NEWS
大分県での「空飛ぶクルマ」運航に向けた検討開始 JR九州とSkyDrive
Tag:
週刊経済2025年2月19日発行号
同県と包括連携協定を締結
九州旅客鉄道㈱(JR九州、福岡市博多区博多駅前3丁目、古宮洋二社長)と「空飛ぶクルマ」開発の㈱SkyDrive(愛知県豊田市、福澤知浩CEO)は2月6日、大分県(佐藤樹一郎知事)と同県における空飛ぶクルマの活用による地域発展および地域課題の解決に向けた包括連携協定を締結した。
両社は昨年7月に九州地域における空飛ぶクルマを用いた事業の成立可能性の検討を行う連携協定を締結し、展開地域やビジネスモデルなどを検討してきた。九州の東部に位置する大分県は、関西や四国とも交流が盛んで、別府や湯布院をはじめ豊富な観光資源を有していることから、空飛ぶクルマを活用したビジネスへの高い可能性が期待されている。地域課題の解決や新産業の創出を目的に空飛ぶクルマをはじめ次世代空モビリティの活用を検討する大分県との同協定締結で、2028年度ごろのサービス開始に向け、離発着場候補地の調査や収益性の検証、運営体制の構築など、事業検討をさらに進めていく。
両社の運航構想では28年度ごろに別府湾での遊覧サービス、別府市内でのエアタクシー、別府と湯布院をつなぐエアタクシーの運航開始。30年以降、湯布院、九重、玖珠、奥日田エリアを結ぶ移動、大分市内から別府や湯布院エリアへの移動、大分空港から別府、大分両市内へのエアタクシーサービスの提供などに順次拡大する。所要時間は別府―湯布院間(直線距離15㎞程度) の場合、現在鉄道で60分、車で40分程度かかるが、空飛ぶクルマでは15分程度に大幅に短縮できる見込み。運賃に関しては、運航便数や利用状況によるが、将来的には既存のタクシーと同程度の料金体系を目指す方針。
空飛ぶクルマとは電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段(電動垂直離着陸航空機)。諸外国では、Advanced Air Mobility(AAM)やUrban Air Mobility(UAM)と呼ばれているという。 SkyDriveは2018年7月設立。「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、豊田市を主拠点に空飛ぶクルマ開発やドローンサービス提供に従事。空飛ぶクルマ開発では、20年に国内で初めて公開有人飛行試験に成功し、官民協議会の構成員として制度設計にも関与。現在3人乗りの機体を開発中で、製造パートナーのスズキ㈱と昨年3月から同社グループの工場で製造を開始。早ければ26年にも型式証明の取得を目指す。