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系列を超えた共同運航スタート 地域航空サービスアライアンス


週刊経済2022年11月8日発行

九州の離島路線維持を目的に

日本航空㈱(=JAL=赤坂祐二社長)と全日本空輸㈱(=ANA=井上慎一社長)の国内大手航空会社2社と、天草エアライン㈱(=AMX=熊本県天草市、長岡誠社長)など九州の離島に定期便を就航する地域航空会社3社が設立した地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合(EAS LLP)は10月30日、系列を超えたコードシェア(共同運航)を始めた。
事業組合には、大手2社に加え、利用者低迷などに直面する地域航空会社の路線維持を目的に、九州で離島路線を運航する天草エアライン㈱のほか、オリエンタルエアブリッジ㈱(=ORC=長崎県大村市、大人形綱邦社長)、日本エアコミューター㈱(=JAC=鹿児島県霧島市、武井真剛社長)が地域航空会社として参加、JAL、ANAそれぞれの系列を超えたコードシェアを実施する。系列を超えたコードシェアは国内で初めて。3社はこれまで、AMXとJACがJAL、ORCがANAとコードシェアを実施していたが、AMXの2路線8便、JACの14路線44便がANA、ORCの5路線22便がJALと新たに提携することで、旅客数の増加を目指す。初便就航に合わせ、福岡空港では事業組合を構成する共同記者会見があり、AMXの永岡社長、日本エアコミューターの武井社長は「ANAとのネットワークが加わることで、より多くのお客さまが利用できる機会が増える」、ORCの大人形社長は「JALとのコードシェアで血管が増え、高速道路に例えると新たな車線が増えることになり大きな効果が期待できる」と期待を寄せ、JALの路線事業本部長を務める豊島滝三取締役専務執行役員は「コロナ禍の厳しい状況下で準備を進めてきた。系列を超えたサービスを通じて交流人口の拡大、就航地の地域活性化を支援していきたい」、ANAの経営戦略室エアライン事業部長の松下正執行役員は「地域航空サービスの取り組みは大変意義深い。3700万人のマイル会員数を持つANAのネットワークを活用することで、世界遺産群を有する天草や奄美群島などへの観光需要の掘り起こしに貢献していきたい」などと語った。初日の福岡発着便の搭乗率はAMX102便(ANA4302便)天草行きが22・9%、ORC97便(JAL4097便)五島福江行きが68・9%、JAL3673便(ANA4377便)屋久島行きが55・4%。今回のコードシェアによって、搭乗率は1%~2%程度押し上げた(EASLLP事務局)という。
EASLLPは2019年10月に設立。地域航空会社3社の路線維持、就航地の地域活性化などを目的に、安全基盤と安定運航確保に向けた航空技術協力をはじめ、コードシェアによる営業販売強化の推進、部品などの調達効率化、業務の効率化や人員協力の推進などに取り組む。活動期間は4年間で、3年を経過した時点で取り組み状況を検証し、以降の対応を協議する。