NEWS

遠隔データセンター間の処理配置最適化に成功 NTT西日本やQTnetなど


週刊経済2025年6月25日発行号

再エネ積極利用拡大へ

西日本電信電話㈱(以下NTT西日本、大阪市都島区、北村亮太社長)と日本電信電話㈱(以下NTT、東京都千代田区、島田明社長)、㈱QTnet(福岡市中央区、小倉良夫社長)の3社は6月11日、IOWNオールフォトニクス・ネットワーク(以下APN)による遠隔データセンター間における処理配置最適化の実証実験に成功したと発表した。

これは地理的に離れたデータセンターに分散配置された計算処理環境において、IOWN APNによる通信の特徴である大容量・低遅延を生かして、計算負荷や電力消費に応じた最適な処理配置を動的に行うことが可能であることを共同で実証したもの。この成果により、データセンターの需要が増大する中、再生可能エネルギー電力量に余力が見込める地域のデータセンターに処理配置を変更して、再エネを積極利用することで、カーボンニュートラルへの貢献が期待できるという。3社は「IOWN APNはネットワーク機能のみならず、制御や計算機能と組み合わせることで新たな価値を生み出すことが可能」とし、今後もIOWN APNの技術を活用したデータセンターの付加価値向上や環境負荷軽減を目指し、今回の実証で用いた技術のシステム本格導入やサービス適用に向けて、引き続き技術開発を進めていく方針。

近年AIやIoTなどの需要増大に伴い、データセンターの重要性が一層高まる中、災害対策やエネルギー利用効率化の観点から、地域に分散したデータセンターを組み合わせての利活用が期待されている。 一方、再生可能エネルギーは電力の需給バランスを維持するために全国で年間約19億kWhもの電力量が出力制御されており、発電された再エネが十分に生かし切れていない現状があった。

NTT西日本とNTTでは、大容量・低遅延な通信の仕組みであるIOWN APNを用いてデータセンター間を接続し、複数の地理的に分散したデータセンターにおける再エネの利活用について、技術蓄積とユースケース実証を重ねている。QTnetでは、九州一円に張り巡らせた光ファイバ網を使用したICTサービスをはじめ、災害リスクの低い福岡の立地を生かしたデータセンターサービスを提供。データセンターでは再エネによる運用サービスも提供し、今回3社共同で、IOWN APNを活用した分散データセンターの構築と再エネの発電量に応じた処理配置最適化を実験した。