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人口減に歯止め、60年ぶり「社会増」が射程圏 北九州市
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週刊経済2025年新春特別号
武内市長インタビュー抜粋
北九州市の武内和久市長は本誌1月号、「新年トップインタビュー」に応え、就任2年目の施策の手応えについて語った。以下、インタビューを抜粋。
―2024年振り返っての総括は。
武内 就任当初から目指してきた「稼げるまちづくり」、「成長への再起動」が明確に進展し、見える形で成果が表れてきた1年だった。2023年度も主要な指標で過去最高を更新したが、今年度も極めて高い水準の成果が出ており、強い追い風と手応えを感じている。
―特に注力した分野は。
武内 必要なところに財源を移していく「財政の模様替え」を推し進め、まずはしっかりと財源を確保することに努め、市のポテンシャルを全面に打ち出して企業誘致と人材確保を強力に推進した。投資、経済成長、財政改善のサイクルで得られた実りを、文化・芸術・スポーツ、医療・介護、子育てといった市民生活の充実に関わる分野へ振り向けていくという成長モデルを目指し、必要な施策を実践してきた。
中でも「第一ステップ」として、まちにしっかり「投資」を集める取り組みには、特に力点を置いてきた。投資を集める上で求められるのは「アテンション」に他ならず、市のポテンシャルを発信するためのトップセールスには努めて時間を割いてきた。その成果は企業誘致の実績で早くも結実しつつある。製造業とIT企業というハード、ソフトの両面で、土地やオフィスが足りなくなるくらいの勢いで、有力企業の進出が相次いだ1年になった。
―インフラ整備も進んだ。
武内 私の就任以降で見ても、北九州空港の「滑走路3千m化」が決まり、響灘洋上ウインドファームの建設に着工したほか、国道3号黒崎バイパスも春の町、陣原ランプが完成し、全線開通まであと一歩の段階に近づいた。これらが結実すれば、さらに市のポテンシャルを引き出せるだろう。
―目標として「人口100万人への挑戦」を掲げている。
武内 人口面でも、大きな転換点が訪れている。2024年は11月末時点で、市人口の「社会増減」が277人のプラスとなっている。北九州市では、鉄冷えを契機に一貫して「社会減」の状態が続いており、年間を通じてプラスに転じれば1964年以来、実に60年ぶり。
―これは大きな成果では。
武内 2024年で最も嬉しいニュースになりそう。さまざまな施策の効果があるとは思うが、企業誘致でオフィスの進出が相次ぎ、新たな雇用を創出したことが大きい。このまちで常態となっていた「撤退」や「流出」にようやく歯止めがかかり、市の未来に向けたトビラが開いた感がある。