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介護業者と提携し静岡県の介護施設2棟を証券化   証券化ネットワーク   1月末にも11億円で取得


 資産証券化コンサルタントの証券化ネットワーク株式会社(福岡市中央区天神一丁目、岩崎淳史社長)は、一月末にも介護業者と提携して静岡県で介護施設を証券化する。同社によると介護施設に特化した証券化は全国で初めて。
 静岡県伊東市、函南(かんなみ)町にある介護施設を信託銀行に管理処分信託し、その信託受益権を中間法人「いわさきファンド」が設立したSPC(特定目的会社)が合計十一億円で購入する。SPCは信託受益権を担保にした金融機関からのノンリコースローン(非遡及型融資)や出資などで資金調達し、信託受益権の購入に充てる。SPCでは株式会社ケア・リンク(京都市、清原晃社長)と二十年間の賃貸借契約(年間賃料は購入金額の一〇%)を結び施設の運営を委託。SPCはケア・リンクからの賃料を出資者への配当やローン返済に充てる。施設運営に必要な経費はケア・リンクがすべて負担することから、利回りは諸経費を引いても九%以上になるという。
 さらにケア・リンクと同業他社が賃料の連帯保証をする「バックアップシステム制度」を導入。運営会社の施設運営が不可能になっても保証した企業が運営を引き受けるため、運営や賃料収入に支障がないようにしている。ケア・リンクなど業者にとっても、初期投資をかけずに介護施設の運営件数を増やすことができる。
SPCは今後も同様の手法で介護施設を所得していく。岩崎社長は「介護市場そのものは今後も成長が見込める有望な市場。これまでは運営会社が倒産した時のリスクが高く、投資対象にはなりにくかったが、バックアップシステムでそれも解決できた」と話している。

1月下旬にも大型賃貸マンションのファンド創設
 また同社では一月下旬にも地場企業と提携し、大型賃貸マンションの開発型ファンドを立ち上げる。
 一棟二十~三十億円の大型物件ばかりを扱うファンドで対象となる物件は「一部東京を含むが福岡が中心」(岩崎社長)という。当初は百億円程度でスタートする計画だが、今後さらに物件を組み入れていく。この企業とは今春にも十六棟の賃貸マンションを八十~百億円で証券化するほか、別の企業との間でも、福岡市内の三物件を二十数億円で証券化する。詳細については「今はまだ話せないが一月末には発表できると思う」としている。
 同社は一九九五年創業、一九九八年一月の設立。資本金三千七百九十万円。従業員三人。不動産証券化のアレンジャー(スキームづくりを手掛ける業者)として地場不動産業者などと提携、福岡市内などで不動産証券化を手掛けている。〇四年一月、旧社名の有限会社ネットライセンスから現社名に変更した。 
 岩崎社長は熊本市出身で、一九六〇年五月七日生まれの四十四歳。中央大学法学部卒。趣味はスキューバーダイビング。

2005.1.25 発行 週刊経済より