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小倉北区役所でAI実証プロジェクト 北九州市


週刊経済2025年9月17日発行号

電話自動応答や相談記録の自動作成

北九州市は9月3日から、小倉北区役所(北九州市小倉北区城内)でAIを活用した実証プロジェクトをスタートした。

北九州市は、7月に「AI活用推進都市」を目指すと宣言し、その皮切りとして「AI時代の新たな区役所モデル」の創出を目指すと掲げていた。今回の実証は、市民サービスの向上と業務効率化を一体的に進めることを目的に、特に時間を要する3つの業務でAIの有用性を検証する。一つは、マイナンバーカードの問い合わせの自動応答。月に約3400件寄せられる電話相談のうち、約半数はマイナンバーカード関連の問い合わせであり、想定される相談に対する回答をAIに学習させ、自動応答で対応できる仕組みを整えた。数字等の入力は必要なく、大部分の質問は音声のやり取りのみで完結できるモデルとなっている。この導入により、月60時間の業務時間削減を目指す。二つ目は、生活保護関連の相談に際し、これまでは必要な関連資料の書籍等から手作業で調べる手間が生じていたが、各種資料の内容をデジタル化し、AI活用の情報ツールで「検索」できるデータベースを構築。必要な情報に迅速にアクセスできる体制を整えた。三つ目は、相談記録の自動作成。これまでは手動で相談ごとの記録をまとめていたが、AIがリアルタイムに文字起こしし、要点等をまとめた相談記録を即時作成できるツールを導入した。作業時間の大幅な削減だけでなく、関係職員への共有の迅速化も期待できるという。

政策局DX・AI戦略室の担当者は「AIの活用により市民からのお問い合わせ対応の利便性・効率性が向上するだけでなく、相談業務の迅速化や質の向上も期待できる」と狙いを説明する。9月いっぱいの運用で効果を検証し、今後の導入拡大を検討していくという。