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自治体として全国初の中古EVリース 福岡県と新出光


週刊経済2025年9月24日発行号

使用済みバッテリー循環構築へ

福岡県(服部誠太郎知事)は8月20日、石油製品販売大手の㈱新出光(福岡市博多区上呉服町、出光泰典社長兼グループCEO)と連携し、自治体としては全国初の取り組みとなる中古EVのリース事業「サステナEV」を福岡県内で開始した。

これは中古EVの国内利用を促進し、使用済みEVバッテリーからのレアメタル回収・リサイクルによる資源循環システム「福岡モデル」の構築を目指すもの。中古EVの約8割は海外に輸出され、搭載されているリチウムなどのレアメタル資源が国外流出する現状があり、福岡県では昨年7月に官民連携組織「グリーンEVバッテリーネットワーク福岡(愛称・GBNet福岡)」を設立し、その福岡モデル構築に着手していた。サステナEVは福岡県からの委託を受けて、GBNet福岡のメンバーで、レンタカーやリースなど自動車事業も柱の一つとして展開する新出光が実施。初期費用とランニングコストを抑え、多くの人にEV体験を提供するとともに、リース期間中にバッテリー診断や保証を提供し、バッテリー劣化への不安を解消。リース終了後は回収したバッテリーのリユース・リサイクルも実施し、県民の中古EVに対するイメージアップを図るとともに、中古EVリースの事業化について検証を進めていく。

サステナEVの対象は福岡県内在住の個人や県内に事務所を持つ法人。リース車両は初年度登録から5〜7年経過した中古EV(日産リーフなど)で、2025年度は30台。リース契約期間は3年で、リース料は月額2万5千円〜3万5千円と同年式のガソリン・軽油車よりも安価に設定。車検を含む定期点検、6カ月ごとの点検、タイヤ交換、パンク修理などがリース料金に含まれる。リース期間中にバッテリー性能が一定水準を下回った場合、メーカー保証に準じて無償で交換する。リース終了後に回収したバッテリーは、蓄電池として再利用するか、レアメタルを抽出してリサイクルする。