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道路掘らずに水道管の劣化状況調査、実証スタート 福岡市


週刊経済2025年9月17日発行号

産総研と協力、全国初の実証

福岡市と公的研究機関の産業技術総合研究所は9月から、道路を掘らずに上水道管の劣化状況を調査する全国初の実証実験をスタートした。

今回の実証で活用する技術は、地中に電気を流す「無人走行車両」で、水道管周辺の地盤の腐食度を調査する。福岡市を含む港湾都市では、海水を含んだ土壌が多く、塩分濃度が高い土壌は水道管の腐食を早める一因となっている。従来、土壌の調査のためには道路に穴を掘る必要があったが、今回産総研が開発した新技術では、無人走行車両を走らせながら地中に電気を流すことで、土壌の状態を確認できる。水道管の上に無人走行車を低速で走らせるだけで調査でき、1時間で約2キロの調査が可能。検査費用は現状の30分の1以下に抑えられる可能性があるという。

福岡市での実証期間は9月1日から26年3月31日まで。天神や六本松など市内6カ所で測定する。測定箇所は全て、近く水道管の更新を行う予定があり、実際に掘り起こして調べたデータと比較する形で測定精度を比較検証する。福岡市水道局の担当者は「水道管は土壌の状態が良ければ100年以上持つこともあるが、塩分濃度が高ければ40年持たないケースもある。港湾都市として、掘削する調査は欠かせなかったが、この新技術が実用化されれば、大幅な負担軽減につながる」と期待を寄せる。産総研は今回の実証を皮切りに、国内外で実証実験を進めていく計画で、2028年頃の実用化を目指すという。