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分散型水循環システムが国の実証実験に採択 ゼオライト


週刊経済2025年7月16日発行号

長野県喬木村で実証開始へ

水処理プラント設計・施工業のゼオライト㈱(福岡市博多区那珂5丁目、嶋村謙志社長)は6月20日、国土交通省の令和7年度「上下水道一体革新的技術実証事業」で、同社を幹事とする共同研究体が提案した分散型水循環システムに関する実証研究が採択された。

人口減少やインフラの老朽化が進む中、強靭で持続可能な上下水道の構築を目指し、民間企業や研究機関を対象とした公募の中から、学識経験者等で構成される専門委員会による審査を受けて決定された。採択された実証研究は「中山間部における分散型水循環システムの実証研究」で、同社を中心に一般財団法人造水促進センター、国立大学法人信州大学、日本水工設計㈱、そして長野県喬木(たかぎ)村からなる共同研究体が進める。今後は喬木村をフィールドに、ゼオライトが長年培ってきた排水再利用ビジネスの技術とノウハウを基盤とした「分散型システム」の実規模での検証が開始される。

分散型システムとは使用した水を浄化・再利用する水の循環システムを一定の集落ごとに設置する仕組みで、大規模なインフラ整備を必要とすることなく、飲料水や生活用水の確保を可能にする新たな水の供給システム。嶋村社長は「10年先を見据えた目標として、消滅可能性都市への水循環システムの導入推進を掲げている。全国に約1千存在する浄水場の多くは、今後、投資や整備が進まない可能性がある。当社はこうした地域の現状を深刻に捉え、人口減少下でも安定した水供給を維持し、持続可能な地域づくりに貢献したい」と話している。