NEWS

「災害対策」「教育環境」「稼ぐまち」を最優先課題に 福井福津市長


週刊経済2026年2月25日発行号

新任首長インタビュー抜粋

昨年3月、37歳の若さで福津市長に就任した福井崇郎市長は、本誌3月号「新任首長トップインタビュー」に応え、大雨被害を受けた「選択と集中」の市政方針などについて語った。以下、インタビューを抜粋。

―昨年3月に、37歳の若さで福津市長に就任した。改めて、市長選への出馬を決意した理由は。

福井 市長選に出馬したのは、「次の世代を見据え、『新時代の福津』に変えていきたい」という思いから。より具体的には「稼げるまち」を目指すことが重点テーマ。私には1歳と3歳の子供がいるが、彼らが大人になった時に、福津市に居続ける「住む以外の選択肢」をつくりたいという願いもあった。

―現在の福津市には足りない部分があると。

福井 私はそう感じている。市議を務める中で、福津市ならではの構造的な課題も見えてきたが、福岡市・北九州市のベッドタウンとして、全国でも有数の人口増加が続いてきた自治体として知られる一方、ビジネスや工場等の産業に乏しく、「働く場所」が決して多くはない弱点があるほか、「多子高齢化」という昨今では珍しい人口構成であることから、教育や社会保障をはじめとする財政的な負担も大きく、慢性的に厳しい財政運営を迫られている。だからこそ、住む場所としての魅力に留まらない、自らの産業で税収を伸ばしていける「稼げるまち」を目指すべき局面を迎えていると、選挙戦では強く訴えた。

―前市政では、市の基金で多額の「含み損」を発生させた責任も問われていた。

福井 市政に対する不信感が高まっていた状況だからこそ、私の訴えに耳を傾けてくれる人が増えたのだと思う。また、自分と同じ子育て世代を見据えた政策や、次世代に向けた教育環境整備に向けた訴えも、多くの方々から共感を得た実感がある。

―結果、4候補の得票率がほぼ横並びになるという、稀に見る接戦の市長選を制した。

福井 他の3候補も5千票を超える得票数となる中で、私は6639票、次点の候補とは僅か614票という僅差で初当選させていただいた。この混迷とした状況下で、私に信任を与えてくださった市民の方々に心から感謝するとともに、一方で他の候補に投票した約1万7千人もの市民から、信任を得ることができなかったという事実も、しっかり受け止めなければならないと気を引き締めた

―市長選では「稼げるまち」が公約の柱だった。初年度はどこから着手したのか。

福井 企業誘致を進めていく上での下準備として、プロジェクトチームが企業に発信するビジョンづくりを進めている。住環境としてのQOLやビジネス目線での交通アクセスなど、企業への訴求力を持ったアピールポイントを集約し、一つのビジョンとして取りまとめているところ。

―どういった企業を呼び込んでいきたいか。

福井 九州全体で半導体産業が活気づいている中なので、やはりそれに関連した成長性ある企業を呼び込むことが理想。モノづくり企業や物流企業、サテライトオフィス、レジャーなど、幅広くトップセールスでアプローチを進めていきたい。その一方で、大手企業、特に工場や物流施設などを呼び込むために求められる用地の準備にも、並行して取り組んでいかなければならない。行政が旗振りを担いつつ、地域と企業を橋渡しする形で、産業の核となるエリアを構築していければとイメージしている。

―企業誘致だけでなく、創業支援にも力を注ぐ方針を示していますね。

福井 実は、福津市は創業の数自体は県内でも非常に多い部類に入り、創業拠点としての素地はある程度整っている。特に、ITやAIといった場所を選ばない事業を手掛ける起業家は、ビジネス環境としてのインフラよりも、家族目線のQOLを重視して起業する場所を選ぶ向きもある。「暮らしながら働く」場所としての強みを前面にアピールしながら、「福津市で一旗揚げる」トレンドを形作っていきたい。

―昨年8月には大雨で冠水が発生した。

福井 2人の市民がお亡くなりになるなど、過去に例を見ないほどの大きな被害を受けた。一般的に、福津市は災害が少ないまちと認知されていただけに、市民にとって、大変ショックが大きい出来事だった。当然ながら、被災地域の復旧・復興や防災対策に大きなリソースを割く必要性が生じ、結果として財政状況はさらに厳しさを増している。

―突発的な財政負担で、なかなか公約の実現に向けた財源も確保できないのでは。

福井 おっしゃる通り。しかし、公約を掲げて当選した以上、市民の方々に現在の状況を説明する責任があると考え、昨年12月に「厳しい財政状況打開への方針」として、今後2年間の市政運営では、次の3点を最優先で進めると報告した。一つは、「災害に強く、安心して暮らせるまちづくり」。二つ目は、「次世代を育む教育環境整備」。最後に、「人も企業も行政も〝稼ぐ〟まちづくり」。当然、優先順位の中で後回しになる施策も生じることにはなるが、市民の方々に丁寧にご説明を重ね、理解を得ていきたいと考えている。もちろん、優先課題に挙げた3点については、何としても今後の2年間で解消する、あるいはしっかりと今後の道筋を示すことをお約束する。