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信州大らと分散型水循環システムの実証実験 ゼオライト


週刊経済2025年10月29日発行号

中山間部での独立運用を目指し

水処理プラント設計・施工業のゼオライト㈱(福岡市博多区那珂5丁目、嶋村謙志社長)は、現在一般財団法人造水促進センター、国立大学法人信州大学、日本水工設計株式会社、長野県喬木村と「中山間部における分散型水循環システム」の実証研究を進めている。

今年6月にゼオライトを幹事とする共同研究体が提案した分散型水循環システムに関する実証研究が、国土交通省の令和7年度「上下水道一体革新的技術実証事業」に採択されたことによるもので、10月から人口減少地域や山間部において、生活用水の確保と汚水処理を一体で行う「分散型水循環システム」の独立運用の実証を進めている。

実証実験では長野県喬木(たかぎ)村を実証フィールドに 、「飲料水供給、汚水処理、雑排水再利用」を一体化した分散型システムについて、限界集落や少子高齢化地域への普及に向けた信頼性、LCC(ライフサイクルコスト)、運用性などを検証。具体的には、飲料水の生成において、実証フィールドにて予想される窒素系成分などを、新開発の「極超低圧の新規複合RO膜」を用いて効率的に除去。同時に雑排水はMBR(膜分離活性汚泥法)およびRO膜によって飲料水適合基準まで浄化し、排水量の80%をトイレ用水などに再利用可能とすることで、汚水処理の浄化槽の規模の縮減を目指す。さらにこの水循環システムはコンテナに収納され、災害時には給水を優先する地域への移設を可能としており、地域のレジリエンス向上に寄与する点も実証される。履行期間は令和8年3月31日まで。

嶋村社長は「10年先を見据えた目標として、消滅可能性都市への水循環システムの導入推進を掲げている。全国に約1千存在する浄水場の多くは、今後、投資や整備が進まない可能性がある。当社はこうした地域の現状を深刻に捉え、人口減少下でも安定した水供給を維持し、持続可能な地域づくりに貢献したい」と話している。