリーダイヤル化し、受診相談専用窓口を一元化。同7月にはホームページを刷新し、相談フォームを導入した。「相談業務の一元化で、精神保健福祉士の業務軽減と同時に相談の気軽さも実現でき、相談件数が大幅に増加。各病院の状況を鑑みた対応が可能となった」そうだ。
また、福岡ソフトバンクホークスやアビスパ福岡のスポンサー活動などを通じて、地域振興にも取り組んでいる。アビスパに関して今シーズンはシート命名権契約を締結。法人本部移転のタイミングで、ホーム戦のバックスタンド指定席を「河野名島病院シート」とすることになった。
一方、『働きがいのある』病院も目指している。子育て支援や柔軟な就労形態などで人材確保に取り組むほか、一昨年から女子硬式野球クラブチーム「九州ハニーズ」の選手計3人を病院スタッフとして採用。さらに昨年はインドネシアから技能実習生5人を迎えた。職場環境の改善とともに多様な文化、若い力によって病院の活性化を図っている。

河野雛子 常務理事 かわの・ひなこ／福岡市出身。1995年9月27日生まれの29歳。福岡雙葉高校卒―上智大学総合グローバル学部卒（在学中にカナダ・トンプソンリバーズ大学へ約1年間留学）。丸紅パワー＆インフラシステムズ㈱勤務を経て、22年医療法人済世会入職。法人本部にて広報を担当。趣味は旅行、ピラティス

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（ふくおか経済EX2025年）