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米国関税政策危惧も業績は順調に推移 ワールドホールディングス伊井田栄吉会長兼社長に聞く


週刊経済2025年12月17日発行号

 ―1年を振り返って。

伊井田 年初にアメリカで新政権が発足し、関税が当社の基幹である人材教育事業にどう影響するか警戒していた。当社は12月期決算で、特に下期は不透明と予測して対応策を練っていたが、今までのところ影響は想定内で収まっている。多少の支障はあったものの、幅広い領域と多様な業種をカバーしている強みを生かし、リスク分散を図ることで、影響を最小限に抑えている。

―25年も新しい取り組みがあった。

伊井田 非常に反響が良かったのが4月に開設した熊本テクニカルセンター。半導体製造現場のエンジニアを育成する施設で、地元の開新学園と協定を結ぶなど産学連携で地域の人材づくりに取り組んでいる点が評価を受けたと思う。

また2020年に東邦チタニウムと合弁でTOHOWORLDを設立し、この5年間でチタンの製造・設備・技術領域などに受託範囲を広げてきた。そして3月には、東邦チタニウムの子会社でチタン加工品製造のトーホーテックを我々のグループに迎え入れた。これを機に製造請負をさらに強化していく。

6月には自動車メーカーのスバル、我々の同業である人材会社の日総工産と共同出資で、㈱SUBARU nw Sight(スバルニューサイト)を設立した。人材会社と自動車メーカーの合弁会社は前例のない取り組みだった。

スバルなどメーカーに対する人財サービスの会社で、今後サプライヤーのバックアップもできるようになり、スバル本社がある群馬県への地域貢献もできるという面でも大きな意味があると思う。

地域貢献では、5月に徳島県鳴門市と連携協定を締結した。鳴門市の企業誘致・新たな雇用の創出・人材育成の推進・地域産業貢献を目的としたもので、地域の活性化に貢献できるのは非常に喜ばしい。

また10月には、ふくおかフィナンシャルグループと当社グループのワールドインテックが、若年層の就職難が社会問題となっているインドネシアの工業高校・工業系職業大学と、九州地域の人材不足に対応する連携協定を結んだ。インドネシアでモノづくりの教育を受けた人材を九州の企業に送り出し、半導体事業の振興を支えていく目的で、これは大きなインパクトがあった。どこに行っても地元の金融機関から「この地域でも可能か」と尋ねられる。

―26年は中期経営計画の最終年度だが、中計の売上目標は25年で到達するのでは。

伊井田 そう思う。次の中計も視野に入れ、しっかりと安定成長を図っていきたい。

―今後注目される事柄は。

伊井田 これからAI関連がどうなるか。AIバブルなどとも言われており、投資が過剰になっていないかどうかは少し心配だが、変化に柔軟に対応し、しっかりと安定成長を図っていく。